建設から半世紀を経てもなお魅力を放つ、レトロでナウい「シブいビル」10選

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2020年のオリンピックに向けて都市開発が進んでいく一方で、1964年のオリンピック前後に建てられ、円熟味の増した「シブいビル」は取り壊されることが増えてきている。東京から失われつつあるビルに目を向けよう。昭和の記憶が詰まった「シブいビル」には、いまのビルにはない魅力があるのだから。

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2/10竹橋・パレスサイドビル(1966年竣工)。皇居に面したこのビルは「近代主義建築20選」にも選出されている。大理石でできた威風堂々たる階段が魅力的だ。 PHOTOGRAPHS BY SEISHI SHIRAKAWA

3/10中野ブロードウェイ(1966年竣工)。「サブカルの聖地」と呼ばれているが、実は高級マンションでもある。青島幸男や沢田研二など著名人が住んでいたことでも知られ、屋上庭園やプールなど設備も充実。 PHOTOGRAPHS BY SEISHI SHIRAKAWA

4/10新宿・紀伊國屋ビル(1964年竣工)。ル・コルビュジエに師事した前川國男による設計。曲線が特徴的な外観の印象が強いかもしれないが、このように床材も美しい。 PHOTOGRAPHS BY SEISHI SHIRAKAWA

5/10ニュー新橋ビル(1971年竣工)。白い網のような外観も特徴的だが、内部もさまざまなタイルやガラスが使われており見ていて飽きない。グラデーション豊かな壁のタイルからは温もりが感じられる。 PHOTOGRAPHS BY SEISHI SHIRAKAWA

6/10丸の内・新東京ビル(1965年竣工)。床や壁の大理石使いもさることながら、吹き抜けになった天井にあしらわれた装飾や手すりの曲線が非常に魅力的だ。 PHOTOGRAPHS BY SEISHI SHIRAKAWA

7/10溜池・三会堂ビル(1967年竣工)。エレヴェーターだって「シブい」ポイントだ。壁からくり抜かれたような意匠が面白く、上部にそっと貼られた「2号機」の表示も愛おしい。 PHOTOGRAPHS BY SEISHI SHIRAKAWA

8/10虎ノ門・ホテルオークラ東京 別館(1973年竣工)。本館は建て替え工事のため惜しまれつつ昨年閉館となったが、別館は健在だ。ソファや調度品の高級感もさることながら、切子を模した「オークラ・ランターン」が印象的。この別館にはジョン・レノンも通ったバーがあるという。 PHOTOGRAPHS BY SEISHI SHIRAKAWA

9/10新有楽町ビル(1969年竣工)内、はまの屋パーラー。2011年に惜しまれつつ閉店したものの、現在は同じ場所で営業が再開している。名物の「玉子・サンドゥイッチ」の味もそのまま引き継がれているという。 PHOTOGRAPHS BY SEISHI SHIRAKAWA

10/10新橋駅前ビル(1966年竣工)。巨大なビルの地下の隅々まで飲食店が立ち並ぶ様子はさながらダンジョンのようだ。 PHOTOGRAPHS BY SEISHI SHIRAKAWA

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1964年、東京オリンピック。高度経済成長期を迎えていた日本では都市開発が急激に進み、当世風の意匠が盛り込まれたビルが多く建てられた。そんなビルも老朽化が進み、取り壊されることが増えてきている。当時は最先端だったデザインも、いまや独特の雰囲気を醸し出す。

かつて雑誌『東京人』の副編集長を務めた編集者・鈴木伸子は、愛を込めてそんなビルを「シブい」ビルと呼ぶ。鈴木によってまとめられた『シブいビル 高度成長期生まれ・東京のビルガイド』は、「シブいビル」のガイドブックだ。本書にはデパートやホテル、オフィスビルとジャンルを問わず約20のビルが紹介されている。

ひとくちに「シブいビル」といっても、外観や内装、調度品など「シブい」ポイントはさまざま。それに、シブいのはビルそのものだけとは限らない。新橋駅前ビルの飲み屋街など、ビルの中に入っているテナントも十分に「シブい」ポイントである。

『WIRED』VOL.24では建築ラッシュに沸くニューヨークを特集したが、東京も負けず劣らず新陳代謝の激しい都市だ。そしてそれは2020年のオリンピックへ向けてより一層加速していく。「シブいビル」とは失われゆく東京の風景でもあるのだ。鈴木のInstagramには随時各地のシブいビルが追加されている。きっとあなたの身の回りにもシブいビルがあるはずだ。

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