住宅ローンを払うなら、繰り上げ返済? 計画どおり?

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■住宅ローンは“いい借金”

家計に少し余裕ができて、住宅ローンの返済額を当初の計画より増やせそうな場合、2つの選択肢が生まれます。

(1)余裕を住宅ローン返済に回して、なるべく早く返し終わるようにする。
(2)返済は当初の約定どおりとし、余裕資金は貯蓄として手元に残したり、投資に充てたりする。

(1)は、多くの人に共通の心理に違いありません。しかし、その選択は正しいのでしょうか。

何より、住宅ローンは“いい借金”です。各種ローンと比べると現在は金利が非常に低く、しかも長期で貸してくれるものだからです。逆に教育ローンや自動車ローン、カードローン等は割高です。繰り上げ返済したせいで、子供の入学金が準備できず、あるいは子供の結婚資金や親の入院費用を援助できず、割高なローンに頼る羽目に……これでは賢い選択とはいえません。

闇雲に動かずに、人生をトータルに俯瞰したライフプランを持っておくことが大切です。今後、どの時期に、どの程度の金額が必要になり、その資金はどうするか。それを考えれば、現金を手元に残すほうが必要と判断するに至ることも少なからずありうるのです。

さらに、将来事業をしたいと考えている人ならなおさら、手元に現金を残すほうを選ぶべきです。事業のための融資を受けるには、自己資金がポイントになるからです。

たとえばアパート経営をするためにアパートローンで資金を借りるときも、自己資金がいくらあるかが重要な審査項目となります。借金ゼロ・自己資金ゼロより、住宅ローンはあるが自己資金もあるという人のほうが、「お金が回っている」好ましい人なのです。

さらに、繰り上げ返済をしない場合、現金を投資に回すという選択もいいでしょう。住宅ローンの金利以上のリターンを得る自信があるなら、余裕資金は返済に回すより投資に注ぎ込んだほうがプラスだということになります。

また、住宅ローンと組み合わされる「団体信用生命保険」の存在も、判断材料の1つとなるでしょう。

万一、自分が死んだら住宅ローンの残高がゼロになる保険。ローン金利の中に保険料が含まれている保険。「返済不能になってマイホームを手離す羽目に」という心配は、こういう形でも解消することができます。

結局、漠然とした不安解消のために繰り上げ返済に走るのは、けっして賢明ではないということです。

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コンサルタント・元メガバンク支店長 菅井敏之(すがい・としゆき)
1960年生まれ。83年三井銀行(現・三井住友銀行)に入行。支店長を経て48歳で起業。年間7000万円の収入を得る不動産投資家でもある。著書に『家族のお金が増えるのは、どっち!?』『お金が貯まるのは、どっち!?』。

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(コンサルタント・元メガバンク支店長 菅井敏之 構成=小山唯史)