(写真提供=SPORTS KOREA)女子バスケではチェリー事件も起きたはずだ。

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韓国は変化が激しい。つい数10年前までは、先祖代々受け継いだ体に自ら傷をつけはいけないと、献血すら避けられていたけれども、顔がいい方が有利に決まっていると、整形手術が流行すると、傷をつけるどころではなくなっている。

スポーツ界においては、民族の純血主義、縄張り意識が強く、外国人の帰化はおろか、在日など在外同胞すら、自分たちと違う土俵で活動しているため排除する意識が働いていた。日本のサッカーでラモス瑠偉や呂比須ワグナーが日本国籍を取得した時も、非常に否定的であった。

韓国スポーツ界の帰化に対する認識の変化

しかし、勝つためには帰化外国人の力が不可欠となると、一気に方向転換する。

特に平昌五輪を控えた冬季スポーツでは、アイスホッケーをはじめ、韓国ではもともと普及度が低く、層が薄い競技を中心に、積極的に外国人の帰化政策を進めている。

結局ドーピング問題などが障害になり、実現はしなかったが、韓国で開催された大会にしばしば出場し、優勝したケニアの選手を帰化させようとしたこともあった。
(参考記事:「日本の芸人の“無限挑戦”だ!!」猫ひろしのリオ五輪マラソン挑戦を韓国国営放送も絶賛するワケ)

韓国でマラソンは、日本の植民地時代であった1936年のベルリン五輪での孫基禎の金メダルにまつわる出来事もあり、「民族の魂を受け継ぐスポーツ」と言われている。そのマラソンすら、韓国人の力では結果が出ないとなると帰化を進めるのだから、帰化政策は止まらないだろう。

バスケ強化のために16歳以下の選手を帰化する!?

そうした中、9月21日付の「東亜日報」にどこまで本気なのかと、思わせる記事が掲載された。

見出しには「KBL、外国人有望株帰化推進 ”1チーム当たり16歳以下1名ずつ選抜”論議 中学、高校、大学の強い反発が障害」と書かれている。

バスケットボールで体格の差と言うのは、試合に大きな影響を与えるし、以前書いたように、センター不足と言うのは、深刻な問題になっている。

そこでこの記事によれば、韓国のバスケットボール協会は20代の外国の有望選手の帰化を進める一方で、プロ団体であるKBLは、16歳以下の外国人の有望選手を、10チームが、それぞれ1チームに1人選抜し、帰化させるという計画だ。

16歳にこだわるのは、国際バスケットボール連盟の規定では、同連盟が主管する大会では、16歳以後に国籍を変えた選手は、1人だけしかエントリーできない。しかし、16歳以下なら際限はないと記事にはある。

日本でも過去に10代の帰化はあったが・・・

ただし、こうした帰化選手が加わることで、プロの門がより狭くなる中学、高校、大学のバスケットボール関係者は強く反発している、ということだ。

韓国内の立場ではそうだろう。けれども、問題はそこにはない。

そもそも18歳以下の選手の国際移籍は厳しく規制されている。移籍に関するトラブルが多く発生しているからだ。

日本でも女子バスケットボールのシャンソン化粧品所属の杉山美由希は、中国出身で17歳以下の中国代表にも選ばれたが、16歳でシャンソン化粧品に移籍し、17歳で日本国籍を取得している。これに中国側が反発し、問題になったことがある。

それぞれに事情があり、単純な言い方はできないが、基本的に若年層の国籍変更は、生まれ育った国の国籍に変えるケースや、海外で生まれ、その国の国籍になったものの、祖国に戻るケースなどに限られるべきだと思う。

韓国スポーツは帰化を安易に考えているのではないか

留学生のケースも考えられるが、引き続き国内で活動することに支障がない限り、基本的には、成人になるのを待つべきだろう。若年層の国際移籍に、エージェントなどが絡み、安易に横行すると、人身売買ととられるケースも出てくる。

基本的には、国境を越えて人々が行き交う現代、スポーツおける国籍に対する考え方も多様化している。

しかし、金持ち球団がよそのチームの主力を引き抜いて強化しても、チームそのもののためにならないように、結果が出ないからということで、安易に帰化選手で補うという考え方は、その国のスポーツの未来のためにならないだろう。

なお「東亜日報」の記事は、「帰化推進の論議が急浮上」ということで、具体的に動いているわけではないようだ。ただ、どのレベルで出た話しかは分からないにしても、若年層の帰化を組織的に進めるという発想自体に、かなり問題があるように思う。

メダリストパレードと国体

話は変るが、10月7日、東京都内でリオ五輪、パラリンピックのメダリストのパレードが行われる予定になっている。今回は、五輪、パラリンピックの合同のパレードになるため、五輪が終わってから時間が経っているが、この時期の開催になったようだ。しかし、10月1日から11日までは岩手県で国民体育大会が開催されている。

国体の意味や位置づけには、様々な意見がある。それでも、基本的には国民スポーツの祭典であり、国内最大の総合スポーツ大会である。開催自治体は、何年も前から、開催の準備に取り組んでいる。私は1年前に講演の仕事で盛岡に行ったが、開催県として、一生懸命ムードを盛り上げていた。

まして岩手国体は、震災からの復興大会であり、さらに最近では台風被害からの復旧という意味も加わっている。選手個々には、それぞれの立場、事情がありだろうが、少なくともスポーツ団体は、国体を盛り上げるために、最大限の協力をするべきではないか。

リオ五輪が終わり、選手それぞれが新たな活動に入っており、パレードに出席できないメダリストも多いという。全ての選手に都合がいい、ベストな日などないだろう。どこかで、ベターな日を決めるしかない。それでも国体や、その後の障害者スポーツ大会の日は、避けるべきではなかったか。

昨年から東京五輪の問題が、連日報じられている。そうした問題の根底には、このパレードにもみられるように、各団体、機関の連携の悪さ、目配りのなさがあるように思う。もちろん五輪は、目配りすることが多すぎるのも確かだが。

(文=大島 裕史)