写真提供:マイナビニュース

写真拡大

●糖尿病が発症するメカニズムとは?
若者を中心に、お菓子を食事代わりにしている人も多いのではないだろうか。お菓子は手軽においしく食べられる一方で、十分な栄養素も満腹感も得られない。太るだけでなく、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まるという心配もある。

そこで今回は、内科・糖尿病内分泌内科の山本祐歌医師に、食事代わりにお菓子を食べることの体へのリスクや、正しいダイエット法についてお聞きした。参考にしてみよう。

――食事代わりにお菓子を食べることの体に及ぼすリスクを教えてください。

3度の食事よりおやつが好き、食事代わりにスイーツを食べたいという患者さんは、実際にいます。例えば、皆さんも大好きなメロンパン1個のカロリーは400kcalほどで、これだけで朝食なら1食分のカロリーに相当します。「食事と同じカロリーなら、菓子パン1個で朝食を済ませて何がいけないの? 」と思われるかもしれません。

お菓子やスイーツの主な栄養素は、糖質と油。それ以外の体に必要な栄養素(食物繊維やビタミン、ミネラルなど)を多く含んでいません。食物繊維には、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあります。お菓子やスイーツには食物繊維が含まれないため、血糖値が急激に上がってしまいます。

血糖値を急激に上げる食事を続けると、血糖値を下げようとするホルモンである「インスリン」の分泌が過剰となります。インスリンは血糖値を下げるだけではなく、余分な糖分を脂肪として蓄積する作用もあります。インスリンの過剰分泌が続くと、余分な糖分が脂肪として蓄積し体重が増えてしまうだけではありません。最終的に、インスリンの工場である膵臓(すいぞう)が疲れ果ててしまい、インスリンの分泌が低下して血糖値が下がらなくなり、糖尿病を発症してしまいます。

食事の基本は主食(米、パンなど)、主菜(おかず)、副菜(サラダなど)をバランスよく摂取することです。まず、サラダなどの野菜(食物繊維)から食べれば、食後の急激な血糖上昇を防げます。食後の血糖値を急激に上げないこと、つまりはインスリンの過剰分泌を抑えて膵臓にやさしい食事を心がけることで、糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防になります。

●単品ダイエットの落とし穴とは?
――栄養調整食品をダイエットに取り入れる場合の注意点があったら教えてください。

私も大学生の頃、栄養調整食品でダイエットをしようと思い、そればかり食べていました。でも意外とカロリーが高いことに気づき、同じカロリーのものを食べるなら、食事のほうがいいと思ってやめてしまいました。

日常生活が忙しい方で食事をとる時間もないという場合は、簡単に栄養補給ができるといった点では、うまく利用すればよいのかもしれません。自分が食べていい1食分のカロリーを大体把握して、その範囲内であればよいかと思います。ただ、それだけになってしまうと、栄養のバランスが悪いです。3食のうち1食は栄養調整食品、それ以外は野菜たっぷりの食事にするなど、さまざまな栄養素を食品からバランスよく摂取することが大切かと思います。

――豆腐やフルーツなど、1つの食品を食べてカロリーを制限する単品ダイエットの注意点があったら教えてください。

繰り返しになりますが、ダイエットでは、いろんな栄養素をバランスよく摂取することが大切です。栄養素のことを考えずにカロリーだけを制限して単に体重を落とすことと、きれいに痩せることは違います。健康的かつきれいに痩せるには、さまざまな栄養素を取り入れながら、カロリーも控えることが必要です。

また、単品ダイエットの落とし穴は、それが一生は続けられない点です。最近、患者さんに申し上げるのは、「ダイエットは期限を区切ってするものなのか? 」ということです。確かに、夏までに何キロ痩せたいからと食事制限や運動を頑張れば、目標体重を達成することも可能でしょう。でも、ダイエットをやめて元の生活に戻せば、体重も元に戻ってしまいます。

痩せることだけに集中すると、その後のことまで気が回らない方も多いようです。私は、ダイエットは健康に生きていくために一生続けるものと考えています。一生続けなくちゃいけないから、逆算して、毎日何ができるかを考えます。"ストイックな方法で短期集中、やめたらリバウンド"ではなく、ゆるーい方法で毎日継続する方が最終的に結果が出るのではないでしょうか。

――健康に痩せるためには、どのように目標を設定し、どのような方法で痩せるのが適切でしょうか。

まずは毎日体重を測り、グラフ化することが有効な方法だと思います。体格指数を示すBMIでいうと、「BMI18.5未満」は痩せすぎ、「18.5以上25未満」は普通体重、「BMI25以上」は肥満に。BMI22(標準体重)以下の方は、ダイエットの必要性はありません。

やや太り気味や肥満の方がダイエットをする場合、現体重の3〜5%を落とすだけで、血糖、脂質、血圧などが改善すると言われています。ですので、ダイエットの目標としては、現体重の3〜5%を落とすこと。そして体重を落とすペースは、月1〜2kg程度が適切です。脂肪1kg減らすのに約7,000kcalを減らす必要があります。つまり計算上は、食事を工夫し運動をして、1日当たり約200kcalの減量ができれば1kgを減らせます。

ただ、ダイエットは計算通りにいくものではありません。女性なら毎月、生理があるので、生理周期によるホルモンバランスで体重は変動します。ですから、体重測定をして一喜一憂せず、自分で毎日何ができるか、ゆるーい目標を決めて継続すること。それが習慣化し、結果として体重が落ちてくるというようなイメージでダイエットをするのがよいのではないでしょうか。

※写真と本文は関係ありません

○取材協力: 山本祐歌(ヤマモト・ユカ)

日本糖尿病学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。En女医会所属。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。

(須藤妙子)