老若男女楽しめる夢のテーマパーク・東京ディズニーリゾート。ライバルが次々と登場する中で、不動の1位であり続けるためになされている工夫とは、一体どのようなものなのでしょうか。無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では、著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、来園者にも従業員にも夢を与え続けるディズニーリゾートの「強さの秘密」に迫っています。

ディズニーの成長を支える3つの源泉

「夢がかなう場所」を提供する「東京ディズニーリゾート」は、東京ディズニーランドや東京ディズニーシーなどのテーマパークやホテルなどの施設群で構成されています。

ここ数年、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーには毎年3,000万人以上が訪れています。来園者数は増加傾向にあります。ホテル事業も好調です。東京ディズニーランドホテルや東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ、ディズニーアンバサダーホテルの客室稼働率は90%を超えます。

ディズニーの強さはどこにあるのでしょうか。強さの秘密に迫っていきます。

厳格なブランド管理

まずは「ブランド管理」です。ディズニーは厳格なブランド管理を行っています。その厳格さは他に類を見ません。

商品開発や広告販促におけるキャラクターやロゴ、パッケージデザイン、呼称などの使用をマーケティング部門が厳格にコントロールしています。人材募集などにおいても、ロゴを使用していいかどうかの許諾をマーケティング部門に申請しなければならない組織体制となっています。

社内はもちろん、社外においても徹底したブランド管理を行っています。ディズニーのキャラクターを無断使用されたり模倣されたりした場合、ディズニーの顧問弁護士が即座に警告し、訴訟も辞さない姿勢を示します。裁判をしてでもブランドを守るという断固とした態度をとっています。

2007年、北京市内にある国営遊園地の石景山遊園地において、ディズニーのキャラクターに酷似したぬいぐるみが園内をパレードしていると話題になりました。

これに対してウォルト・ディズニー社は北京市当局に対して著作権侵害であると通報しました。当局の指導を受けた遊園地は直ちに酷似したキャラクターを撤去することとなりました。

ディズニーは厳格なブランド管理を行っています。キャラクターの無断使用や模倣を徹底的に排除し、ディズニーブランドの価値を守っているのです。

来園者を飽きさせない仕組み

次は「飽きさせない仕組み」です。ディズニーは来園者を飽きさせないことに注力しています。

ディズニーは毎年数百億円規模の設備投資を行っています。テーマパーク事業では、機材のメンテナンスと新規アトラクションの開発に大きな投資を行っています。新規アトラクションの開発には5年近い歳月を費やします。莫大な資金と時間を投資し、来園者を飽きさせないようにしています。

テーマパーク内は非常に広く、1日では全部を回ることができない規模です。アトラクションやショーを全て体験するためには来園者は何度か足を運ぶ必要があります。また、体験したことがないアトラクションを新たに生みだすことで、また行きたいと思わせることができます。

テーマパークでは「ショー」に力を入れています。新規アトラクションの導入だけでは新鮮さをだすことに限界があります。新鮮さをだすことが比較的容易なショーに力を入れることにより、来園者を飽きさせないようにしています。

アトラクションでは、セットやキャラクターに微妙な変化を加えています。同じアトラクションでも何回か乗らないと全てのパターンを見ることができないようになっています。

テーマパーク内の清掃員は、水でディズニーのキャラクターを描くパフォーマンスを行います。これも、来園者を飽きさせないようにしている仕掛けといえます。

従業員によるホスピタリティ

そして、従業員による「ホスピタリティ」(心のこもったおもてなし)をディズニーの強さを語る上で外すことはできないでしょう。

アトラクションの面白さだけでは来園者を満足させることはできません。ディズニー社の創業者であるウォルト・ディズニーは、「人は誰でも世界中で最もすばらしい場所を夢に見、創造し、デザインし、建設することはできる。しかし、その夢を現実のものにするのは、人である」という言葉を残しています。

従業員が来園者の期待を超えるサービスを提供することにより、来園者はディズニーに来てよかったと思うようになります。ディズニーはこれを「ハピネス(幸福感)の提供」としています。期待を超えるサービスを提供し続けることにより、多くのリピーターを獲得してきたといえるでしょう。

ディズニーの従業員はなぜ卓越したハピネスを生みだすことができるのでしょうか。ディズニーは「卓越したホスピタリティを提供する人材こそ自社の強みの源泉」としています。そして、強みである従業員の満足度を向上させるための様々な施策を行っています。

ディズニーには「SCSE」という行動規準があります。「SCSE」は、Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率)の頭文字をとったものです。会社として大切にするべきことと優先順位を表しています。並びがそのまま優先順位を表しています。

従業員はこの「SCSE」を判断や行動の拠り所としています。そのことを示すエピソードがあります。

2011年3月に起きた東日本大震災の時、7万人もの来園者を一切混乱させずに避難誘導させることができました。震災時、従業員は来園者に商品のぬいぐるみを防災頭巾代わりに配布し、店頭のお菓子を配りました。

来園者の安全確保のためには、たとえ店舗の商品であっても率先して提供してもいいとされています。これは、「SCSE」で一番優先度の高い「安全」を実現するためです。

「SCSE」は従業員の「判断や行動の拠り所」となっています。「SCSE」があることにより、従業員は来園者に「ハピネス」を提供し続けることができるのです。

ディズニーは従業員を大事にしています。従業員満足度を向上させる施策を行うことで従業員のロイヤルティ(忠誠心)を高めています。従業員満足度を高めるための具体的な施策がいくつかあります。

「I have アイデア」

年に1度、現場従業員から提案を募集し、良いアイデアは実際に採用します。アイデアが良いものであれば商品化することもあります。

「スピリット・オブ・東京ディズニーリゾート」

来園者への対応で優れた従業員を仲間同士で褒めあい、頑張っている人にメッセージを送ります。交換の結果をもとに、選考されたスピリット・アワード受賞者には、スピリット・アワードピンが授与されます。優秀な人やグループを他の従業員の前で表彰し、その栄誉が称えられます。

「サンクスデー」

来園者の目線を忘れないための特別な日を設けています。毎年1月の閉園後にパークを貸し切り、上司が日頃の感謝の気持ちを込めて従業員をもてなします。

「ファイブスタープログラム」

上司がパーク内を巡回し、素晴らしいパフォーマンスを発揮した従業員にカードを手渡します。オリジナル記念品と交換できるほか、半年に1度、開場前か閉場後にこのカードをもらった従業員だけが参加できるファイブスターパーティーに参加できる仕組みです。

「サービス・アワードプログラム」

累積勤務時間に応じてオリジナルの記念品が、勤続年数に応じてオリジナルのピンが贈呈されます。

こういった施策により従業員満足度を高めています。従業員満足が顧客満足につながることを理解し、従業員を大事にする姿勢を制度として提示しています。これはディズニーの強さの源泉といえるでしょう。

従業員を大事にすることで従業員満足度が高まります。そして、サービスレベルが向上することで顧客満足度が高まります。結果として収益を確保することができます。

ディズニーの強さの源泉として「ブランド管理」「飽きさせない仕組み」「ホスピタリティ」の3つを挙げることができます。この3つの強さが高いレベルで維持される限り、ディズニーの成長は止まることがないといえそうです。

image by: Flickr

 

『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』

著者/佐藤昌司

東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。

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出典元:まぐまぐニュース!