女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちのエピソードです。

今回お話を伺ったのは、法曹関連の会社に勤務する森田久美子さん(仮名・37歳)。彼女は東京都の都心にある法務関連の会社で、一般職の事務員として働いています。そこそこ有名な大学の法学部を出ており、今の会社が3社目。正社員として採用されており、手取りの収入は、毎月30万円ほど。東京都世田谷区駒沢公園の瀟洒なマンションに住んでおり、ずっと独身です。容姿はかなりの美人で、タレントの優木まおみさんに似ていますが、肌が不自然につっぱっています。

ファッションはフリルの白ブラウスに、ツイード素材でピンク色のバルーンミニスカートをはいており、かなり痛い感じがあります。ヘアスタイルはキレイに巻いているセミロングで、美容に力を入れていることがわかります。

まずは、仕事内容について伺いました。

「仕事は専門的な使い走りというか、判例を調べたり、書類を取りに行ったり、入出金を管理したり、お客さんと先生(弁護士)のスケジュール調整をしています。居心地はいいですよ。抱えている裁判が相手側に勝つと、高級ケーキが振る舞われたりするアットホームな感じが好きです。ほとんど残業もありませんし、期日を守って作業をしていれば、先生たちから可愛がられるし、ノルマもないし、女の子にはいい職場だと思います」

久美子さんは自分のことを“女の子”と言う。職場でもそう言われているのか聞いてみました。

「はい。ウチの会社には私みたいな女の子が正社員で5人いて、20人くらいの弁護士の先生のお手伝いをしています。自分で言うのもなんですが、ウチに転職した10年前から私は職場のアイドルだった。でも私がいつの間にか一番年上になっていて……。顔は一番私が可愛いと思うんですけど、若い子には負けますよね。肌も髪もツヤツヤで、全然違うんだもん」

久美子さんは、ずっと片思いしていた弁護士がいたそうです。彼は40歳で、バツイチ。前の奥さんとの間に2人の息子がいるといいます。

「10年前に初めて会ってから、ずっと好きだったんですよね。出会った時は結婚していたのですが、その5年後に離婚。私が彼のことを好きだと知っていたから、てっきり私に交際を申し込んでくれるのかと思いきや、事務所の後輩の25歳の女の子と付き合っていたんですよ。彼女は超ブサイクで、胸ばかり大きいバカみたいな子で、仕事もできなかったのに、まさか彼を奪われるとは思いませんでした」

彼が別の女性と結婚してしまったショックで、久美子さんはうつっぽくなってしまう。

しかし、よく話を聞くと久美子さんは何のアプローチもしていません。

「私から告白なんてしていませんが、私はキレイでいるためにお金も手間もかけていますよ。もともと、美容には気を使っていましたが、あの時から本気で若返らないと結婚すらできないと思いました。片思いしていた彼の姿を見るのが辛くて、会社を辞めようと思いましたが、彼は結婚してすぐに事務所をやめてアメリカに行ってしまったので、ホッとしています。彼に限らず、私が知っている独身の弁護士は、皆若くて美人な子が好き。周囲では“●●先生は10歳年下の彼女がいる”とか、“●●先生の奥さんは8歳も年下”とか、そんな話ばかりしています。私も実年齢マイナス5歳の見た目を目指して、必死でエステに行って、ダイエットして頑張っているのですが、誰からもプロポーズされません」

久美子さんは確かに見た目が若々しいです。とりわけて髪がツヤツヤなので、どんなケアをしているのか詳しく教えてもらいました。

「基本的に美容は、憧れの有名人のブログを見て、片っ端からまねています。一番参考にしているのは、タレントの紗栄子さん。彼女みたいになりたくて、髪はすごくお金をかけています。シャンプーとコンディショナーは同じものを使っていて、300mlで1本4千円くらい。髪のためにはシャンプー前に“予洗い”するのが大切だと聞いたので、毎日シャンプー前に10分くらい髪をお湯ですすいでいます。まっすぐな髪の毛がスッと生えてくるように、頭皮ケアの美容機器も購入しました」

シャワーを毎日10分間もしていては、水道光熱費を含めて美容代がものすごくかかりそうです。

「美容代は、月に10万円くらいかけているかも。家賃が10万円、美容代が10万円、残りの10万円で食費や生活費を払うから私は1円も貯金がありません。お金……こんなこと言ったらはしたないですが、お金、欲しいです。でも結婚して一発逆転できると思っているので、貯金の必要は無いとも思っているんですよ。キレイにならないと結婚できないし、キレイになるにはお金がかかる。私の下には20代の女の子たちがいて、顔も頭も私より悪いのに、いい男をゲットするのが許せない」

若い女性を全て呪うようなメンタリティーになってしまったことも……。(写真はイメージ)

美容代をかけすぎて、借金まみれ。結婚のための美への投資の内訳とは?〜その2〜に続きます。