関連画像

写真拡大

17歳の娘の人生を狂わせた23歳の男に罰を与えたいーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにそんな相談がありました。相談を寄せた母親によれば、17歳の娘は、23歳の男性と交際するようになってから、家出を繰り返すようになり、妊娠5ヶ月になるまで親にも妊娠を黙っていました。男性と結婚して一緒に子どもを育てていくつもりだったようです。

しかし男性は、堕胎できない妊娠週数になってから「別れてほしい」と告げて、娘のもとから去って行きました。娘は、高校も辞めることになったそうです。

そんなことから、相談者は「娘の人生を狂わせた」として、男性に、「罰を与えたい」と考えています。17歳の女性を妊娠させ、一方的に別れた男性に慰謝料を請求することはできるのでしょうか。また、刑事罰に問うことはできるのでしょうか。上 将倫弁護士に聞きました。

 ●婚約が成立していると評価できれば、慰謝料を請求できる可能性がある

まず、慰謝料の請求が認められるためには、民法上、違法性を有する不法行為があったといえなければなりません。

17歳の少女を妊娠させたことは、交際関係にある男女が合意に基づいて行った性行為の結果である場合、これを不法行為と解するのは難しいでしょう。

また、結婚していない男女の一方が、交際の解消を選択することは基本的に自由です。交際の解消時に娘さんが妊娠中であったからといって、男性が娘さんのもとから去ったことを不法行為と捉えるのは困難でしょう。

もっとも、例外的な場合にはなりますが、男性との間に婚約が成立していると評価できるような事情がある場合には、婚約破棄を理由に慰謝料を請求する余地はあります。

また、男性は子どもの父親である以上、子どもに対する認知を求め、養育費の支払いを求めることもできます。

刑事罰については、各都道府県が定める18歳未満の者との性的行為を禁じる青少年保護育成条例違反が考えられますが、ここで「淫行」に該当するのは、通常、未成年者をもっぱら性的欲望の対象としているような場合です。

妊娠が分かった後の、男性の対応は、確かに不誠実です。ただ、それだけを理由に、男性が性的関係を結ぶことだけを目的に娘さんと交際していたとまでは断定しがたいところです。よって、処罰を求めることも、困難だと思います。



【取材協力弁護士】
上 将倫(かみ・まさのり)弁護士
平成13年に弁護士登録して現在15年目。家族、子どもなどのドメスティックな問題に関心を持ち、男女間トラブルや離婚、遺言・相続、児童虐待などの事件に積極的に取り組んでいる。
事務所名:弁護士法人松尾・中村・上法律事務所
事務所URL:http://www.mnk-law.jp/