アメリカでは60件を超える報告が!

アメリカのフロリダ州に「バターカップ」と名付けられた猫が飼われていました。
ある日、バターカップがぐったりして元気がなかったので、飼い主さんは急いで動物病院を訪ねると、赤血球が正常値の5分の1ほどしかなく重度の貧血状態だと診断されたそう。
一刻を争う事態で、バターカップには急いで輸血する必要があったのですが、バターカップの血液に適した猫の血液が見つかりませんでした。

そこで獣医師が決断したのは"犬の血液を輸血すること"。
犬の血液バンクから犬の血液を取り寄せて4時間もの間バターカップに輸血し続けた結果、バターカップの貧血はおさまり、すっかり元気を取り戻したといいます。

実は犬から猫に輸血した事例は、このバターカップの例が初めてではなく、アメリカでは60件を超える事例があるらしいのです。
ただ、この「Xenotransfusion」と呼ばれる異種間の輸血は"多くの失敗例の中で稀に成功例がある"という程で、今回のような緊急事態に限り行われるようです。

なんで犬の血液を猫に輸血できたの?

輸血とは?

通常、同じ動物同士かつ同じ型である血液を使用します。
血液は赤血球・白血球・血小板・血漿から成り立っていて、赤血球には抗原、血漿には抗体が存在します。

抗原…赤血球の分子の形状のこと。抗体…体内に型が異なる血液が入ってくると、その抗原に取りついて(=抗原抗体反応)赤血球を機能不全に陥らせる(=凝集)。

そのため、輸血では異なる型の血液を使用できないのです。

なぜバターカップは助かったのか?

"猫は犬の赤血球に対する抗体を持っていない"ことが今回の異種間輸血の成功のカギです。
犬でなきゃダメだったということと、"猫から犬へ"の逆パターンは出来ないのです。
バターカップの輸血では、あらかじめ赤血球と血漿が分離された血液を使用したため、抗原抗体反応は起こりませんでした。
「猫同士の別の型の血液を輸血するより、異種間でも型が同じ血液の方が良い。」という獣医師の判断です。
輸血の際には、血液型の判定検査とクロスマッチ検査が必要だそうです。

しかし、この輸血方法は何度も可能なわけではありません。
一度犬の血液を輸血した猫には犬の赤血球に対する抗体ができてしまうので、再び同じ猫が犬から輸血を行うとアナフィラキシーというアレルギー反応が起こってしまうため、一度きりの最終手段です。

日本における動物の血液事情

アメリカはペット医療の最先端ということもあってペット用の血液バンクが存在しますが、日本はまだ法的に認められていません。
日本ではそれぞれ動物病院で供血犬や供血猫を飼っている場合が多く、輸血が必要な犬や猫がいたらその供血犬や供血猫から輸血してもらうことが一般的です。
動物病院で飼える数にも限界があるので、もし血液が適合しない場合は他の病院の協力を得るか、飼い主の周りの犬友や猫友に協力を求めたりします。

実際に私の飼っている猫ですが、先天性の病気が見つかって手術しなければならず、「輸血を行う必要があるので、飼い主さんの方でも周りにいる猫さんに声をかけてみてください。」と獣医さんに言われました。
もちろん病院側でも探してくれるとのことでしたが、血液型が合わなければ何匹いても意味がないのです。
私の場合、あらかじめ言われていたので猫友にお願いして型の合う猫さんの協力を得ることができましたが、バターカップのような緊急の場合はそんな時間はないので、同じことが日本で起こったらその獣医さんはどうするのでしょう?

ドナー登録の勧め

そんな日本のペット医療で重要なのが"献血ドナー"の存在です。
動物病院で飼われている供血犬や供血猫での輸血ができない場合に、献血ドナーから採血した血液が使われます。

犬の献血ドナーの条件

日本でのドナー登録は公的なものがないため、各病院での登録になります。
ドナー登録を募集している病院で登録してみてください。

献血ドナーになることができる犬1〜7歳交配経験のないオスまたは妊娠出産の経験がない避妊済みのメスワクチン接種済み、ノミやダニやフィラリアの予防をしているある程度の体重(病院によって違います)献血ドナーになれない犬秋田犬(赤血球細胞内のカリウム濃度が違うため)過去に輸血経験がある犬過去に血液で感染する病気にかかったことがあったり、その疑いがある犬全身性の感染性皮膚疾患にかかっている犬

私自身もそうでしたが、実際に自分の飼っているペットが手術で輸血を経験しないと献血ドナーのありがたみは分からないものです。
自分のペットがいざという時、見ず知らずの犬や猫が苦しんでいる時、どちらの場合もお互いがお互いの助けになれるように、まずはドナー登録してみませんか?