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中国では今年、「第13次国民経済・社会発展五カ年計画」(2016年〜2020年)が発足したが、それに伴い、中国政府の政策と投資により、国内の4カ所の主要な経済活動地域に4つのIC産業クラスタが構築された、と台湾の市場動向調査企業TrendForceが9月26日付けで伝えた。

これら4地域とは、

・長江三角州(Yangtze River Delta)地域

・珠江三角州(Pearl River Delta)地域
・北京・天津渤海(Beijing-Tianjin Bohai Sea)地域
・中・西部(Central-Western)地域

である。

2020年の第13次5カ年計画の終了までに、中国内のIC産業は20%以上の年間売上高成長率を達成することが期待されており、技術と製造の両面で国際基準に追いつこうとしている。2000年以降、中国政府は国内各所のパイロット自由貿易ゾーン(Pilot Free Trade Zone)内のICサプライチェーンの発展を推進してきたので、産業クラスタは、これらの地域から出現した。

○長江三角州地域

上海を中核都市とするこのIC産業クラスタは、2015年におよそ1792億人民元の年間売上高を達成した。これは4地域の中で最高額である。TrendForceの分析では、長江三角州地域のIC産業は、ICサプライチェーンの主に中・下流のセクションを含み、中国で最も先進的なIC製造およびパッケージング/テスト技術が、この地域に集中している。

○珠江三角州地域

深センを中核都市とするこのIC産業クラスタの年間売上高(2015年)は688億人民元であり、中でもファブレスIC設計による売り上げが一番大きいのが特徴である。スマートフォンや通信機器ベンダHuaweiの子会社であるHisenseは、同地域を代表するIC企業であり、製品設計とシステム/アプリケーションの統合のための重要な地元のハブとして機能している。

○北京・天津渤海地域

この地域のIC産業の中心は北京の中関村科学技術ゾーン(Zhongguancun Science and Technology Zone)である。産業クラスタとしての特徴は、設計、製造、およびアプリケーション開発すべてに焦点を当てていることで、そのIC売上高(2015年)は625億人民元だった。主要企業にはSMIC(北京)と清華紫光集団(Tsinghua Unigroup) が含まれる。

清華紫光集団は、各地のファブレスを次々買収してグル―プ内に取り込んで、IC設計を強化している。また、同集団の海外半導体メーカー買収の夢は消えてはいないだろう。

○中・西部地域

この地域のIC産業クラスタの売上額(2015年)は505億人民元だった。現在、同地域は、中国のNAND型フラッシュメモリ業界の中心的な製造拠点になるための準備が進められている。地域の主要半導体工場としては、武漢市のXMCと西安市にある韓国Samsung Electronicsの3D-NANDフラッシュメモリ・ファブがあげられる。前者は、3D-NAND量産のための巨大なファブを建設中であり、後者は、3D-NANDをさらに増産するための拡張工事を行っている。XMCと清華紫光集団は2016年7月に長江ストレージ・テクノロジー(中国語名:長江存儲科技、英語名:Yangtze River Storage Technology)と呼ばれる持ち株会社を設立した。新会社は、中国内のNANDフラッシュ産業の発展のために国内リソースを結集し割り当てる役目を果たす。

○今後が期待される福建省

これらの4地域に加えて、福建省のIC産業に対する関心も高まっている。福建省を代表する半導体メーカー福建晉華集成電路(Fujian Jin Hua Integrated Circuit:JHICC)の本拠地である。中国共産党第13次5カ年計画のICの生産目標を満たすために大きな役割を果たすための同社の最大の投資は泉州市のDRAMファブで、すでに今夏に着工しているほか、その製造技術は、台湾UMCが提供するとされている。

さらに、福建省とUnited Semiconductor Xiamen(USCXM:UMCの中国法人)は共同で福州、莆田、泉州、アモイなど、東海岸沿いの主要都市を結ぶIC産業のエコシステムを構築するための野心的な計画を策定している。TrendForceは、福建省のICクラスタが、近くの珠江三角州地域のICクラスタと共同作業を行うことができた場合、中国の東南地方は、国内IC業界のなかで大きな影響力を持つようになると見ている。

(服部毅)