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算数・数学の文章題で「ありえない状況」

【PJ 2005年06月13日】− 水中の塩分濃度は、最大で28%程度にしかならないのに、「濃度30%の食塩水」と算数の問題に出題された。これは不適切ではないか。私立中学校の算数の入試問題に、このような「ありえない状況」が出題されることが問題になっている。

 一部報道によると、大学の数学教育研究の専門家が明らかにした。この専門家の調査によると、他にも不適切な問題は多数あり、例えば「正六角形の頂点の一つを、ある条件の下で他の辺につくように折った場合、できた角の大きさ」を求める問題では、出題の条件に合うように正六角形を折ると、頂点は他の辺には付かないため求める角が存在しなくなってしまう、という。

 こういう不適切な出題が割合としてどれだけあるかはわからない。しかし、言えることは、こと算数や数学に関しては、出題する問題の「資源」が枯渇してきていることが、背景にある重要な問題だといえる。

 問題の「資源」とはこういう意味だ。現代の大学入試問題集を見る。その問題の類題を、約30年前の問題集で探す。そうすると、ほぼ確実に、類題を見つけることができる。つまり、驚くべきことに、数学や算数の問題のパターンは、すでに30年程前にはほぼ出尽くしているのだ。

 問題の原型がすでに、少なくとも30年前に出来上がっているのならば、あとはそれの数字などを少しずつ変えて変化をつけていくしかない。しかし、数学でもそうだが、とりわけ算数では、解答が「きれいな数字」(=整数や簡単な分数など)になることが求められる。そうすると、バリエーションが無限にあるというわけにはいかない。おのずと、同じパターンから作られる問題の数は制限されてしまうのだ。

 そこで、正解をなるべく「きれいな数」にしようと過去問題をひねった挙げ句、ちょっと設定に無理があるがきれいな数になる、というところで出題してしまった、というのが本音だろう。

 数学や算数では、すっかり同じ数字を設定した出題は、多少の設定が違っても同一問題と言われてしまう。しかし、歴史や化学などでは、同じ年号・同じ化学式が使われても、当然のことだが同一問題とは言われない。このような分野による違いをどう解決したらよいか?ますます枯渇する問題資源を、いかに有効に利用するか?

 その解決の一つが、大学入試におけるセンター試験であったとも言える。センター試験により、多数の大学が入試問題を共有でき、資源の枯渇に歯止めがかけられるからだ。しかし、私立中学・高校入試は、共有化はほとんど進んでいない。資源の枯渇にどう対応していけばよいのか?今回の騒動は、入試制度そのものにまで波紋を広げることになりそうだ。【了】
 
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 広觜志保子【 埼玉県 】
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