受賞のニュースは翌日の朝刊1面を飾った。

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2016年のノーベル医学・生理学賞が、大隅良典・東京工業大学栄誉教授(71)に授与されると決まった。

日本人の受賞とあって、大手メディアもこぞって報じる中、ある「誤字」が続出している。漢字の見た目が似ているせいか、「大隅」と「大隈」を書き間違えているのだ。

大手紙も、スポーツ紙も、通信社もネット記事で...

読売新聞のニュースサイト、YOMIURI ONLINEは10月4日3時21分、「『誇りに思う』...首相、大隈さんに電話で祝意」と題した記事を出した。本文中は「大隅」と正しいが、見出しは「大隈」。この見出しは10時ごろまでに、修正されている。

スポーツニッポンの「スポニチAnnex」が5時30分に公開した記事は、「大隈氏 日本人3人目のノーベル賞単独受賞」が見出し。同サイトには「大隈氏母校も歓喜 同級生らバンザイ『この瞬間待っていた』」の見出しもあるが、いずれも本文中は「大隅」と正しい表記だ。これらは、正午現在では修正されていなかった。

海外通信社の日本語版も例外ではない。たとえばAFPの日本語版ニュースサイト「AFPBB News」には、大隅さんの会見の様子を伝えているが、その説明文には正午現在、

「映像は会見時、携帯電話で安倍晋三(Shinzo Abe)首相と話す大隈氏など」

と書かれている。

どうして「大隈」と間違えるのか

日本テレビ系の動画ニュースサイト「日テレNEWS24」は、「大隅栄誉教授にノーベル賞 安倍首相も祝福」(6時40分配信)と見出しは正しいが、本文には「大隈栄誉教授『ありがとうございます』」と書かれている。

同じくフジテレビ系の「fnn-news.com」が11時50分に出した記事は、見出しと1文目こそ「大隅」だが、以降は4か所にわたり「大隈栄誉教授」が登場。なお、記事に付けられた動画では、アナウンサーが「おおすみ」と発音していた。

またメディアに限らず、ツイッターを見ると「ずっと大隈さんと思っとった」といった反応は多い。

似たような誤字は、つい最近もあった。9月20日に台風16号が、鹿児島県の「大隅半島」へ上陸した際、「大隈半島」と間違えられたのだ。J-CASTニュースの姉妹サイト「Jタウンネット」の記事は当時、両者を間違える理由を、以下のように考察している。

「パソコンの漢字変換システムの一部には、『おおすみ』と入力すると『大隅』はもちろん、人名地名の候補に『大隈』が出てくるものがある。iPhoneでは『おおすみはんとう』と入力すると、『大隅半島」の次に『大隈半島』と予測変換される」

地名と人名で事情は異なるが、日本語入力ソフトが影響した可能性はありそうだ。また今回は学術的な話のため、早稲田大学の創立者「大隈重信」を連想して、「学者なら『大隈さん』なのでは」との先入観があったのでは、との推測をネット上で披露している人もいる。