9月30日は「クルミの日」です。長野県のクルミ愛好家らが、「ク(9)ルミ(3)は丸い(0)」の 語呂合せで制定しました。寒い地方のリスたちは10月も末になると、冬越しの準備のため、せっせとクルミを集めはじめます。人間にとっても、クルミは大切な栄養素を含んでいて、毎日の食事に適量を摂り入れると、善玉コレステロールが増加します。また、木材としてのクルミの木は、硬い材質なのに微妙な「粘り」があり、歩き心地がいい床材として人気です。食材としてのクルミ、木材としてのクルミ。「クルミの日」の今日、私たちの暮らしに関わりの深いクルミについて見てみましょう。


木材としての「クルミ」。裸足で暮らしたくなる床。歩き心地が気持ちいい。

ヒバやヒノキ、スギなどの針葉樹のフローリングはやわらかくて傷つきやすいのですが、冬でもぬくもりを感じるほどの温かみを感じることができます。一方、チークやサクラ、ナラなどの広葉樹は硬くて丈夫ですが、冷たくて、座ると痛い感じがします。
しかし、同じ広葉樹でもクルミは、材質が硬いは硬いのですが、微妙な「たわみ」と「粘り」があり、足に跳ね返る床の反発力が心地いい床材です。木質は緻密で、なおかつ非常に美しい木目をしています。フローリングの専門家も、家を建てるなら床はクルミで、と思うほどの材質です。
クルミは英語でいうと「ウォールナット」。チークやマホガニーと並び、世界三大銘木の一つに数えられています。1600年代の半ばころからヨーロッパで大人気となり、高級家具や工芸品などに使われていました。また、衝撃に強く、狂いや割れが少ないので、ライフルの銃床にも使われています。
クルミというと木の実の「胡桃」を想像しがちですが、実は木材としても魅力のある木だったとは意外ですね。

硬いけど「粘り」があるクルミの床。

硬いけど「粘り」があるクルミの床。


北海道・中川産のクルミ材はなぜ黒い? 家具職人の一言で、北大などが謎を解明中。

北海道上川管内の中川町は、日本の北の果て、稚内から車で1時間半ほど南下したところにあります。ここの森は広葉樹の北限です。寒いので木がゆっくりと成長するせいか、木目が細かいクルミが育ちます。この密な木目が、中川町のクルミの魅力です。
さらに、中川町のクルミは木肌の色合いが濃いのも特徴です。「なぜ、中川のクルミだけが黒いのか」。去年、中川産のクルミでこだわりの家具を作る職人が、素朴な疑問を持ったことがきっかけとなり、研究者などが本格的に調査することになりました。
調べてみると、木が生えている場所によって、微妙に色の違いがあることがわかりました。つまり、中川町のクルミのすべてが黒いわけではないようです。調査にあたった研究者によると、色の違いは遺伝的な要因のほかに、土壌の養分や酸性・アルカリ性の度合い、周辺の環境などが考えられるとのことです。研究者たちは2、3年かけて、分布や色の違いを生む原因を解明するそうです。
中川町のクルミが黒いはなぜかと最初に呼びかけたのは、東川町で家具を制作する「工房宮地」の代表、宮地鎮雄さんです。工房宮地では25周年記念として、札幌で、中川町のクルミ材を使った家具展を開催します。テーブルや椅子など、シンプルで使い心地のいい家具を展示します。
◆「中川町産クルミの家具展 2016」
【日時】10月7日(金)〜13日(木) 10:00〜19:00
【場所】紀伊國屋書店札幌本店2階ギャラリー(入場無料)
〈参考:北海道新聞2015年9月28日号夕刊1面、「黒さの謎 解き明かせ、中川産クルミ材」〉

北海道はそろそろ紅葉。

北海道はそろそろ紅葉。


「クルミ」の脂質はいい“脂肪”。αリノレン酸が、悪玉コレステロールを撃退!!

カリフォルニア大学のロック博士によると、心臓の健康や体重についての研究の成果を考えると、 1日にひとつかみのクルミを食べるのは健康に役立つそうです。
博士は245名の肥満女性に1年間、次のような食事をしてもらいました。
(1) 低脂肪・高炭水化物の食事
(2) 低炭水化物・高脂肪の食事
(3) クルミを豊富に使った低炭水化物・高脂肪の食事
この結果、どのグループも体重の減少が見られましたが、特に(3)のクルミを摂り入れたグループは、悪玉コレステロールの値が大幅に低下し、善玉コレステロールの値が大幅に上昇しました。
クルミは、ナッツの中で唯一、多価不飽和脂肪酸を含んでいます。一価不飽和脂肪酸の代表的なものは、オリーブ油に含まれるオレイン酸です。多価不飽和脂肪酸は魚のDHAやEPA、ひまわり油などのリノール酸などが代表的で、クルミにはαリノレン酸が多く含まれています。悪玉コレステロールを減らす作用は、一価不飽和脂肪酸よりも多価不飽和脂肪酸のほうが強いといわれています。
ロック博士によると、「クルミは高脂肪・高カロリーな食材だが、 低脂肪の食事と同じレベルの減量効果がある」そうです。カロリーが高いので食べすぎには注意ですが、適量を食べれば健康効果が大きいといえそうです。

悪玉さん、さようなら!!

悪玉さん、さようなら!!


クルミを地面に埋めるエゾリス。雪が積もっても、埋めた場所を覚えているなんて!!

北海道に生息するエゾリスは、10月の末ころになると、クルミをはじめ、木の実をせっせと地面に埋めて隠します。特にクルミは大好物で、クルミを見つけると、外側の殻を歯で器用にむいて、食べずに地面に埋めます。エゾリスは冬眠をしないので、冬の食糧を地面に埋めては落ち葉で隠すのです。
“埋める”のはエゾリス独特の行為です。また、埋めてから時々クルミの場所を移動させることもあり、そのクルミが自分が埋めたものとは限らないようです。エゾリス同士でクルミをシェアしているのでしょうか…。
冬がきて雪が積もり、あたり一面が真っ白に雪で覆われます。しかし、エゾリスは、クルミを埋めた場所を覚えていて、雪の上から正確に掘り起こします。なぜ場所を覚えていられるのでしょう。わずかなクルミの匂いがするのでしょうか…。
とはいえ、いくらクルミ掘りの名人であるエゾリスでも、掘り忘れはあるものです。そんなクルミがあちらこちらで芽を出します。クルミが芽を出し子孫を残すのは、エゾリスが掘り忘れたおかげ…ともいわれているようです。
日本のオニグルミは、餅の餡や料理などに古くから用いられてきました。しかし、殻がかたく、実をほじくるのが大変な作業です。でも、おいしい胡桃餅を食べたいがために、一心不乱で実をほじくっていたなあ…そんな記憶がふとよみがえりました。クルミの日、日本にはクルミというすばらしい木があってよかった…。そんなことを考えてしまいました。

クルミ収集家。

クルミ収集家。