軒並み出場機会を減らしている欧州組が、中核を占める日本代表。先日の代表発表記者会見で、その点に触られたハリルホジッチは「本田、香川、長谷部よりいい選手はいるだろうか」と、質問者に投げ返した。

 選考前に、あの選手も出ていない、この選手も出ていないと海外組の惨状に頭を抱えていたというハリルホジッチ。だが、これは青天の霹靂だろうか。

 想定外の展開、可能性の低い話ではなかったはずだ。それぞれの選手の置かれた環境をじっと観察すれば。 

 例えば、香川真司。頭打ちの状態にあることは、マンUに移籍した頃(12−13)から見えていた。メディアは香川を使わないモイーズ、ファンハール監督(当時)の起用法に疑問を投げかけたが、2シーズン後(14−15)に戻ったドルトムントでも、以前のような扱いを受けることはなかった。このままでは危ない。出場機会が激減しそうなことは、かなり前から見えていた。

 本田圭佑の場合は、CSKAから契約満了(移籍金なし)でミランに移籍した時点(14−15)で、下り坂にさしかかったことは明るみになっていた。ミランと言えば、欧州屈指の名門。聞こえはとてもいいが、当時、弱体化はすでに進行していて、この無償トレードを、昇りの階段だと解釈することは、超楽観的な見方と言えた。選手としての勢いは、ミランの衰退に拍車が掛かるのと同じ歩調で下がっていった。

 岡崎慎司の場合は、以前にも述べたが、レスターが、プレミア優勝を飾り、チャンピオンズリーグへの自動出場権を獲得した時点で、翌シーズン、出場機会が減りそうなことは予想できた。舞台のステージが上がれば、チームはそれに合わせて選手を補強する。競争は激化する。そうした中で、岡崎が先シーズン2、3番手だったフォワードとしての地位を守ることは至難の業。4、5番手に後退することは十分、予想できたのだ。

 インテルの長友佑都もしかり。苦しい立場に置かれていることは、出場機会が激減したいま、初めて分かったわけではない。

 その他の選手の状況を眺めても、ポジションを余力を持って確保している選手はごく僅か。そんな彼らを中心に構成されていたハリルジャパンは、砂上の楼閣と言うべく、まさにいつ壊れても不思議ではない脆い土台の上に成り立っていたのだ。

 ハリルホジッチは欧州に視察を名目に、幾度か出かけている。彼らの現状を、たっぷり目撃してきたはずだ。僕らの仕事に置き換えれば取材に値するのだが、貧乏取材が常の僕らと異なり、資金は潤沢。深い取材がたっぷりできて当然のはず。

 しかも彼は代表監督だ。誰よりも悲観的である必要がある。高い危機管理能力が求められている。常に最悪の事態に備えた態勢を整えておかなければならない人物。少なくとも、彼らの出場機会が今季、激減したことを、ファンと同じレベルで、驚き嘆いてはいけない立場の人物なのだ。

 にもかかわらず、あまりにも楽観的。想像力に欠けるメンバー起用をしてきた。彼らに代わる候補を積極的に探ろうとしなかった。「本田、香川、長谷部よりいい選手はいるだろうか」が、他を試した末に導き出された回答ではないところに最大の問題はある。

 ホームでの親善試合、大勝が予想された弱小国とのアジア2次予選など、試す機会はいくらでもあった。試しながら勝つ。最低限の結果を出す。代表監督に求められる当然の行為をしてこなかったツケが、いま回ってきているのだ。

 前にも述べたが、先のUAE戦に先発出場した大島僚太は、この試合が代表デビュー戦だった。なぜ、そんな大一番に、初代表の若手を重要なポジションで起用したのか。事前に使おうとしなかったのか。明らかに采配ミスだと思う。