IT関連企業やマスコミ関連会社など、いくつかの企業を除き、メールだけで完結するやりとりを失礼と感じる人が多いことを心得て。

打ち合わせやアポイントメントを調整するのは大変なもの。今回の質問は、電機メーカーにお勤めの佐藤礼奈さん(仮名・28歳)からです。

「客先との打ち合わせの際、先方にスケジュールを先に伺うのがマナーだと思っています。毎回、メールをお送りし、都合のよい日を2〜3うかがっています。そのあと、弊社のメンバーの都合を聞くのですが、たいていひとりかふたり、スケジュールが合わずに何度もリスケをお願いしてしまいます。もっと効率の良い方法はないのでしょうか。また、当日のキャンセルは、どのようにお伝えすると失礼にならないのかも知りたいです」

 鈴木先生に教えていただきましょう。

 ☆☆☆

打ち合わせの日程は先方都合に合わせる

顧客に時間をとってもらいたいときなど、相手に何かをお願いするときに書く「お願いメール」。アポイントメントをとるときのメールも「お願いメール」のひとつです。

1本目のメールには、用件と所要時間を書いて、まずは相手の意向をうかがうのがマナーです。返信がしやすくなるよう、「2〜3の候補日を挙げていただければ幸いです」と、さりげなく条件を提示すると、押しつけがましくなく、エレガントです。

メンバー全員が揃わない場合は決定権のある人の日時を優先

客先から日時の候補が届いたら、社内メンバーに連絡をします。メンバー全員がOKの日を選ぶのが基本です。メンバーが揃わない場合は、メンバーに優先順位をつけて、発言・決定権のある人が参加できる日に設定します。お客様からあげていただいた2〜3の候補日の中から選ぶのがマナー。お客様のリスケには対応しなければいけませんが、仕事をいただく側がリスケするのはNGです。

メンバー全員の都合がつかず、欠席者が出る場合には、日程決定をお伝えするメールに「〇〇と□□が参加できませんが、××と△△でお伺いいたします」と事前にご連絡しましょう。

決定権のある人の予定は事前に確保しておく

一番困るのが、決定権を持っている人のスケジュールが、お客様の提示した日程のどれにも合わない、という場合。そのリスクを回避するためには、最初のメールにひとこと添えるのがよいでしょう。「2〜3の候補日を挙げていただければ幸いです」のあとに、「弊社○○(名前)が、×日から×日まで出張で不在にしております。〇〇もぜひうかがわせていただきたく、まことに恐縮ですが、これらの日を外した日程でお願いできますでしょうか」と、NGの具体的な日程を提示しておきます。

当日キャンセルは電話で謝罪

あってはならないことですが、取り付けたアポイントを、どうしても当日にキャンセルをしなければいけない事態が起こることも。そういう場合は、お伺いできないとわかった時点で先方にお伝えします。メールではなく、電話で。責任者と直接話す、というのがマナーです。

なお、その電話で伝えなければいけないことは4つあります

1 やむを得ずのキャンセルであること
2 心からのお詫び
3 理由(急病、不慮の事故、不幸など)
4 リスケのお願い

電話をしたとき、相手が不在だった場合は、出てくれた方にメモを残してもらうようにお願いしたうえで、メールを送ります。冒頭に「お電話さしあげたところ、ご不在でらしたので、取り急ぎメールにて失礼いたします」という一文、末尾に「改めてお電話いたします」という一文を添えましょう。そして、少なくとも、アポイント時間の前には、相手の方と直接電話で話すよう、つながるまでかけ直すのがマナーです。



■賢人のまとめ
仕事をいただく側のリスケは基本NG。万が一の当日のキャンセルは、メールではなく直接電話でお詫びをしてリスケすること。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『もう必要以上に仕事しない!時短シンプル仕事術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部に迫るヒットとなる。 

(株)ヴィタミンMサイトhttp://www.vitaminm.jp/