『ママのスマホになりたい』ある少年の言葉に学ぶ“子育ての正解”って? 作者のぶみさんインタビュー

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いま、書店の絵本コーナーで異彩を放つ1冊があります。

“ママの死”で本当に描きたかったものとは? 大人気絵本『ママがおばけになっちゃった!』作者インタビュー

『ママのスマホになりたい』。主人公のかんたろうくんが、スマートフォンばかり見ているママに爛好泪杙ち込み禁止の国瓩鮑遒辰涜亶魁 でも、スマホばかり見てるママがキライなんじゃない。本当は・・・。かんたろうくんとママの、お互いを思う気持ちに胸がしめつけられます。

今や、20代の90%超、30代の80%超がスマートフォンを利用する時代*。作者ののぶみさんに、スマホ世代の子どもとの向き合い方についてお話をうかがいました。

きっかけは、ある少年が書いた作文

――まずタイトルが衝撃でした。

のぶみさん(以下、のぶみ):絵本コーナーにあるとギョッとする、って言われます(笑)。タイトルに『スマホ』っていう言葉が入った絵本はこれが初めてらしいです。

――インターネットのニュースになったシンガポールの少年の実話がきっかけだったんですよね。

のぶみ:そうなんです。男の子が学校の作文で、犲分の願い瓩砲弔い峠颪い討辰童世錣譴燭鵑任后

その子は、パパとママが自分ではなくスマートフォンとばかり過ごしているから、「スマートフォンになりたい」って書いたんです。エッジが効いてるというか、本当に思ってないと出てこない発想ですよね。記事を見たとき「うーん、みごと!」と思いましたね。

僕もけっこう家にいる時間が長いので、このニュースを見て「うわっ」って思ったんです。「自分も同じだ。テレビ見て、スマホ見てる」って。

“スマホを見ているママ”を責める訳じゃない

――絵本を読んで「わたしもスマホ見てる」と感じたママは多いと思います。

のぶみ:まず伝えたいのは、「この本はママを責める絵本じゃない」ってことです。

スマホ自体が悪いわけでもないです。「スマホはストレス解消にもなってる」っていう意見もあって、この本を発売するにあたって、スマホを見ることは本当にストレス解消になるのかな?と思ってお医者さんが書いたものとかを調べたんです。

それで分かったのは、スマホはけっこう脳の負担になっているということ。人ってぼーっとしてるときに一番α波が出てるから、何もしていない時間っていうのもけっこう大事なんです。

そもそも、女性は男性よりも脳が疲れやすいそうです。いろんなことを同時に処理しようとするから。

たとえば専業主婦の女性が家事をするにしても、買い物しなくちゃ、料理しなくちゃ、洗濯物どうなってるかなっていうことを同時に考えるから、特に脳の休息時間が必要らしいんです。

だから、スマホを見るよりもぼーっとしたり昼寝をしたり子どもと遊んだり、そのほうがママにとってもいいんです。

のぶみ:それに加えて、スマホを見る回数が多いときは、不安とか心配とか孤独とか、ネガティブな感情を持ったときだという話もありました。

僕も、家にいる時間が長いので、時間を決めて家でスマホを見るのをやめてみたんです。それでわかったのは、スマホをやめるのにはコツがあって、「見えないところに置く」こと。そうすれば、つい手に取っちゃうのを防ぐことができました 。

おばあちゃんに学ぶ、「好き」のバロメーター

のぶみ:じつは、いろいろ調べているうちに面白い説を見つけたんです。
子どもの中で、「お母さんがどのくらい遊んでくれたか」がカウントされていて、それが「好き」のバロメーターになっているというものです。

子どもがみんなおばあちゃんのことが好きなのは、おばあちゃんは来たら遊んでくれるから。だからカウントされまくるんです(笑)。実際に来てくれるのは数カ月に1回だけだとしても、来たら遊んでくれるから、また好きになるんです。

一方お母さんは、いつも一緒にいるけど「これはダメ、あれはダメ」って言ったりするわけです。そうするとお母さんが嫌いになる。

子どもにしてみれば、それって当たり前のことなんです。子どもは遊んでくれるお母さんが好きなんです。

この絵本でも、この子は、ブロックが完成したのにお母さんに「わぁ、すごいね」って言ってもらえなかった。それは重大なことなんです。
女の人が髪切って新しい服着てお化粧してデートに行ったのに、いきなり「じゃあ行こうか」って言われるようなものですよね。そりゃあ怒りますよね、「なにか一言ない!?」って(笑)。

ママの「好き」が持つパワー

――絵本の中の「ママね、かんたろうが おもってるより ず〜〜っと、かんたろうの ことが すきなのよ」という言葉、素敵ですね。

のぶみ:お母さんの一番大事な役割って、「あなたが大好きよ、あなたが大嫌いって言ってもあなたが大好きよ」って言い続けることなんですよね。そうすると子どもは安心するんです。

安心した子は外に行って友達を作ろうとするし、友達にやさしくしようとするんです。お母さんがやさしくしてくれたから。安心してる子の方が挑戦できる子になるんですよ。反対に愛されていると実感できないと、自信のない子になる。

子育てって、面白くすればいいものだと思うんです。

怒るのが愛情だからっていうのは子どもには通用しない。それが分かるようになるのはずっと先、その子がお母さん、お父さんになってからですよね。

働くママにも忘れて欲しくない、お母さんの役割

のぶみ:今は、働いていて時間がとれないお母さんも多いです。働いて家事までするっていうのは本当に大変ですよ。時間も少ないし、身体も疲れるから子どもと遊ぶ時間が少なくなります。

でも、少ないからこそ爐ばあちゃん方式瓩鬚箸辰董∋劼匹發醗貊錣砲い觧間はなるべく遊ぶようにしてほしいんです。

子どもが好きなことを一緒に楽しんであげるんです。一緒に楽しんで、子どもがどんなことに興味を持っているのかを知ろうとする。一緒に新幹線の種類覚えるとか。

それはすごく大事なことだと思います。新幹線とか恐竜とか、好きなものの種類を一緒に覚えてあげると、子どもの記憶力もアップするっていう話もあるんですよ。

お母さんの役割は「大好き」って言い続けること、それと、遊んであげること。それがとても大切なんだと思います。

――そうは言っても、つい先回りしていろいろ言ってしまいます。

のぶみ:「ああしなさい、こうしなさい」なんて言わなくてもいいんです、実は。

お母さんが先回りしていろいろ言ったら「お母さんのいうこと聞いてればいいんだ、めんどくせぇけど」ってなるじゃないですか。そうすると、学校に行っても「先生のいうこと聞いてればいいんだ、めんどくせぇけど」ってなる。そのうちに「生きてるって、めんどくせぇな」ってなっていくんです。

だから、たとえば、子どもが幼稚園に行きたくないって言ったとき「じゃあきょうはどうやって過ごす?」って聞いて考えさせてあげたらどうでしょうか。

――なるほど。自分で意味を考えさせるんですね。

のぶみ:「遅刻しちゃいけない」にしても、言うのであれば納得のいく説明をしてほしい。たとえば、好きな女の子と初めて待ち合わせして「ゴメン遅刻しちゃった」じゃマズいよね、とか。

そう話して、もし「学校の先生は別に好きな人じゃない」って言われたら…その子の勝ちですね(笑)。だって学校はデートじゃないもんね!

逆に、遅刻ばかりしてる子でも「僕は朝10時ぐらいから脳が活性化するんだ」って言い続けて、将来IT企業に勤めて午後から仕事するスタイルでうまくいくなら、それはそれで正解なんです。

子どもの考えを聞いてあげていれば、自分で考えられる子になると思うんです。

ただし、人とのコミュニケーション能力を身につけるには学校が重要ですね。それは一人ではできない。どんな職業についたってコミュニケーション能力はいりますから。

笑いと涙のバランス

――『ママのスマホになりたい』、子どもたちやママの反応はどうですか?

のぶみ:読み聞かせをすると、子どもたちもみんな面白がって聞いてくれます。
この本って、読み聞かせするとにぎわう一冊なんです。音で感じられるから、読み聞かせに向いているんじゃないかと思いますね。

―-内容がシンプルで、3分半くらいで読めるのに、笑って泣けますね。

のぶみ:「しんかんくん」も「ママがおばけになっちゃった」も何度も子どもや大人に聞いてもらって作りあげましたけど、これも時間をかけて、読み聞かせもして言葉の流れを整理したり、かなり直しました。

本文の最後の見開きでママが「こんな ママで ごめんね」って言って、そこで終わらない。ここで終わっちゃダメなんです。

そのあとの「しつもんタイム」や裏表紙で「つぎのひ」のひとコマまで一気に読んでほしいですね。裏表紙のオチで子どもたちはみんな盛り上がりますよ。

生きていれば、それだけで子育ては正解!

のぶみ:子育てって、子どもがずっと生きていればひとつの正解なんだと思うです。「産んだ」って、それだけですごいことなんだから。

生きていればそのうち「お母さんありがとう」って言うようになりますよ。お母さんが怒ってばっかりだったとしても。「お母さんにほめられるために生きてきた」って言ってくれるかもしれないし。

だから、それにプラス、何ができるかなっていうところの参考にしてもらえればと思います。

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絵本作家として17年間、子どもと全力で向き合い続けているのぶみさん。
現時点で53万部を超えるベストセラーになった『ママがおばけになっちゃった』(講談社)シリーズでは爐澆鵑福▲泪泙砲發辰抜脅佞靴茲Δ茘瓩箸いΕ瓮奪察璽犬鮃めるなど、子どもたちだけでなくママにも寄り添った作品を生み出しています。

そんなのぶみさんが描く、スマホ世代の親子のきずな。親子で笑って泣いて、心がぽっと温かくなる1冊です。


*参考:「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」―総務省