ハンブルクではここまで全6試合にフル出場している酒井。調子は上向きだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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「眠さと疲れはあります」
 
 取材エリアに現われた酒井高徳は、正直にそう語った。10月1日のヘルタ・ベルリン戦にフル出場した直後に日本行きの飛行機に飛び乗り、長時間の移動を強いられた。疲労を感じるのも無理はないだろう。
 
 だが、ハンブルクでがっちりと定位置を掴んでいるSBは、そうしたハードな状況を「普通のこと」と受け入れている。
 
「飛行機のなかで時差の調整をしたり、疲労を最小限に抑える努力はしています。試合に向けた準備は、いろんなところで必要になってきますから」
 
 6節を消化したブンデスリーガでは、右SBで全試合にフル出場。チームは1分け5敗で最下位に沈んでいるものの、酒井個人の出来は悪くない。専門誌『キッカー』の採点(1が最高、6が最低)では、チームの平均点(4.25)を上回る「4.00」を記録している。本人も手応えを感じているようだ。
 
「コンスタントに90分間出場できているのは、選手にとって嬉しいこと。チームが低迷している状況のなかで、自分に何ができるか。それを考えながら、プレーしています」
 
 光るのは、守備の安定感だ。直接的に失点に関与したのはフランク・リベリに突破を許した5節のバイエルン戦くらいで、その他の試合では対峙したアタッカーと互角以上に渡り合っている。6節のヘルタ・ベルリン戦でも、マッチアップした原口元気にほとんど仕事をさせなかった。
 
 9月のUAE戦、タイ戦と同じく、10月6日のイラク戦では左SBで先発する可能性もある。すでにイラクの試合映像はチェック済みで、次のように印象を語った。
 
「90分を通して、しっかりブロックを作って守れる。アジアの国では珍しい。びっくりというか、すごいなと思いましたね」
 
 そのイラクを攻略するうえで酒井に求められるのは、攻撃面での貢献だろう。タイ戦で見せたような積極果敢なオーバーラップで攻撃を活性化できれば、おのずと勝機は見えてくるはずだ。