(※写真はイメージです)

写真拡大

ベッキーの不倫謝罪会見に始まり、高畑裕太逮捕による母・高畑淳子の記者会見まで、近ごろは記者会見に対して賛否両論が巻き起こる例が多い。マスコミが生まれてから現在まで、数々の記者会見が行われてきた。
そんな記者会見史上でも圧倒的に奇妙で、賛否の評価をしがたいのが、ライフスペース・高橋弘二代表による記者会見だ。

高橋代表による記者会見は、人がひとり死亡している事件について開かれたにもかかわらず、記者たちが大爆笑に包まれるという異様な展開をみせる。

「ライフスペース事件」とは?


1999年11月、千葉県成田市のホテルから、「4か月以上も宿泊している不審な客がいる」と警察へ通報があった。警察が駆け付けると、ホテルの一室のベットにミイラ化した男性の遺体が横たわっていた。

部屋を借りていたのは、自己啓発セミナー(実質は新宗教団体)のライフスペースのメンバーたちだった。遺体の男性は脳出血で入院中の病院から家族によって連れ出され、ホテルの部屋でシャクティパッドという「治療」をほどこされている最中だった。
シャクティパッドとは、頭部を軽く叩くことによって病気を治す「治療法」を指している。男性の家族も含め、ライフスペースのメンバーは「男性はまだ生きていた」「警察の司法解剖によって死亡した」などと主張した。

あまりに特異な事件であり、ニュース番組からワイドショーまでもが連日事件の成り行きを伝えていた。記者の質問に答えるライフスペースのメンバーは、きれいな服装をした普通の若者たちで、異常な事件を引き起こしたようには見えなかった。

"グル"こと高橋弘二代表の登場


注目が集まる中、ライフスペース高橋弘二代表が記者会見を開く。ミイラ遺体にシャクティパッドをほどこしていた張本人だ。会見場に現れた高橋代表は、白髪の長髪に長いひげという、まさに教祖を絵に描いたような人物だった。

高橋代表は自らをグル(宗教指導者の意味)と称し、インドの宗教家・サイババの直弟子と主張していた。

大爆笑に終わった記者会見


そして記者と高橋代表のシュールなやり取りが開始される。
高橋代表は、記者の質問に対して「定説」という自身の主張を次々と語っていった。高橋代表が語った定説には次のようなものがある。

・パワーが高ければ歯などみがく必要がない。なぜなら口臭が起きない。
・お風呂に入ることはない。なぜなら汚れない。
・私はそら豆オンリーしか食べない。
・グルとは、トマト、えび、そば、これらを少量ずつ食べながら死んでいくもの。
・私は何も食べなくても死なないというのは聞こえなかった?
・イギリスではグルのことを「The GURU」と言います。インドに近いもんで。
・定説とはイコール病気。定説とはイコール「The GURU」。

死者が出た事件であり、記者たちは最初のうちは真剣に質問を繰り返していた。しかし、「定説とはイコール『The GURU』」のところで、こらえきれずにひとりの女性記者が吹き出してしまう。ここから堰を切ったように、記者席は笑いに包まれていった。

さらに記者から「サイババさんは高橋さんのことを知らないと言っていますが?」と、核心を突く質問が発せられた。ここで高橋代表は長い間を取る。そして、「それはサイババの勝手なんです」という有名なひと言を発した。記者からカメラマンまで大爆笑というクライマックスを迎えた。

高橋代表の本当の恐ろしさ


この記者会見は、高橋代表が支離滅裂な発言を繰り返し、記者が失笑しただけにみえる。
しかし高橋代表の発言をよくみると、記者からの質問にアドリブで答えているのにもかかわらず、独特のリズムがあって語呂が良くキャッチコピーのような雰囲気を持っている。おそらくこれが洗脳・マインドコントロールの手法のひとつなのだ。発する言葉になぜか聞き入ってしまう変な魅力がある。

目の前の人物は人を死なせた容疑者なのに、記者たちは怒りではなくおもしろさを感じて笑ってしまう。これこそが高橋代表の恐ろしい能力といえるのだろう。

20年近く前に起きた奇妙な事件ではあるが、マインドコントロールなどのトラブルに巻き込まれないためには参考になる部分もありそうだ。
(近添真琴)

※イメージ画像はamazonより熱烈!カープ魂