トイレに行くも、出ない…

写真拡大

【たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学】(テレビ朝日系)2016年9月27日放送
「【長引く痛み】の本当の原因徹底解明&今年選ばれたベストドクターが解明!長引く症状の本当の原因SP」

頻尿や残尿感など、年齢を重ねれば多くの人がちょっとした「尿トラブル」を経験する。しかしこれを歳のせいにして、誰にでもあると思い込んでいると、恐ろしい病気を見逃してしまう可能性がある。

番組では、そんな病気に10年間も悩まされた女性と、それを解決した「ベストドクター」を紹介した。

薬が切れるとぶり返す尿トラブル

滋賀県東近江市在住の主婦、上島美智子さん(63・仮名)が初めて異変を感じたのは、山歩きに夫婦二人で出かけた53歳の時だった。

途中の休憩所で用を足すと、ちょっとした残尿感を覚えた。再び尿を出そうとするも出ず、ひとまず先に進んだ。

1時間後またトイレに行ったが、同じように残尿感が。やはり尿も出なかったが、「歳のせいか」と納得した。

その後、毎年受けている健康診断の結果が届き、初めて尿検査で異常が見つかった。内科を受診すると、尿に白血球が増えていると言われ、「膀胱(ぼうこう)炎」と診断された。膀胱に細菌が入って炎症が起き、排尿時に痛みや残尿感が出る病気だ。炎症が尿道で広がると痛み、膀胱の中で広がると尿意をつかさどる神経を誤作動させ、残尿感を生じさせる。

上島さんの場合、炎症が膀胱内で広がり、残尿感だけを引き起こしていたと考えられた。5日分の抗生物質が処方され、症状は改善された。

しかし症状がおさまって1か月ほど経った時、また残尿感が襲ってきた。泌尿器専門の病院で腎臓など膀胱以外の臓器も詳しく検査したが、結果はやはり「膀胱炎」だった。

医師からは「年齢とともに免疫力が低下すると膀胱炎を繰り返すのは珍しくない」と言われ、なるべくトイレを清潔に、ばい菌が入らないようトイレットペーパーは尿道に付かないようにとのアドバイスを受けた。

再び抗生物質を処方され、飲んでいる間は症状がおさまるが、1か月もするとやはり膀胱炎がぶり返す。原因がよくわからないまま、薬を飲み続けるしかなかった。

大腸や膀胱の壊死が進んでいた恐れ

最初に違和感を覚えてから5年、残尿感だけでなく、排尿時に尿道を針でチクッと刺されるような痛みを感じるようになった。

抗生物質を飲んでも効かず、残尿感も以前より強く現れ始めた。原因を突き止めるため、内科や婦人科、精神科も受診したが、どこの科でも「問題なし」。結局泌尿器科で処方される抗生物質に頼るしかなかった。

それからさらに5年経ったある日、いつものように抗生物質をもらうため総合病院を訪れたが、午前に予約していたのに誤って午後に行ってしまい、担当の医師が変更になった。

それが大学病院から派遣された非常勤の医師で、これまでの症状や経緯を細かく話すと、「うちの大学で詳しく調べてみては」と勧められ、従うことに。この偶然が本当の原因究明の一筋の光となった。

上島さんを救ったのは、滋賀医科大学医学部附属病院で泌尿器科を率い、「日本泌尿器科学会の第一人者」と言われる河内明宏氏だ。

通常検査技師や看護師が行う超音波エコーの検査を自ら行い、1万人以上の不調を見つけ出してきた。医師が選ぶ名医「ベストドクター」に2014年から2期連続で選出されている実力者だ。

上島さんから「排尿時に尿道からオナラのようなガスが出る時がある」と問診で聞き出し、膀胱の内部を直接見る「膀胱鏡」の検査、さらに大腸のCT検査で導き出した病名は、膀胱炎ではなく「大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)」だった。

腸壁の一部が袋状に飛び出し、そこに便などが詰まって炎症になる病気で、推定患者数は約230万人と言われている。

さほど珍しくない病気だが、上島さんの場合、憩室炎が起きたのが、1万件に1件あるかないかというかなり珍しい位置だった。

膀胱と隣り合った「S字結腸」の一部分で、飛び出した箇所が膀胱へと広がり、腸と膀胱が癒着、穴が開いてつながってしまっていた。その穴から大腸にあるはずの便が膀胱に侵入し、雑菌が繁殖し続けて膀胱炎を繰り返していたのだ。

気付くのがもっと遅れれば、大腸や膀胱の壊死が進み、命の危険を招くおそれもあった。上島さんは手術を受け、現在は病院で療養しながら快復へ向かっている。

夜間頻尿だと長生きできない

上島さんほどひどい症状でなくても、歳を取ると多かれ少なかれ尿トラブルに悩まされるものだ。

河内氏によると、40歳以上の日本人に最も多いトラブルが「夜間頻尿」。夜中に何度も起きることで昼間の生活に支障が出たり、暗闇で起きて転んで骨折したりするケースも。夜間頻尿の人はそうでない人より長生きできないという報告もあるそうだ。

夜にお茶やコーヒー、酒などの水分を摂(と)りすぎるのが一番の原因だが、ほかに「足のむくみ」も原因になる。

日中立っている間、重力の影響で足に血液がたまりやすくなる。年齢とともに心臓から血液を押し出す力や、筋力が衰えて足から心臓へ血液を戻す力が弱まり、足にたまった血液から水分が染み出してしまう。

夜、横になると心臓に血液が戻ってくるが、右心房にある水分の量を感知するセンサーが働き、尿を作る指令が出て夜間の尿意につながる。

改善するには足のむくみの解消が重要だ。河内ドクターが勧める方法は、

(1) 足首から膝の方へ、手でほぐすようにマッサージする。

(2) 夕方にウオーキングなどでふくらはぎを動かす。

ふくらはぎの筋肉が動くと血管が拡張と収縮する、ポンプの機能を果たして心臓に血液が戻り、寝る前に尿が作られる。