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社内の別部署の人よりも、社外の同業者との方が共有できることが多いと感じることはありませんか。その居心地の良さは、やがて恋愛に発展することもあります。しかし、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに投稿した女性の場合、同業者との結婚により、退職をしなければいけないと言われたそうです。

「結婚相手が同業者で、ライバル社です」という相談者。上司に結婚を報告したところ、「どちらかが辞めなければならないかもしれない」と言われたそうです。しかし「会社の情報などは共有は致しませんし、そのような会話になることもありません」として、会社を辞める気は全くないと言います。

同業他社の社員と結婚によって、退職しなければいけないのでしょうか。あるいは社内で配置転換を打診されたら、受け入れなければいけないのでしょうか。柴田幸正弁護士に話を聞きました。

 ●退職を命じられても「無効」

一般的に、労働者は、営業上の秘密を保持すべき義務(「秘密保持義務」)を負うとされています。

労働者が秘密保持義務に違反したときは、就業規則に規定があれば、それに基づき、「懲戒処分」を受けたり、「損害賠償義務」(債務不履行あるいは不法行為に基づく)を使用者(会社)に対して負ったりすることになります。

しかし、婚約者が同業他社の従業員という理由だけで、秘密保持義務違反に問われるわけではありません。秘密保持義務違反の行為が生じるのはあくまで可能性に過ぎないからです。

ですから、「婚約者が同業他社の従業員」であることだけを理由に、退職を余儀なくされたとしたら、合理的な理由のない解雇を禁ずる「労働契約法」16条に違反し、無効となります。

 ●配置転換はどうか?

次に、配置転換(異動や転勤)を命じられたらどうか、検討してみます。配置転換は本来、業務上の必要性がないものは、法律上認められません。

確かに、営業上の秘密を守るという目的は、営利を追求する会社側にとっては重要なことです。しかし、配置転換という手段がその目的に見合ったものかどうか、慎重に検討する必要があります。

従業員が営業上の秘密を漏えいするおそれがあるとしても、先ずは情報漏えいを防ぐ体制が社内で整っているかをチェックすることが先決です。また、本当にその従業員が情報漏えいを行う危険があるのか、慎重な判断が求められます。

このように、ご夫婦になる方のどちらかが会社をやめなくてはならないということはありません。また、社内での異動についても、必ずしも有効な配転命令とは言えない場合もありますから、無条件に受け入れなければならない、とまでは言い切れないのです。



【取材協力弁護士】
柴田 幸正(しばた・ゆきまさ)弁護士
2008年登録、愛知県弁護士会所属。同弁護士会の消費者委員会では、食の安全問題検討チーム長を務めている。地元の瀬戸市で、個人向けの一般民事・家事事件、中小企業向けの顧問業務などを取り扱っている。メディア出演歴「クイズプレゼンバラエティーQさま!!」など。
事務所名:柴田幸正法律事務所
事務所URL:http://shibatayukimasa-law.p-kit.com/