二酸化ケイ素からできる鉱物「オパール」。10月の誕生石としてもおなじみの、美しい宝石です。
何といっても有名なのは、見る角度によって、さまざまな色が揺らめく「遊色効果」を持つもの(プレシャスオパール)。
その他、黒っぽい地色の「ブラックオパール」、乳白色の「ホワイトオパール」、赤や黄色の「ファイアオパール」などが知られています。
オパールという名前は「目」を意味するギリシャ語に由来するとされ、視力を改善する石とも、まわりの人の「目を曇らす」石とも言われてきました。
今回は、謎めいた輝きを放つオパールの物語をお届けします。

見る角度によって、さまざまな表情を見せるオパール


オパールは「目の石」? お守りにも?

古い物語や言い伝えをひも解くと、オパールには「目」にまつわるお話が多いことに驚かされます。
北欧神話の詩歌集「エッダ」に出てくる神聖な石「ヤルカシュタイン」は、ヴォルンドという鍛冶屋が、なんと子どもたちの目から作ったもの。
乳白色に輝いていたといわれるこの石は、オパールのことだと考えられています。
中世ヨーロッパでは、オパールは「目の石」を意味する「オフタルミオス(ophthalmios)」と呼ばれていました。
細かい作業をする時に、オパールを月桂樹の葉っぱで包んでお守りにする習慣があったのだとか。

ブラック、ホワイト、グリーン……種類が豊富なのもオパールの魅力。写真はファイアオパール

ブラック、ホワイト、グリーン……種類が豊富なのもオパールの魅力。写真はファイアオパール


マイナスとプラス、相反するイメージも魅力

オパールを「移り気」の象徴として描いたのは、かのシェイクスピアの「十二夜」。
また、オパールを持つ者は「姿を消すことができる」とされ、泥棒や盗賊が守護石としてオパールを持ち歩いていたといわれます。
「邪眼」などの民間信仰と結びつき、わざわいをもたらす石とも、逆に「邪眼」を避ける力を持つと考えられたこともあったようです。
その反面、オパールには「王の名誉を守護する」力があるとも言われ、神聖ローマ帝国の王冠には見事なオパールがはめ込まれていました。
相反するイメージを持つオパールですが、それだけ昔の人びとは「強力な力を持つ石」だと考え、大切にしていたということなのでしょう。

原石から顔をのぞかせた、美しいオパール

原石から顔をのぞかせた、美しいオパール


オパールになった恐竜「エリック」

動物や植物の化石が、オパールのように自然に変化する「オパール化」も、よく知られていますよね。
これは、珪酸分を含んだ地下水が化石にしみこんで、有機物が珪酸部に少しずつ置き換わることで起きる現象です。
木の化石がオパール化した「ウッドオパール」などが有名ですね。
さぞ長い年月をかけて起きるのだろう……と思いがちな「オパール化」ですが、条件によっては非常に急速に起きることがわかっています。
「数か月のあいだにウッドオパールができた」という実験結果もあるそうですよ。
オパール化した化石で有名なのが、1987年にオーストラリアで発見された、プリオサウルスという恐竜の化石。
体長約2メートルの恐竜の化石が、ほぼ全身そろった姿で見つかったのです。
この化石は「エリック」と命名され、シドニーの博物館で管理されています。
オパールにまつわる物語、いかがでしたか?
水分の含有量が多いオパールは、とても繊細な宝石です。お手元にオパールをお持ちの方は、どうか細心の注意を払ってお取り扱いを!
10月生まれの方もそうでない方も、かけがえのない宝石との、一期一会の出会いを楽しんでくださいね。
参考:ジョージ・フレデリック・クンツ(鏡リュウジ監訳)「図説 宝石と鉱物の文化誌 伝説・迷信・象徴」(原書房)
塚田眞弘(松原聰監修)「天然石と宝石の図鑑」(日本実業出版社)