「アンティキティラ島の機械」に次ぐ発見! 紀元前1世紀の人骨が教えてくれるもの

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エーゲ海の海底で発見された、古代ローマ時代の遭難者の人骨。そのDNA分析が、紀元前1世紀の人間の生活に関する新たな発見に門を開くかもしれない。

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1900年(1901年とする説もあり)に漁師たちが発見したアンティキティラ島(ギリシャ・ペロポネソス半島とクレタ島との間に位置する地中海上の島)の古代ローマの船は、いまもわたしたちに驚きをプレゼントしてくれる。

いままでに見つかったもののうち最も有名なのは、現在では「アンティキティラ島の機械」として知られる驚くほど洗練された時計装置だ。これは、太陽系の惑星の動きと月の満ち欠けを再現できるとされている。

これに、新しい重要な発見が加わった。約50cmの断片や砂の下に埋まっていた人骨だ。「わたしたちは熱狂しています」と、米マサチューセッツ州のウッズ・ホール海洋学研究所内チームの副リーダー、ブレンダン・フォーリーは語る。「わたしたちはいままで、こんなものを見つけたことはありませんでした」。骨のDNAを検査することにより、紀元前1世紀の人間の生活をより正確かつよりリアルに描写できると期待されている。

去る8月31日、研究所のチームは、ギリシア・スポーツ文化省の協力のもと、下顎骨、3本の歯を含む頭蓋骨、腕の骨2本、大腿骨2本、肋骨の断片を発見した。

「骨は海底で2,000年以上の間、保存されていました。そして、(保存状態は)良好であるように思われます」と、コペンハーゲンのデンマーク自然史博物館の専門家、ハンネス・シュレーダーは語る。彼は骨から遺伝子素材を抽出できるかどうか、そしてその方法を明らかにしようと研究している。発見から数日で、頭蓋骨のいくつかの断片を観察し、彼は両方の岩様部を発見した。これは耳の後ろに位置するかたまりで、骨のほかの部分よりもDNAの保存に適している。

専門家たちによると、骨が良好な状態で発見されたという事実は、どのように船が沈んだかを解明する助けにもなりうる。

「これは当時としては巨大な船です。全長はおそらく40m以上にもなるでしょう」とフォーリーは説明する。「船上にはさまざまなデッキがあり、多くの人がいました。残骸は海岸の近く、島の急な岩壁の足元にあります。このことから、船は嵐によって岩へ打ちつけられたのだろうと推測されます。それは人々が対応できるよりも早かったため、彼らは身動きできずに取り残されましたのです」

さらに、フォーリーは、船の荷の大部分がまだ堆積物の下に埋もれている可能性があると考えている。彼のチームは水深50mの遺跡の地図を作成したのち、ワインの壺、コップ、2本の銅の槍、宝石、金の壺のような物品を発見した。さらに、潜水夫たちは船の用具を回収したが、そのなかには巨大な錨や涙型の鉛のおもりがあった。

研究者たちは、骨の持ち主に「パンフィロ」とニックネームをつけることに決めた。残骸のなかにあったワインのコップにこの名が刻まれているのを発見したからだ。「2,000年前に地中海を渡った人々は何者だったのでしょうか?」と、シュレーダーは自問する。「おそらく、彼らの1人は、あの有名な機械装置を設計した天文学者だったでしょう」

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