自信の有無と成功の度合いはまったく関係ないことが判明!

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 自己啓発の世界で、もっともメジャーなテーマといえば「自信」です。ネットでも「自信をつける方法」のような記事は山ほど存在しており、いずれも「自信があれば仕事や人間関係がうまくいく!」といった内容を、高らかにうたいあげています。

 確かに、ジョブズやイーロン・マスクなど、並外れた成功者ほど自信家が多いように見えますし、自分を肯定さえできれば、いかにも人生がラクになりそうです。が、ことはそう簡単ではありません。実は、ここ十数年のデータでは、自信が高くても意味はないという結果が多く出ているからです。

 もっとも代表的なのは、2003年にフロリダ州立大学のロイ・バウマイスター博士が発表した論文でしょう(1)。

 このなかで博士は、「自信の効果」について調べた過去の研究データを約60件ほど精査し、以下のような結論を下しています。

・自信が高くても学校の成績は上がらず、別に仕事のパフォーマンスが良くなるわけでもなかった
・自信が高い人ほどナルシストの傾向が強いため、長期的には嫌われやすい傾向があった

 なんと、自信がついてもデキる男になれるわけではなく、それどころか周りからは「ワガママで嫌なヤツ」と思われてしまうのです。

◆自信家は経歴を誇張しがち!?

 実際の数値を見ても、自信と能力の相関は0.30ぐらいのもので、両者にはほぼ関係がないといっていいでしょう。自己啓発書の内容とは完全に真逆の結果ですね。それにも関わらず、いまだに世間では「自信=成功」のイメージが強い理由について、バウマイスター博士はこう言っています。

『自信を持っている人の多くは、自分の成功や幸福を実際よりも誇張しがちだ。また、自信が高い人のなかには、自己弁護ばかりするうぬぼれの強いナルシストが多い。その結果、必要以上に自信の高さがもてはやされるようになってしまう』

 どうやら、多くの自信家は、能力がなくてもセルフプロデュースが上手い傾向があるため、実際よりも「自信の高さ」が良いもののように見えてしまうようです。なんだかボロクソですね。それでは、さらに話を進めて、もともと自信がない人に自信をつけさせたら、いったいどんな結果が出るのでしょう? 自己啓発の世界では「根拠がない自信を持とう!」といった主張がよく見うけられ、多くのユーザーから人気を得ているようです。そこで参考になるのが、2007年にリッチモンド大学が発表した論文(2)。この実験で、研究チームは、成績が悪い学生だけを集めて以下の2つにわけました。

1.根拠のない自信グループ:教師から「お前には本当は能力がある!」と指導される
2.ニュートラルグループ:次のテストの日程や出題範囲などを普通に伝えられる

 要するに、根拠のない自信で成績があがるかどうかをチェックしたわけですね。

 その結果は、根拠のない自信グループの惨敗でした。なにせ、ニュートラルな生徒よりも成績が悪かったどころか、自分たちの過去の平均点を20点も下回ったというから相当なものです。こういった現象が起きたのは、根拠のない自信により、生徒たちのモチベーションが下がったからです。実際よりも自分は能力があると勘違いをした結果、努力をしなくなってしまったわけですね。ビジネスの世界でも、よく見かける事態ではないでしょうか。

◆自信がないことを悩むのは時間の無駄

 これらのデータに対し、自信研究の第一人者として有名なトマス・チャモロ・プロミュージック博士は、こう言い切ります(3)。

「誰でも、一度はコカ・コーラを飲んだことがあるだろう。しかし、コーラは生物学的には飲む必要がない。『自信』の問題も、コーラと同じだ。世界中の多くの人たちは、本当は必要がないにも関わらず自信を欲しがっている。並外れた成功者たちが自信を持っているのは、彼らが並外れて有能だったからだ。本当に重要なのは、自信を持つことではない。高い能力を持つことだ」