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●コップの使い回しはアリ? 朝の歯磨きはしなくてもいい??
歯磨きをしないとむし歯や歯周病になる。そういう共通認識があっても、人それぞれ生活スタイルが異なるため、オーラルケアは自己流になりがちだ。間違った方法が習慣化していても、なかなか気づかないことも多いだろう。

そこで今回は、歯科の能美陽子医師に、歯にまつわる素朴な疑問について真相を教えていただいた。

――家族間での歯ブラシ・コップ等の使い回しは、しても大丈夫ですか?

基本的に、むし歯や歯周病は細菌によって引き起こされる疾患です。むし歯菌がいなければ、糖分コントロールが不良であってもむし歯にはなりません。また、生まれたばかりの赤ん坊の口腔内にはむし歯菌はいませんが、成長過程で周りの保育者から知らない間に菌が移行し、やがて口腔内にすみつくのです。

家庭内で菌が移行していくのは、共に生活するわけですから、ある意味自然の流れだと思います。「リスクを減らす」という点から見れば、歯ブラシやコップの共有は避けるべきでしょう。特に、赤ん坊など3歳以下の子供と大人の共有は少なくとも避ける方が、むし歯のリスクを減らせるだろうと考えます。

しかし、むし歯菌がいるからといって必ずしもむし歯になるわけでもない、というのが実際です。むし歯は菌がいるからという理由だけでは成立しないからです。他に気をつけなければいけないのは、「糖分コントロール」「プラークコントロール」の2つです。要は、"菌の活動が活発にならないように、どのような工夫をしているか"がとても重要なのです。糖分の入った飲食物をどんな頻度で摂取しているのか、また、磨き残しのないようにいかに丁寧にブラッシングを行っているか。むし歯や歯周病は生活習慣病です。日々の積み重ねが、やがて大きな結果となってくるのです。

――夜にしっかりと歯磨きをしていれば、朝の歯磨きはしなくてもいいですか?

基本的に、歯磨きは1日3〜4回はする方がいいと思いますので、朝の歯磨きは必須です。なぜなら、夜間睡眠中は唾液の分泌量が減ります。そのため、自浄作用が減り、口腔内の細菌数はかなり増加します。つまり、寝る前に歯磨きを頑張って菌の数を減らしても、朝には増えているのです。

食べたら磨く。寝る前に磨く。そして、起きたら磨くのです。菌の活動性を下げるポイントは、糖分を口腔内に残さず、プラークをためないこと。菌が活動しにくい環境をどうやって作り維持するかが大切なのです。

●ガムを噛んでいれば、歯磨きはしなくてもいい?
――歯磨きをしすぎること、しなさすぎることのデメリットは?

誤った方法での歯磨きをしすぎた場合、デメリットも生じ得ます。例えば、強い力でゴシゴシと長時間、または1日に何度も歯磨きをする、その際に研磨剤が含有されている歯磨き粉を使用して電動歯ブラシで磨くといった習慣には要注意。歯の表面のエナメル質が摩耗してしまったり、そこから歯がしみるようになったりすることも考えられます。

歯磨きをしなさすぎるケースでは、要は、菌の活動性が上がります。むし歯菌が増えると、むし歯になりやすくなり、歯周病菌が増加すると歯周病が進行します。また、それだけにとどまらず、肺炎や心内膜炎、妊婦さんであれば早産や低体重児の出生リスクも上がります。つまり、全身的な疾患とつながるリスクが、一番気をつけなければいけないことでしょう。

――シュガーレスのタブレットやガムでケアしていれば、歯磨きはしなくてもいいですか?

シュガーレスのタブレットは清涼感を味わうためのものなので、一時的にスッキリするかもしれませんが、歯磨きの効果は皆無です。

一方でシュガーレスのガムには、噛むことで唾液の分泌を促進したり、食渣(食後に口の中に残った食べカス)を洗い流し、色素沈着を防いだりといった効果もあります。歯磨きに類似したような効果もゼロではないですが、歯磨きに取って代わるほどの効果はありません。歯磨きとこれらの食品とは、全く別のものとして捉えるべきでしょう。

――親知らずを抜くと小顔になりますか?

歯は顎の骨に埋まっていますが、その中でも歯槽骨という骨の中に生えています。抜歯をすると、多少なりとも骨の形は変化します。歯があったところの空洞(抜歯窩)は、歯槽骨の一番高いところの骨が多少吸収を起こし、治癒していきます。ただ、顔の輪郭が変化するほどの吸収は起こしませんので、親知らずの歯を抜いても小顔にはなりにくいかと思います。

※画像と本文は関係ありません

○取材協力: 能美陽子(ノウミ・ヨウコ)

歯科医。En女医会所属。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。

(須藤妙子)