北朝鮮の脅威に対抗して韓国で続く核武装論議。最新の世論調査では核兵器保有に「賛成」が過半数を超えた。背景には韓国に「核の傘」を提供している米国への不信感ものぞく。

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2016年9月30日、北朝鮮の脅威に対抗して韓国で核武装論議が止まらない。韓国政府は「朝鮮半島に核があってはならない」との立場で、核拡散を嫌う米国も強く反対しているが、最新の世論調査では核兵器保有に「賛成」が過半数を超えた。背景には韓国に「核の傘」を提供している米国への不信感も見え隠れする。

聯合ニュースによると、世論調査会社の韓国ギャラップが北朝鮮による5回目の核実験の後の23日に発表したアンケート結果で、韓国も核兵器を保有すべきだとする一部政界の主張に賛成する回答が58%と反対の34%を大きく上回った。

今年1月の4回目の核実験後に実施された同じ調査では、「賛成」が54%、「反対」が38%だった。今回の結果についてギャラップは「度重なる核実験など北朝鮮の最近の態度が韓国国民の対北感情を悪化させているようだ」と分析している。

韓国メディアによると、与党の「セヌリ党」では李貞鉉代表が「北朝鮮の挑発に現在よりはるかに強力な措置を講じるべきだ。私たちがいつも例外としてきた問題を今後は果敢に議論のテーブルに乗せなければならない」として、核武装論議を本格的させる意向を表明。セヌリ党の次期大統領選挙の有力候補の中では、金武星・前代表と金文洙・前京畿道知事が核武装論を支持している。

核武装論議に関して韓国政府は公式見解を明らかにしていないが、聯合ニュースは政府高官が朝鮮半島非核化の原則を改めて強調し、「朝鮮半島に核があってはならず、核兵器のない世界のビジョンは朝鮮半島から始まらなければならないと語った」と報道。米政府高官も「米韓両国の利益に合致しない」と反対している。

野党の「共に民主党」や「国民の党」は、与党内の核武装論議について「現実性のない危険な主張」などと批判。各種世論調査で次期大統領選の支持率トップに立った潘基文国連事務総長も「望ましくない」との見解を示した。

それでも核武装論議が加速するのは、米国が本当に韓国を守ってくれるかに疑問符がつきまとうためだ。中央日報は「米国は韓国に確かな核の傘を保障すべき時だ」との社説を掲載。「北朝鮮が核弾頭を米本土まで飛ばすことができるようになったとしても、米国があえて危険を冒してまで韓国に核の傘を提供するとは確信しがたい」と指摘した。

その上で「このような状況があるため韓国の核武装論が持ち上がっている」として、「最も大きな責任は米国にある。北朝鮮のいかなる核の脅威からも韓国を保護できる核の傘が、その強固さを韓国民に納得させなければならない」と訴えている。

朝鮮日報も社説で「いくら同盟だといっても、5000万の国民の生存が懸かった問題を完全に他国へ委ねるのは誰が見ても正常ではない」と言及。「世界の歴史を振り返ってみても、同盟が無限かつ永遠だったことはない」と警鐘を鳴らしている。(編集/日向)