xiangtao / PIXTA(ピクスタ)

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 身に付けたいスキルを分解し、パーツスキルを反復演習する方式の「分解スキル・反復演習」を実施する中で、上司から受けた激励の助言を洗い出してもらったことがある。具体的な内容を挙げた人もいたが、圧倒的に多かったのが、「がんばれ」「ふんばれ」「頼むぞ」「期待している」という決まり文句だった。
 
 激励の決まり文句を言われて、どう感じたかを挙げてもらうと、「ただ、がんばれと言われても……」「どうやって、ふんばれというのか……」「親身なってもらっているとは思えない……」という意味の反応が返ってくる。

 それを他山の石として、今度は自分が激励の助言をする立場に立って、困難に直面している同僚や部下に対してどのようなコミュニケーションをとるか演習していくのだが、どのような言葉をかけてよいか思い浮かばずに、とっさに出てくるのは、やはり「がんばってみましょう……」という決まり文句になってしまうという光景に、よく直面する。

 読者のみなさんも、同じような経験をしたことがあるのではないだろうか。そして、もし、困難に直面している同僚や部下や後輩に対して、あるいは、家族に対して、「身に染みる助言ができればなあ」と思った経験のある方も多いに違いない。

 実は、分解スキル・反復演習の考え方を用いると、決まり文句ではない、相手が身に染みる助言を生み出すことができる。それも、フレーズを暗記する方法ではなく、相手の状況に応じた臨機応変なコミュニケーションが可能になるのだ。その方法を身に付けてみたいと思わないだろうか。

◆モチベーションエリアを見極めろ

 その方法とは、まずは、相手のモチベーションエリアを見極めるところから始める。人はそれぞれ自分のモチベーションが上がりやすい領域を持っている。ある人は(1)「目標達成」することにモチベーションが上がりやすい、他の人は(2)「自律裁量」に、別な人は(3)「地位権限」に意欲が高まりやすい。

 また別な人は、(4)「他者協力」することにやる気が高まりやすい、さらに、(5)「安定保障」に士気が高まる人も入れば、(6)「公私調和」が気にかかる人もいる。これらの(1)から(6)を、私はモチベーションエリアと称しており、さらに(1)から(3)を牽引志向、(4)から(6)を調和志向と呼んでいる。

 日頃の言動から観察して、この人は、「目標達成」にモチベーションが上がりやすい、「公私調和」にモチベーションエリアがある……ということを見当づけるのだ。例えば、「マイクロマネジメントされることが嫌いで、まかせてほしいというオーラを出している人」は「自律裁量」だと見当づけたり、「周りの人との関係に特に気を配っている人」は「他者協調」だと推察したりするのだ。

 もし、6つのモチベーションエリアのどれかに当てはめようとするのは、難しいと思ったら、「牽引志向」か「調和志向」かのどちらか、ということを考えるだけでもよい。その上で、そのモチベーションエリアに合った助言を考えるのだ。

◆タイプに合わない助言は逆効果

 モチベーションエリアに合った助言を考えるにあたっては、自分自身のモチベーションエリアと同じモチベーションエリアの人への助言を考えことから始めるとよい。自分のことは、他ならぬ自分自身が一番よくわかっている。自分はこう言われたら一番効く、こう助言されたらモチベーションが上がる、そういう助言を考えればよい。そうすれば、自分のモチベーションエリアの琴線に触れる助言ができるようになる。その上で、他のモチベーションエリアについても考えていくことがお勧めだ。

「目標達成」にモチベーションエリアがある人が、「マーケットが冷え込んでいて、超過達成できないから、やる気が上がらない」と困っているという事例がある。部下に配慮しなければならない、無理をさせてはいけないという固定観念で、「無理するな。ほどほどにしておけ」と助言をしたら、「目標達成」型の人からは、「馬鹿にするんじゃない」と反発を受けるに違いない。