台湾が国際民間航空機関(ICAO)の年次総会への出席を拒まれた。国民党・馬英九総統時代の3年前の総会には参加が認められており、独立志向の強い民進党・蔡英文政権に中国が圧力をかけたようだ。

写真拡大

2016年9月30日、台湾が27日にカナダ・モントリオールで開幕した国際民間航空機関(ICAO)の年次総会から閉め出された。ICAOは台湾メディアの取材も拒否した。台湾は国民党・馬英九総統時代の3年前の総会には特別ゲストとして参加が認められていた。独立志向の強い民進党・蔡英文政権に中国が圧力をかけたとみられる。

ICAOは民間の航空機に関するルールを定める国連の専門機関。1947年に発足し、加盟国は191カ国。日本は56年の国連加盟に先立って53年に加盟した。事務局長(任期3年)は2015年に就任した中国人女性の柳芳氏。中国人の事務局長選出は初めてだった。

総会は3年ごとの開催。1971年の国連脱退後、ICAOのメンバーとしての資格を失った台湾は運航・管制の国際基準などの情報を他国を通じて入手してきたが、前回2013年の総会を前に馬政権は参加に向けてロビー活動を展開した。「一つの中国」の原則を中台双方が口頭で認め合ったとする「92年合意」を中国側と共有するなどの融和政策も奏功。五輪などと同じ「中華台北(チャイニーズ・タイペイ)」の呼称を使い、特別ゲスト扱いで参加した。

ところが今回の総会に関しては、9月下旬になってもICAOから台湾に招待状が届かないまま。蔡総統は「台湾に対する極めて不公平な待遇だ」と反発し、李大維外交部長(外相)も「強烈な遺憾と不満」を表明した。対中政策を担当する行政院(内閣)大陸委員会は「国際機関への参加に政治圧力を加えるやり方に強烈な不満を表明する」とのコメントを出した。

台湾締め出しはメディアにも波及。中央通信社によると、同社の記者が取材証の申請を試みたが、ICAOの担当者は「数日前に関連部門からの通達があった。中央通信社は台湾メディアのため、あなた(記者)がカナダのパスポートを持っていても、取材証を渡すことはできかねる」と語ったという。

ICAOは3年前にも、「一つの中国」を支持するとして台湾メディアの取材申請を拒否。しかし、その際は台湾新聞記者協会が報道の自由に違反するとして抗議し、外交部の尽力や台湾の出席が決まったこともあり、取材が認められていた。

一方、中国外交部の陸慷報道局長は「ICAOは国連の専門機関であり、(主権国家でない)台湾に参加の権利はない」と述べ、認めない考えを強調。中国で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の報道官も「台湾側が参加できない状況は、完全に民進党当局がつくり出したものだ」と批判する談話を発表した。

台湾が国際会議に参加を拒まれるケースは、今年1月の総統選挙で蔡氏が勝利してから顕著になっている。台湾メディアによると、4月にブリュッセルで開かれた経済協力開発機構(OECD)の鉄鋼に関する会合で、中国が出席させないよう要求。国連食糧農業機関(FAO)の水産委員会が7月にローマで開いた会合でも、行政院農業委員会漁業署(水産庁に相当)が派遣した職員2人が中国関係者の圧力で出席を拒否された。(編集/日向)