拒食症の現実を公開した女性(出典:http://www.mirror.co.uk)

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日本でも増えている摂食障害。過去20年の間にその患者数は10倍にも増加し、9割の比率で女性が圧倒的に多い。10代〜20代の女性に多く見られるこうした摂食障害の原因は、社会的・文化的要因のほか生物学的要因、ストレスなど心理的要因などが複雑に関与していると言われる。このほど17歳の時に拒食症と診断され、現在はそれを克服した女性が当時の写真を英紙『Mirror』に公開した。写真を公開することで、女性は拒食症の恐ろしさを世間に訴えようと努めているという。

現在、英ウエスト・ミッドランド州コヴェントリーにあるウォーリック大学でエンジニアの勉強をしているハンナ・ケストラーさん(22)は今回、「現実に起こったことから目を逸らしてはいけない」と約32kgまで体重が落ち鼻から流動食のためのチューブを通している自らの激ヤセ写真を公開した。

自動車産業で働いていた父親の転勤が多かったために、ハンナさんはオーストリアで生まれ幼少期をアメリカ、中国、韓国、日本で暮らした経験を持つ。

多感期のハンナさんにとって、世界各地で過ごす楽しさよりも落ち着くことのできない学校生活や友達作りに次第にストレスが溜まっていった。やがて、自分の生活をコントロールできない代わりに食生活をコントロールするようになった彼女は、2011年の17歳の時に拒食症と診断された。

日本ではちょうど高校の学年末の試験時期でもあり、ハンナさんは食事制限でカロリーを抑えたために2か月で約65kgだった体重が、11kg落ちて54kgになった。心配した両親が日本の病院に連れて行くも、効果的な治療を得ることはできなかった。

2012年にハンナさんは18歳になり、オーストリアでひとり暮らしをしたいと両親を説得した。その頃には体脂肪が17%にまで改善(18%から24%が正常値)していたために自活できると主張したのだが、これがますますハンナさんを拒食症の道へと追い込んでしまう。

ハンナさんは、1日100カロリーに抑えるために3枚のライスクラッカー、野菜、水しか口にしないという生活を続けた。痩せるという強迫観念に駆られていた娘を心配した両親は2012年8月に警察に通報し、駆けつけた警察官はハンナさんの骨と皮のみの痩せ細った姿を目にすることとなった。18歳の彼女は、約156cmの身長がありながら10歳の子供用サイズの服を着ていたという。

病院で目覚めたハンナさんの髪は抜け落ち、各臓器が正常に機能していない状態だったため、あともう少し遅ければ手遅れになっていただろうと医師に告げられた。ウィーンの病院に5か月間入院した後、10か月間クリニックでリハビリ治療を受けたハンナさんはその後、見事に拒食症を克服した。

現在ハンナさんは、ヴィーガン(完全菜食主義)生活を送っている。Instagramで拒食症だった頃の自分やヴィーガン料理などを投稿しており、フォロワー数は12万人にも上る。

ハンナさんは、「自分の痩せ細った見るに堪えない恐ろしい姿を敢えて公開したのは、自分を恥に思う必要はないと伝えたかったから。私はこれからも拒食症だった自分の姿やヘルシーな食事を公開していくつもりです。ネットを通じて1人でも救うことは、大きな変化を生むことになるから」と語っている。

出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)