日本代表の状況は、これまでにないほど悪いと思います。以前もヨーロッパ組が自分のチームでレギュラーを取れないことはありました。ですが、誰かは先発落ちしたけれど、他の誰かは好調というバランスだったと思います。これほど一度にレギュラー落ちしているのはなかったでしょう。しかも好調が伝えられていた武藤嘉紀はケガで代表を辞退するハメになってしまいました。

試合に出ていないと、どうしても試合勘が鈍り、パフォーマンスは落ちてしまいます。試合中の体力の割り振りができなくなってしまうのです。ましてヨーロッパから帰国して時差を含めてコンディション調整をしなければなりません。

だからと言ってJリーグを振り返ると、はたして今の代表選手を脅かすインパクトを残せた選手は、誰がいるでしょうか? 武藤と宇佐美貴史の代わりに入った齋藤学は好調だと思いますが、他には?

また、選手選考でも疑問が残ります。永木亮太は確かにいい選手だと思います。ですが、「何かを変える」選手ではありません。今回は経験を積ませるために呼んだのだと思いますが、そんなテストが出来るほど余裕があるときではないのです。僕は中村憲剛のようなベテランを入れておくべきだったと思います。

9月のUAE戦でのハリルホジッチ監督は、采配やカードの切り方、冷静さに欠けているように見えました。そういうことを含めて、今、日本代表の流れは本当に悪く、10月のイラク戦、オーストラリア戦は正念場だと思います。

ですが、ピンチとチャンスは紙一重なんです。2010年南アフリカワールドカップのときを思い出してください。大会前の日本代表チームは岡田武史監督ともども酷評されていました。ですが、初戦のカメルーン戦で勝ったことでグッとまとまり、グループリーグを突破しました。

今回のイラク戦、オーストラリア戦で勝利を収めると、チームにはこれまでにない自信が生まれるでしょう。そしてすべてが好転するのではないかと思います。僕はそういう姿を期待します。苦しいでしょうが、すぐそこには明るい未来があるのです。