「ようやく日本上陸」といま話題の「Spotify」だが、
「そもそも何?」とか
「なんだっけ?」とか、
何が話題なのかわからないという人も多いのでは? 

Spotifyは2008年にスウェーデンで始まった音楽配信サービス。
有料(定額制)版と広告入りの無料版がある。
収益からアーティストへのロイヤルティを支払うという仕組みだ。

Google PlayやAmazon Music、Apple Music、LINE MUSICなどなど、楽曲の定額配信サービスが広まっているいまなら、当然のサービスなのだが、当時、Spotifyの登場は非常にインパクトがあった。

◎ファイル共有 vs フリーミアムモデル
Spotifyの登場以前は、インターネットではファイル共有ソフトを使ったサービスやコミュニティが人気を集めていた。

P2P(Peer to Peer型、コンピューター同士が対等に行う通信形態)と呼ばれる技術を、初めてサービスとして使ったのはNapsterだった。
これは、ざっくりいうと、
あるユーザーがパソコンに保存しているMP3ファイルのリストを、Napsterのサーバを経由して世界中で共有するというもの。
サーバ上ではファイルを検索し、実際のダウンロードはファイルを持つユーザーのパソコンから行われる。
つまり、ファイルは、当人同士が直接のネットを通してやり取りすることとなる。

ネットを経由してファイルを共有するという、夢のようなことが実現できる。
P2Pのファイル共有はこうした仕組みで、WinnyやBitTorrent、Shareなどさまざまなツールが現れた。

だが、問題はそこでやり取りされるファイルだ。
当時は、違法なものが大多数で、当然、問題視されるようになる。
Napsterをサービスとして提供していたNapster社はアメリカレコード協会(RIAA)などから提訴された。日本でも、Winnyの開発者が著作権侵害行為幇助の疑いで逮捕された(無罪が確定)。

敗訴したNapsterがサービスを終了すると、ファイル共有ツールの持つグレーなイメージがクローズアップされるようになり、人気も下火になっていく。

そんなときに現れたのがSpotifyなのだ。
Spotifyは、利用に際し基本的な部分を無料とし、その代わり利用者は広告を受け入れる。もしくは有料で利用する代わりに広告を表示しない(あるいは、プラスするオプションを利用する)、というサービスモデルだ(その収益からアーティスト側にロイヤリティを支払うという形)。
従来からあったものではあるが、こうした仕組みを「フリーミアムモデル」と呼び出したのもこの頃。

Spotifyは2008年10月にサービスを開始し、ヨーロッパを中心に800万人を超えるユーザーを獲得する。
2011年にはアメリカに進出した。
2012年には日本でも登録受付を始めていたのだが、なかなかサービスが始まらなかった。
それが、ついに始まったということで、「いよいよ」なのだ。

◎定額配信サービスのいま
日本で始めるにあたって、権利団体との調整などの問題だったのかもしれないが、やはり時間がかかりすぎた印象があるのは否めない。
とはいえ、ユーザーはここ数年で定額配信サービスに慣れてきているし、十分、期待できるサービスだ。あとは、どのくらい、どんな楽曲に対応しているか。先行する定額配信サービスと競うことになる。

もちろん、違法な動画や楽曲などを不特定多数が共有するファイル共有ツールはなくなっていないし、いまでは動画サイトとしてウェブに存在し、ブラウザから一般のユーザーが普通に視聴するようになっている。

ただ、サービスとして、(有料でも)きちんとした品質で提供される場があれば、違法な方法で視聴することも少なくなっていくのではないだろうか。違法でかつ劣化したファイルと視聴に耐えうるレベルのファイル、2つが存在すれば誰も好き好んで前者は選ばない。

Napsterはなくなってもなくならなかった違法ダウンロード。それを駆逐したといわれるSpotifyが日本でどう受け入れられるのか、注目したい。


大内孝子