胸の痛みから考えられる13の病気と対処法 緊急を要する症状は?
心臓や肺など、大きな臓器がある胸部。胸が痛くなると、大きな病気では?と不安になります。どんな痛みの時が危険なのか、受診する科についてまとめました。
どんな痛みか医師に説明できるとベスト
胸や胸の近くが痛い時に考えらえるのは、心臓や肺のほか、消化器官の病気です。激痛が起こったら、すぐに病院に行く必要がありますが、具体的にどのようなタイミングで、どのような痛みが、どこに起こったのか、医師に説明できるようにしておくと、診断しやすくなります。

狭心症・・・突然の胸の痛み、胸の奥が痛い、胸が締め付けられる、胸が焼けつく、時には背中の痛み、のどの痛みなど。痛みは、強いとは限らない。

発作的に胸の痛みや圧迫感などの症状を起こす病気。血管内腔が狭くなることにより、心筋に十分な血流・酸素が送り込めない時に胸の痛みが起こります。血管狭窄の原因の大多数は、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧などに引き続いて起こる動脈硬化。特に糖尿病の患者さんは、病変の重症度に比べて、症状を軽く感じることが多く注意が必要です。

治療法は、薬物療法、経皮的冠動脈形成術(カテーテルインターベンション)、冠動脈バイパス手術の3つがあり、どの治療を選択するかは、患者の年齢、症状、合併症の有無、病変の形態などにより異なります。

発作がすぐにおさまる時は、数日以内に循環器科または内科へ。発作がすぐにおさまらない時は、救急の処置が必要です。例えば、発作が5分以上続く、1日に何度も繰り返したり発作の頻度が増えてきた時、冷や汗を伴うような強い痛みを感じた時など。非常に不安定な状態のため、途中で病状が急変する場合も。救急車を要請すべきか救急病院と相談し、その指示に従ってください。

急性心筋梗塞・・・胸部の激痛、締めつけられるような痛み、圧迫感など

心臓を養う冠動脈の動脈硬化により血管の内腔が狭くなり、血液の流れが制限されて生じます。冠動脈が閉塞すると約40分後から心内膜側の心筋は壊死に陥ります。これが心筋梗塞です。

胸痛の部位は前胸部、胸骨下が多く、下顎、頸部、左上腕、心窩部(しんかぶ)に放散して現れることもあります。要因は、高コレステロール血症、高血圧、喫煙、糖尿病、肥満、痛風、中性脂肪、運動不足、精神的ストレスなど。

治療には、すみやかに詰まった冠動脈を開通させる治療が必要です。基本的には、入院して数日間の安静・絶食で治療を行います。重症な病気なので、救急車で専門医の診療を受けることが大切です。

大動脈解離・・・突然の激しい胸や背中の痛み、手や足の激しい痛みが突然に現れてくることも

大動脈の壁に亀裂が入り、壁が内膜と外膜とに分離されてしまう病気。日本人に多い疾患で、循環器疾患による突然死では、心筋梗塞に次いで2番目に多い死因とされています。

心臓から出るすぐ上の上行大動脈に大動脈解離がある場合には、緊急手術を。大動脈解離が上行大動脈にない場合は、血圧を下げる内科的治療で対処できる可能性があります。急性大動脈解離は、適切な治療を受けないと突然死する危険性が高く、専門的な病院で心臓血管専門医の集中的な治療を受ける必要があります。

肺血栓塞栓症、肺梗塞症・・・突然の胸痛、呼吸困難、頻呼吸など

心臓から肺へ血液を運ぶ血管である肺動脈に、血液の塊の塞栓子(そくせんし)、脂肪の塊、空気、腫瘍細胞などが詰まり、肺動脈の流れが悪くなったり閉塞してしまう病気を広く肺塞栓症といいます。
このなかで血液の塊が原因で起こったものを肺血栓塞栓症と呼び、肺塞栓症の大部分はこれにあたります。

肺血栓塞栓症は、急性期の死亡率が約10%と高く、救急の病気です。原因で最も多いのは、下肢(脚)の静脈内でできた血栓によるもの。近年問題になっている、いわゆる「エコノミークラス症候群」もこのひとつです。