“親の年収”と“子の運動能力”の関係が明らかに!? 格差を縮める、年齢別の高め方

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運動会、スポーツテスト、水泳大会、クラブ活動……。

「やればできる」は逆効果!? 親が本当にすべき“励まし方”とは

成長が進むにつれ、子どもの運動能力を試される場が多くなります。結果がすべてではないとわかっていても、我が子の成績を見てちょっとがっかり……。そんな経験をされることもあるかもしれません。

そこで「仕方がない」「もう諦めた」と見離してしまってはもったいない。日常にちょっとした“動き”を取り入れて、運動能力をアップさせてあげましょう!

すすむ運動格差、収入による差も?

人間の運動能力は、遺伝もありますが、むしろ育つ環境が大きく影響します。

国の調査でも、運動やスポーツが好きで日常的に運動している子どもほど、体力や運動能力が高いという結果が出ています。

運動が好きな子は、率先して外で遊ぶ一方、好きでない子は遊ばない。それにより、運動能力の「格差」がますます広がります。

また、民間機関が行った過去の調査によれば、「世帯年収の高い保護者の子どもほど定期的に運動をしている」という興味深い結果も。遊ぶ時間や場所が減ったいま、収入の差が運動格差の一因になっているのか…と複雑な思いになります。

実際には、お金をかけなくても運動やスポーツはできます。問題は、いくら親が運動させたくても、結局子どもが運動自体に魅力を感じないと、運動の機会を増やすのはなかなか難しいということです。

楽しくない=好きじゃない=運動しない。この流れを変えるためにも、運動する場数を増やして楽しさを実感させるような、親子の関わり方がポイントになってきます。

自分のからだを思ったとおりに、自由に動かせるようになれば、運動する楽しさがアップします。そのためには、からだを効率よく動かすための“基礎”をつくることが大切です。

日常の中で運動能力を高める方法

運動能力の基礎をつくるためには、子どもの成長段階に合わせた運動をさせるのが望ましいそう。

幼児期(3〜6歳)は、一生必要な運動の基礎となる動きを体得する時期。この時期に運動経験が少なく「基本的な動き」が身についていないと、自分のからだを上手くコントロールできません。

つまずいて顔面から転んだり、手首を骨折したり……といった過去にはなかった種類のケガが子どもに増えているそうですが、こうした事態は「基本的な動き」の習得により、防ぐことが可能になります。

自分の力で危険から身を守れるようにさせたいですよね。

文部科学省の幼児期運動指針では、幼児期に身につけたい基本的な動きとして、「体のバランスをとる動き」、「体を移動する動き」、「用具などを操作する動き」を挙げています。

“運動”というと、何か特別なスポーツをさせなくてはと思うかもしれませんが、それよりむしろ大事なのは、普段の生活や遊びの中で経験する「いろいろな動き」だとか。

それは公園などでの外遊びはもちろん、家の中での遊び、親とのふれあい、散歩や買い物、お手伝いなど、日常の範囲でも十分できます。

幼児期に身につけたい動き

■【3〜4歳】

体のバランスをとる動き:立つ、座る、寝ころぶ、起きる、回る、転がる、渡る、ぶら下がる、乗る、逆立ちする
体を移動する動き:歩く、走る、はねる、跳ぶ、登る、下りる、這(は)う、よける、すべる、くぐる
遊具例:すべり台、ブランコ、鉄棒、ジャングルジム、マットなど

■【4〜5歳】

用具などを操作する動き:持つ、運ぶ、投げる、捕る、転がす、蹴る、積む、こぐ、掘る、押す、引く
遊具例:なわ跳び、ボール遊び

■【5〜6歳】

上記の動きを組み合わせた動き、全身を使った動き
例:鬼ごっこなど複雑な動きのある遊び、さまざまなルールのある遊び

ポイントは、「発達に応じて」「楽しく」「多様な動き」で運動刺激を与え、体内にさまざまな神経回路を発達させること。毎日60分程度、楽しく外遊びをさせてあげるといいようですよ。

「動きがなんとなくぎごちない」というお子さんには、今からでもぜひ、いろいろな動きを体験させてあげたいですね。

最初はできなくてもOK。小さな「やった!できた!」体験がモチベーションにつながります。

ゴミ捨てに行かせたり、洗濯物のカゴを運ばせたり。そんなちょっとしたお手伝いの積み重ねも、幼児にとっては貴重な運動の機会になりそうです。

小学生では、多彩なスポーツ+基礎トレで運動能力の向上へ

小学生になると、運動に対して苦手意識を持っている子は、ますます外に出なくなりがち。ただ、この時期にはより複雑な動き、洗練された動きができるようになるため、積極的な働きかけで、できるだけ外に連れ出したいものです。

特に9〜12歳頃は、「ゴールデンエイジ」と呼ばれ、運動に関する神経系が最も発達する時期。脳・神経・筋肉の連携がスムーズになり、スポーツ特有の巧みな動きをどんどん吸収できるので、運動能力を伸ばすチャンスです!

運動への取り組み方としては、ひとつの種目にこだわらず、いろいろな運動やスポーツを経験させることが、総合的な体力を高めるのには効果的。

さまざまな動きを通してからだを効率よく使うトレーニングをすることで、徐々に無駄のないスムーズな動き=適切な動きを身につけることができます。

運動能力が高いということは、目や耳などの感覚器⇒脳⇒筋肉の連携プレーが優れているということ。この能力は、鍛えれば鍛えるだけ高めることができるそうです。

多種多彩な動きで刺激を与え、より速く、的確な連携プレーができるようにめざしましょう。

注意したいのは、野球やテニスのように片側の関節にだけ強い負担がかかるようなスポーツの過剰なトレーニングにより、肩やひじにスポーツ障害を起こす例。

これを防ぐためにも、1つの種目に偏らず、いろいろなスポーツを行うようにし、水泳などの“左右対称”に動くスポーツも取り入れることが推奨されます。

基礎体力を高めるトレーニング

運動能力を上げるには、基礎的な筋肉をつける運動、肩甲骨や股関節などの柔軟性を高める運動、からだの軸を安定させる体幹トレーニングなどにより、基礎体力を上げることが大切。

以下の方法は一例です。親子でぜひやってみてください。結構いい運動になりますよ!

■【上半身】

■肩甲骨のストレッチ
合掌のポーズのまま両手を上に伸ばす⇒ひじを曲げながら両手をおろす(Wの形)⇒両腕を後ろに引いて胸を開く。または、背泳ぎの動きをゆっくり行う。

■【体幹】

■片足立ち
両手を広げ、片足立ちでバランスをキープ。反対の足も同様に。片足相撲、じゃんけんなどをしても。

■クランチ(腹筋運動)
仰向けになり、ひざを曲げる⇒お腹に力を入れながら上体を起こす

■【下半身】

■ランジ(股関節を柔らかく、足腰を鍛える)
両手は腰に、片足を大きく前に踏み出しひざを曲げる。反対の足も同様に。

■【ストレッチ】※運動後やお風呂上がりに

モモの表、モモの裏、脚のつけ根、腰、お尻、足裏などを、痛くない程度に伸ばす。

■【全身の筋トレ】※廊下での移動時に

■ハイハイ(四つん這い)歩き
肩関節と股関節を安定させる効果も。

■【すばやく動く練習】※お散歩や通勤・通学がてら

■ライン変更:鋭いステップで横に移動、ラインを変えて前に進む
まっすぐ走る⇒左足を踏ん張って右に移動⇒まっすぐ走る⇒右足を踏ん張って左に移動⇒…

■方向転換:軸足を中心に回転して進行方向を変える
まっすぐ走る⇒左足を軸に90度回転⇒まっすぐ走る⇒右足を軸に90度回転⇒…

■バックペダル(後ろ方向に走る)
まっすぐ走る⇒後ろに進む⇒まっすぐ走る⇒後ろに進む⇒…

なお、ストレッチはよいのですが、あまり寝る前に激しい動きをすると眠れなくなりますのでご注意。

おまけ

短距離走を早く走るには…?

いろいろな説があり、それなりのトレーニングも必要ですが、とりあえず運動会前に見るだけでも効果があるかも!? 『「子供の体力向上」ホームページ』をご参考ください。

<参考>
『運動神経がよくなる「からだ遊び」―小学校入学までに差がつく!』中村和彦/PHP研究所
『子どもの運動神経をグングン伸ばす スポーツの教科書』監修 中野ジェームズ修一/KKベストセラーズ
『どんな子も運動神経が必ずよくなるトレーニング』監修 ワイズ・スポーツ&エンターテイメント 山本晃永 川島浩史