胃に穴が開く…  ホントなの?原因は?

写真拡大


執筆:井上 愛子(保健師、看護師)


「ストレスがたまると胃に穴が開く」と聞いたことはありませんか?

実際に何らかの原因によって胃が傷つき、その傷が深くなることで、胃に穴が開いてしまうことがあります。そしてその原因は、ストレスだけではありません。どんな原因が考えられるのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。

「胃に穴が開く」ってどんなこと?

胃に穴が開くことを「胃穿孔(いせんこう)」といいます。激しい腹痛を伴い、場合によっては生命の危険につながることもあります。

胃穿孔の原因には、胃潰瘍や胃がんなどの病気の合併症、鎮痛剤などの飲み過ぎによる薬の副作用やストレスなどがあります。実際には、胃潰瘍の合併症で穴が開くことが多いです。

こんな症状が続いているときは

次の症状が続いている場合には、胃潰瘍や胃がんの可能性があり、注意が必要です。

・みぞおちから左にかけての鈍い痛み
・背中の痛み
・空腹時ではなく食事中や食後の胃痛
・胃もたれ
・嘔気・嘔吐
・胸やけ
・すっぱいげっぷ
・食欲不振や体重減少
・吐血
・下血(「タール便」といわれる黒色便や暗赤色〜黒色便が出る)


胃潰瘍から胃穿孔が起こる期間は、数時間〜数週間といわれています。また胃がんの場合でも、胃穿孔は、胃がんがかなり進行してから起こるといわれています。

どちらの場合も突如胃穿孔が起こるわけではありません。症状がある場合でも早期に対処することで、未然に防ぐことができます。

穴が開いたらどんな症状が出る?

胃壁が傷ついて穴が開く前にはじわじわと出血があるため、腹痛のほかに下痢や嘔吐などの消化器症状がでます。また、穴が開いて時間が経過するとともに、激しい腹痛や発熱、呼吸困難、血圧低下などのショック症状を起こす可能性があります。

胃に穴が開き、胃内容物が腹腔内に少しでも漏れると、腹膜炎や感染症を引き起こす原因になります。急性腹膜炎では、緊急手術を行う必要もあり、すぐに病院に相談しましょう。

胃に穴が空いた場合どんな治療がおこなわれるの?

症状が軽度の場合には、胃内容物の吸引をし、抗生物質や抗潰瘍剤の使用により回復を目指すこともあります。しかし、胃穿孔が起こった場合には、全身への影響を防ぐため穴をふさぐことが最優先となり、大抵の場合は手術が行われます。

手術では、状態に合わせて開腹術、もしくは腹腔鏡術が選択されます。

では、このような事態を招かないためには、どんなことに気をつければよいのでしょうか?

胃を傷つけないためにはどうすればいいの?

胃穿孔を予防するために、次のことに気をつけましょう。

薬の副作用


消炎鎮痛剤は胃壁を傷つけやすく、長期間内服する場合は、胃潰瘍から胃穿孔を起こす危険性があります。長期間内服する場合は、病院で相談の上、胃薬や胃粘膜保護剤を一緒に服用することをおすすめします。

もし、腰痛や頭痛、月経痛などで市販の鎮痛剤を長期間飲み続けているのであれば、まずは胃潰瘍の症状に注意しましょう。

過度なストレス


過度なストレスがかかると自律神経が乱れ、胃液の分泌が過剰になり、胃粘膜を保護する作用が低下します。胃液には、自分の細胞も消化してしまうほど強い酸性の胃酸が含まれているため、胃酸と胃粘膜のバランスが乱れると胃壁を自ら傷つけてしまいます。

精神的なストレスだけでなく、暴飲暴食などによる胃への負担(ストレス)も、胃酸分泌を過剰にするため、注意しましょう。

飲み物


アルコール、コーヒーにはリラックス効果がありますが、胃を刺激して胃酸を増加させます。摂りすぎは逆に胃の負担となるため、注意が必要です。

タバコやピロリ菌


胃粘膜が傷つきやすい状態を回避するためには、禁煙することやピロリ菌を除菌することも有効です。ピロリ菌は胃潰瘍や慢性胃炎、胃がんの原因になる可能性があるとされています。


胃に穴が開くと、胃にとどまらず全身に影響し、生命に関わるリスクを伴います。胃に穴が開く前には腹痛などさまざまな腹部の症状があるため、体調に応じて病院で相談しましょう。

また、ストレスを溜めこまないようにし、上手にストレス発散できるようにすることも大切です。体調を整えるためには1日3食バランスよく食べ、適度な運動と十分な休息をとりましょう。


<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン