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相場も生き物です。そのため、相場の地合いによって、「相場が若い時」、つまりフレッシュな時から、「相場がステール(古い)」になる時まで、いろいろです。その時々の鮮度に応じて、トレーディングのスタイルも変えていく必要があります。

○相場が若い時のスタイル

まず、相場がまだ若いときは、相場も素直な反応をしますので、トレーディング・スタイルも順張りが良いと思います。

余談ですが、「相場が若い」という言葉を初めて聞いたのは、ロンドン勤務の時でした。ロンドンのチーフディーラーがニューヨークのチーフディーラーと国際電話で話していた時、この言葉が耳に入ってきました。

しかし、当時まだ新米ディーラーだった私にはよくわからず、先輩ディーラーに「相場が若いって、なんですか」と聞きました。そうしたら、先輩ディーラーが、「新しい相場が始まったばかりで、トレンド方向に素直に進む相場のことを言うんだよ」と親切に教えていただきました。

まだ、新しい相場に対するマーケットのコンセンサスがなく、ともすれば、逆張りで対応しようとしますが、その逆張り自体が、結局トレンド方向に向かう流れを増幅させることによって、トレンドをさらに推し進める原動力になってしまうことが多くあります。たとえば、2012年から2015年に掛けてのドル/円相場などが良い例です。

つまり、流れに逆らおうとすればするほど、順張り方向の流れが急になり、かつ持続することになります。

○相場が古くなる過程

しかし、そうした急流もいつの間にか、静かになるものです。その一番の理由は、トレンドをマーケット全体が認知してしまった時です。そうなると、右も左もみんな同じ方向に相場を張るようになるため、素直ではなくなります。

これは、ユーロ/ドルの2014年代から現在に至る動きですが、2014年5月から2015年2月まで、下落トレンドにいて、なんと3400ポイントの下落を見ました。

しかし、この一方的な資金移動は2015年2月でパタリと止まった後、1年半にわたって横ばい相場となりました。これは、2014年以来の下落トレンドが、ECBの追加緩和に追随したためにできましたが、金利選好によるユーロからドルへの資金移動が2015年2月に一巡してしまったためです。

しかし、その時点で、マーケットのセンチメントは、ユーロはパリティー(1.0000、等価)まで行くと盛り上がっていたため、レンジ相場の中で、売ったり買ったりのドタバタを続けてしまったことで、マーケットが傷んでしまい。そして動かなくなってしまったものです。

これが、相場がステール(古い)になる過程で、別の言い方で、相場がマチュア(熟す)してしまったという言い方もあります。

○昨今の相場に見られるステール状態

このステールになった状態は、昨今の相場でも、見受けられます。

まず、米国の利上げであり、日本の追加緩和です。米国の利上げについては、もうかれこれ6年もこのテーマが続いており、完璧にステールになっていると思われます。

また、日本の追加緩和も、2014年秋の黒田バズーカ第2弾までは、マーケットも素直な反応をしめしましたが、その後は、発表直後はドル/円は買われても一時的で反落となりました。

このように、人間と同じで、相場も若いうちは素直ですが、年を取るにしたがって、素直さがなくなることがお分かりいただけるかと思います。つまり、トレーディングをするにあたっては、その相場がライフサイクルのどの時点にいるのかを読み、どの段階だからどう対応すべきかを考えることが大変重要になるわけです。

最初に、「相場は生き物だ」と申し上げましたが、こういう訳です。

相場を構成するファクターは、新しく入って来るもの、また去っていくものいろいろです。つまり、相場自体の構成要素がドンドン変わっていきますので、相場を見る時は、自分が相場に合わせて変えていくことが大事です。

○執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら。

(ストラテジスト 水上紀行)