人扱いされてワンコは幸せなのでしょうか?

僕は現在、訪問型ドッグトレーナー兼ドッグリハビリストとして、様々な飼い主さんのお悩みを聞いてレクチャーをしているのですが、僕がご依頼を頂く愛犬家の方々の、実に99.99%は、犬を人間の様に扱っておられます。
つまり世に言う「問題行動犬」ということですよね。

要は犬を人間の様に扱うから犬が困惑するわけで、「そんなの分かってますよ!」と仰る方はたくさんいますが、でも『理屈で解っていてもなかなか…』なんです。
ついつい人間扱いしてしまう原因は、こんなところにあるのかなぁと僕は考えます。

アニメなどのアニマルキャラクター

世の中には動物のキャラクターがたくさんいますよね。
某有名な〇〇ズニーや、ゆるキャラ、マスコット、他にも犬が主人公のアニメなんてのもたくさんあります。
まるで人間の様に言葉を話し、悪と戦い、恋愛をしたりとか、カッコイイのとか、可愛いのとか、あなたもすぐにイメージできるでしょう。

こうやって物や動物を人間のようにデフォルメすることを『擬人化』と言います。
人と会話ができ、私たちと同じように物事を考えるそれらは、とても親近感が湧いてくるものです。
しかし、現実問題として動物たちは会話もできないし、人間とは全く違う概念、感情領域で生きています。

実は、犬を人間の様に擬人化したりすることは犬にとってとても「苦痛」なことなんです。
人間扱いされても幸せだなんて思っていません。
つまり、犬を人間と同じ様に扱うのは、犬にとって良くないことです。
そりゃ可愛がられる事は犬だってまんざら悪い気はしないでしょう。
でも度が過ぎれば「ウザイ…」と思われてしまう。

これは僕がよく言う「人間的愛情感性と犬的愛情感性の違い」なんです。
簡単に言えば人間同士の愛情表現はそれで当たり前でも、人間と犬とでは全く受取り方が異なってしまうんです。
ややこしいでしょ?

これは僕の経験上、数え切れないくらいの愛犬家と接してきて感じたことですが、社会的地位があって社会的一般常識を身に付けた方の方が、「擬人化傾向」が強いですね。
我々の脳裏に刷り込まれたイメージなんですよこれは。
そのイメージの弊害なんですね。

愛してやまない、大切に思うなら犬の目線になって

具体的に言うと「人間の幸福感」と「犬の幸福感」は全く違います。
人に「人格」というものがあるのと同じで、犬にも「犬格」があるのです。
犬の目線で言うと以下の事はとってもストレスが溜まる行為なんです。
ざっくりですがこんな感じです。

いつも犬に語りかける。愚痴を聞いてもらう。赤ちゃん言葉で話す。

人間の場合…「そうなんだ!いろいろ大変なんだね」「いつも優しくしてくれてありがとう」
犬の場合…「うーん。なんか音がうるさいなぁ」「いつも機嫌ばかりとってくるなぁ」

何かといちいち世話を焼く。心配する。

人間の場合…「いつもありがとう♪」「心配かけてごめんね」
犬の場合…「はいはいご苦労さん。もういいよ。放っておいてくれるかな。邪魔されたくないんだ。」「なんか重くて嫌な雰囲気だなぁ」

犬友とは仲良くしてして欲しい。

人間の場合…「〇〇ちゃん達とは友達だから皆平等に仲良くしなくちゃ」
犬の場合…「ここは俺の縄張りだ!俺の方が上位だ〜!」「俺より強そうだ…。逆らわないでおこう」

餌やおやつをたくさん与えているから大丈夫。

人間の場合…「いつもありがとう。ごちそうさまでした♪」「養ってもらってるんだから」
犬の場合…「今日も餌にありつけた♪」「リーダーが群れの仲間に食料を分け与えるのは下位者にとって当然のこと。」

※説明上、犬を擬人化して言葉で表現していますが実際は精神状態だと理解して下さい。

僕はこういうケースを「溺愛自己満足型愛犬家」と呼んでいます。
「押し売りの愛情」はやめて、犬の目線で考えてあげて下さいね。
じゃないとあなたの片思いで終わっちゃいますよ。

じゃあどうやったら犬は幸せを感じてくれるのか?
はい!答えは一つです!注目!

欲求を満たしてもらえるか、もらえないか!

犬の本質から言えばこの1点でほぼ解決できます。
要求じゃありませんよ!欲求ですよ。
要求を満たす必要はゼロです。
もし、要求に応え続けていたら、あなたが下位だと勘違いされてしまいますからね。

犬の欲求を満たすための順序があります。

まずあなたがすることは凛とし堂々と毅然とし、冷静で穏やかなエネルギーを実践して下さい。
犬の本質として第一に活動欲求、探索欲求、狩猟欲求などを満足させてあげることで犬はあなたをリーダーと認め、安心して穏やかな生活を送れるのです。
要するに体力発散ですね。

そしてその中で、

『群れのルールを学ばせる』『ルールを守れば褒める』『愛情を注ぐ』

このルーティンが犬にとって、1番愛情と充実感を感じることができるのです。

NGは真逆の順序です。
愛情ばかり注いで、しつけもしなくちゃいけないと一生懸命になり、運動や発散は疎かになる。
人間扱いに通じる部分で、ここが大事なポイントです。
すると犬はイライラと困惑で「自己発散行動」を取り始めます。
吠えや、家具やカーペットをガジガジやったり興奮が止まらず、もっと悪化すればあなたにグルル〜と牙を向けたりするんですよ、これは避けたいですね!
犬って手が掛かりますよ〜。

さいごに

犬という生き物はある意味人間より優れているのです。
人間よりはるかに寛容で、争いを好まず、慈悲に満ちています。
そして敬意と忠誠を尽くしてくれます。

太古の昔から我々人間と共存することを受け入れてくれたのです。
「逆でしょ!」と仰る方もいるでしょうが、考えてみて下さい。
地球上で人間をこれほど受け入れている動物の最高峰が犬なんですよ。
猫や小鳥とか他にもいますが、これだけパートナーシップを持つ動物は犬しかいません。
だから我々人間も、犬としての敬意と尊厳を持って暮らす必要があるのです。

悪い言い方をすると、犬を勝手に人間扱いする割には、いざと言う時は犬として粗末に扱っている愛犬家がいる。
犬の本質がもっと世の中に認識されれば、殺処分なんてとても出来ないと僕は思うんですけどねぇ。
僕らは同じ生命なんですから。