スウェーデンで1日6時間労働がスタンダードになろうとしている、その理由とは?

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スウェーデンで6時間労働を取り入れる企業が増えており、話題となっている。

プライベートを充実させて効率を上げる

その理由の1つは健康問題。

実際にScience Alertのウェブサイトではアメリカ人やヨーロッパ人、オーストラリア人など60万人を8.5年間調査した、労働と健康に関する25に及ぶ研究データの分析結果を紹介している。

それによると週に55時間働く人は週に35から40時間働く人に比べ、脳梗塞のリスクが35%、冠状動脈疾患のリスクが13%も高まる結果になったという。

さらに2つ目の理由は効率の問題。

短い時間で効率よく仕事が進められるよう、従業員がプライベートな時間を充実させて体力を温存させることが大切だと考えられているようだ。

これらの理由から、スウェーデンの多くの企業はすでに6時間労働をスタンダードにするため動いているという。

「8時間労働は効率的ではない」

実際にスウェーデンで2番目に大きな都市、イェーテボリにあるトヨタ・サービスセンターでは13年前に労働時間を6時間に変更。

さらに人事異動を少なくし、社員がより幸福感を味わうことで新しい人材も確保しやすくなり、通勤時間の短縮、機械の効率的な使用、資本コストの低下などの影響もあり、25%も利益が上昇しているそうだ。

また首都ストックホルムにあるFilimundusというアプリ制作会社も、昨年から社員の6時間労働を導入している。

CEOのLinus Feldt氏はFast Companyの取材に対し「8時間労働は人々が考えるほど効率的ではありません。8時間も仕事に集中し続けるのは、非常に困難です。しかも仕事の後にプライベートな時間をやりくりするのが、とても難しくなっています」と語っている。

気を散らすものをオフィスから除外

もっとも労働時間が短縮される分、社員にはより効率的に働くことが求められる。

そのためこの会社では社員にソーシャルメディアの使用を禁止し、ミーティングも常に短かめに設定、さらに気を散らすものをオフィスから取り除いているという。

Feldt氏は取材に対し「導入した私の感想は、必要な仕事を進めるのに人々はより集中しやすくなったということです。人々は仕事をこなすスタミナもあり、職場を離れても十分体力が残っています」と語っている。

病院や老人ホームでも導入の動き

また6時間労働導入の動きは、このような業種にとどまらない。

Science Alertによればスウェーデン国内にあるいくつかの病院では、すでに医師や看護師などの労働時間を6時間にする動きが見られるという。

さらにイェーテボリにある老人ホームでも、今年の初めから給与を変えずに職員の6時間労働を試験的に導入。

足りない労働分を新しく雇い入れる職員によってまかない、今後はそのコストが患者へのケア向上や職員の士気の高まりに見合うかどうかを見極めるとしている。

さまざまな歴史的経緯をたどって8時間労働が定着したのだが、生産性や労働者の働きやすさの観点から、もう一度検討してみる価値はあるのかもしれない。