『ウシジマくんvs.ホリエモン 人生はカネじゃない!』(堀江貴文/小学館)

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「人生はカネが全てか?」と問いかけられたなら、ホリエモンは何と答えるだろう? あなたならどうだろうか?「Yes」と答える人は少数だと思うが、それはきれいごと。世の中の事件の大半の原因はカネだし、カネがもとで人間関係が壊れる、負債を背負ったとたん周囲から人がサーっといなくなる、などというのはよくある話だ。

『ウシジマくんvs.ホリエモン 人生はカネじゃない!』(堀江貴文/小学館)は、人気マンガ『闇金ウシジマくん』の主人公・ウシジマやその登場人物たちを例にとりながら、ホリエモンこと堀江貴文氏がカネの扱い方を伝授する。

 ウシジマは「10日で5割(トゴ)」「1日3割(ヒサン)」という法外な金利でカネを貸す闇金融の社長だ。今5万円を工面できないのにそんな金利で返せるのかという疑問がわくが、ウシジマのもとには後先考えずにカネを借りにやってくる客が続々と訪れる。

「世の中は奪い合いだ。獲るか獲られるかなら、俺は獲る方を選ぶ!」は第1話のウシジマのセリフ。ウシジマの客はわかりやすい「獲られる方」だが、ホリエモンは「何も考えずに日々、漫然と働き、空いた時間のほとんどをスマホゲームに熱中しているようなサラリーマン」は「獲られる方」になる可能性が高い、という。ではどうすれば「獲られる方」にならないで済むのだろう?

「社会人が苦境に立たされるパターンで、最も多いのはカネにまつわる問題だ。仕事や人生の悩みとかいうのも、よくよく突き詰めていくと、カネへの執着が根本に横たわっているケースがほとんどだ」。ホリエモンのこの指摘はその通りだと思うが、今の世の中、カネなしには生活が成り立たない。カネは必要だ。

 ホリエモンもこう言っている。「人はカネがなくなると、入ってくる情報の質が悪くなり、思考力が落ちるものだ。そしてカネがさらに減っていく悪循環に陥り、結果的に悪いカネに頼らざるを得なくなる。」

 しかし、ここで彼が言いたいのは、“だからカネは大事”ということではない。カネがない悪循環に陥る原因は「カネの本質というものをまるでわかっていないから」なのだ。

 “カネの本質”とは何か。ウシジマは「1万円札の原価は約28円」だと説明し、「金は価値と交換できる引換券だ。金自体に価値はねえよ」と言 ってのける。冷酷なとりたてで絶対に貸したカネを回収しているが、ウシジマにとってカネはただの紙切れで、カネの亡者はウシジマの客たちの方だ。

「すなわちカネとは、信用だ」とホリエモンは言い、一時的に借金をしてもカネのない状態は解消できず、信用をいかにして取り戻すかという考え方をしていかないと、カネで困る人生はいつまでも続く、と指摘する。

 しかし「信用」とは人の心の作用だ。ゆえに「思いこみ」によって形成されていく、という性質がある。常識人のつもりでいても、限られた範囲の思いこみから逃れて生きている人は、ごく稀だ。だから実態がないものも、簡単に信用されてしまうし、させることができる。例えば、怪しい健康アクセサリーやスピリチュアルグッズなどに盲目的にカネをつぎ込むマインドがそうだ、とホリエモンは続ける。

「獲られる方」にならないためにはどうしたらいいのか。ホリエモンの主張は一貫している。「思考を他人に預けるような人生は絶対にやめよう。自分の頭で考えられる人間であるべきだ」。

 ウシジマはこんなセリフも言 っている。「金が全てじゃねぇが、全てに金が必要だ。」ホリエモンはこう言 い換える。「金が全てじゃない。だが意識の変わらないヤツは、全てに金が必要だ」

 本書はウシジマ、ホリエモンを通して、カネの価値や怖さについて考える機会を与えてくれる。自分の人生においてカネとは何か、この難解な問いにじっくり向きあい理解したなら、この先の生き方を変えられるだろう。何事も自分次第なのだ。

文=高橋輝実