『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(山崎元、大橋弘祐:著/文響社)

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 恥ずかしながら、私はもう働きたくない。楽して金を手に入れて生きていきたいのだ。そしてもう1つ。私は金にうとい。20代半ばという年齢のせいもあるかもしれないが、社会の金の流れの知識など皆無に等しい。「社会人失格」というハンコがあれば、甘んじて両手で受け止めたい。そんな私にとって『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(山崎元、大橋弘祐:著/文響社)は、まるで打ち出の小槌のような一冊だ。「もう働かなくてすむぞ!!!」。私は本書を掲げて絶叫し、その後むさぼるように読み漁った。

 本書は、お金にド素人の大橋弘祐氏が、東大卒で金融12社を渡り歩いた山崎元氏と、対談形式でお金の増やし方を学んでいく。一言で感想を述べると、読みやすい。何より分かりやすい。アホの私でも理解できた。ただ、今後も私は働かなくてはならないことも理解できた。やはりノーリスクハイリターンはこの世にないのだ。しかし、ローリスクローリターン、つまり確実に金を増やす方法はあるらしい。

「貯蓄を運用にまわして老後の資金を貯めたい」。対談の冒頭で大橋氏が山崎氏に相談する。即答で返ってきた回答が「個人向け国債を買え」だった。国債とは、国の借金である。国が「少し利息をつけて返しますんで、お金を貸してください」と、国民からお金を借りているのだ。ちなみに国債は元本保証なので、途中で解約しない限りお金が減ることはない。本書によると「変動金利型10年満期」なら、みずほ銀行の金利の2倍以上はあるので、銀行にお金を預けているよりはいいそうだ。国が返してくれない可能性を疑う方もいるだろう。確かに日本は1000兆円もの借金をしており、国が破綻するという雑誌や番組企画は多々ある。しかし山崎氏が言うには、日本は国民から金を借りており、本当にヤバくなったら政府がお金を刷って返せるそう。もちろんインフレが起きてしまい、貨幣価値が下がるが、「日本経済が破たんするまではかなり先」と述べている。銀行と国、どちらが先に潰れるかというと、さすがに銀行だ。つまり、運用にまわすお金があるなら、手堅く個人向け国債を買うべきなのだ。

 また、山崎氏はこうぶった切っている。「お金を正しく運用したかったら銀行には近づかない方がいい」。銀行のビジネスモデルとは、金持ちには投資をさせて手数料をもらい、貧乏人には借金をさせて金利をもらう、ということらしい。サラリーマンがローンを組んで家を買わされるのも、定年の退職金を狙って手数料の高い投資信託を買わせるのも、全ては銀行のビジネスモデルだ。銀行員の言うままに投資信託を始めてはいけない。銀行には何一つ買うべきものはなく、窓口で金融商品を買ってはいけないそうだ。例外が唯一、個人向け国債。しかしそれもネット証券で十分だそうだ。理由は手数料が安いこと、そして商品ラインアップが多いことだ。

 本書を読んで、私は山崎氏の小気味良さが大好きになった。個人的に「これは名言だ!」と感じた山崎氏の発言を箇条書きでいくつか並べて、この記事を締めくくらせていただく。

・銀行の無料相談窓口にいる人なんて羊の皮を被った狼だと思ったほうがいい。
・ちなみに言っておくと、外資預金は絶対にやらないほうがいい。完全に銀行のカモだから。
・でもね、投資信託って日本だけでも五千種類以上あって、たぶん99%は検討にもあたいしないゴミなんだけど、その中にいいやつもあるの
・(投資信託は運用手数料が低いところを選ぶべきと説明し、「伝説のヘッジファンド」の話を出して理由を述べだす)1990年代にメリウェザーっていう、ウォール街で活躍していた超優秀なトレーダーがいたんだけど、彼がノーベル経済学賞受賞者なんかを集めて「LTCM」っていうファンドを作ったの。(中略)でも5年でつぶれた。(中略)投資で当て続けることなんて誰もできない。
・(宝くじに関して)ちなみに還元率45%っていうのは驚異的に低くて、世界トップレベルのボッタクリギャンブル。経済的な観点から言うと絶対に買わないほうがいい。

文=いのうえゆきひろ