トム・クルーズ絶賛の美声。声優・森川智之の“風邪引かない”快眠法

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トム・クルーズやブラット・ピットなど、数々のハリウッドスターの吹き替えや、人気アニメに出演し、変幻自在の声色で観客を魅了する声優の森川智之さん。声優事務所アクセルワンの代表取締役として、所属声優のマネージメントや新人発掘も手がけ、多忙な日々を送っています。絶対に喉を壊してはいけない声優の仕事ですが、そのための睡眠法には身体を冷やさず、風邪を引かない工夫がありました。

 

目次

1.“大けが”がもとで声優の道へ。早起きと美声は祖父譲り!?
2.アニメにゲームに、吹き替えに…声優業に追われ、3時間睡眠は当たり前
3.BL界の帝王は風邪を引いてはいられない! 声優ならではの徹底した快眠法とは?
4.社長になり、声優業界に恩返し。新人に求める自己管理とは?
5.【パジャマ&アザーカットギャラリー】

 

“大けが”がもとで声優の道へ。早起きと美声は祖父譲り!?

パジャマ&アザーカットギャラリー

多忙すぎる毎日を送っていることから、声優仲間に「いったい、いつ寝ているんですか?」とよく尋ねられるという森川さん。がっしりした身体とよく通る声からは、しっかりとした健康管理がなされているのが伝わってきますが…。
 
「今でこそ身体は丈夫ですが、子供のころはすぐに扁桃腺を腫らして風邪を引く虚弱な体質。身体を鍛えようとスポーツを始めてから変わったのかもしれません。高校に入学したころは、ゆくゆくは体育大学に進学して、体育教師になろうと考えていました。ところがアメフト部の練習中に頸椎損傷という大けがをして、思い描いていた道に進むことができなくなってしまったんです」(森川さん)
 
そこで見つけた新たな道が、声優でした。
 
「僕は声が大きいし、おしゃべりも好きだから、声を活かしてスポーツの世界に関わろうと、最初はアナウンサーを目指したんです。ところが、養成所には声優コースもあって、こっちの方が面白そうだぞと。声優なら、アナウンサー役もスポーツマン役もできる、これは一挙両得だと思って、この道を選びました」(森川さん)
 
養成所時代は、誰よりも稽古に励む、熱心な生徒だったそう。
 
「努力が苦にならず、何時間練習しても、つらいと思ったことは一度もなかったですね。睡眠に対する意識はほとんどなくて、深夜ラジオのオーディオドラマを聴いて勉強するために、ずいぶん夜更かしをしていました。それでも不思議と寝起きがよく、朝はパッと起きてしまうんですよ」(森川さん)
 
森川さんの早起きと声帯の強さは、お祖父さま譲りなのだとか。
 
「子供のころは、祖父がパン屋をやっていて、朝5時にはパンが焼けるおいしそうな匂いで目覚めるんです。それで、店に降りていって、出来たてをもらう。また、祖父は歌手でもあり、声がすごくよかったんです。早起きの習慣と声のよさは、祖父のDNAを受け継いだのかもしれません。養成所時代は、努力を重ねれば、必ず声優になれると思っていました」(森川さん)
 

アニメにゲームに、吹き替えに…声優業に追われ、3時間睡眠は当たり前

アニメにゲームに、吹き替えに…声優業に追われ、3時間睡眠は当たり前
 
声優事務所に所属が決まり、プロになった森川さんは、アニメ、洋画や海外ドラマの吹き替え、ゲーム、オーディオドラマ、ナレーションと、養成所時代よりもさらに多忙な日々を過ごすことに。
 
「どれも声を使う仕事ではありますが、やり方はそれぞれ異なります。たとえば、ゲームの仕事は基本的に一人で、自分のセリフだけを延々と収録し続けるんです。ストーリーの流れに沿って、共演者と一緒に芝居することができないという難しさがありますね。洋画の吹き替えは、出演している俳優とセリフの長さをコンマ数秒まで合わせることが求められます。うまくセリフが言えたとしても、時間を少しでもオーバーしてしまったら、録り直しなんです」(森川さん)
 
キアヌ・リーブス、ブラッド・ピット、ユアン・マクレガー、ベン・アフレックなど、さまざまな大物ハリウッドスターの声を担当。最も記憶に残っている仕事は、映画『アイズ・ワイド・シャット』でのトム・クルーズだといいます。
 
「スタンリー・キューブリック監督作品で、キューブリックの右腕と言われるレオン・ヴィタリが日本語版のプロデューサーとして来日しました。彼の要望は、『吹き替えをするにあたって、トムと同じ動作をしてくれ』というものでした。トムが歩いていれば僕も歩き、ベッドシーンでは、スタジオ内にベッドが持ち込まれて、そこに横になってセリフを言いました。こんな収録は、後にも先にも、この作品だけですね。大変でしたが、トムが、僕の吹き替えが全世界で一番いいと絶賛してくれて、映画で使われた舞踏会の仮面をプレゼントしてくれました」(森川さん)
 
声優の仕事には、気持ちの切り替えが大事。一つの現場が終わると、すぐ次の現場が控えていて、別のキャラクターを演じなければいけません。
 
「最も多い日では、1日7本か8本の収録をこなします。スタッフの方が待ち構えていて、僕が現場に到着したら、即収録。終わったら、サッと移動するという分刻みのスケジュールです。売れている声優さんは、そうやって仕事をしている人が多いですね」(森川さん)
 
平均的な睡眠時間を尋ねると、「3時間」という驚くべき答えが返ってきました。
 
「毎日、2時過ぎに寝て6時前には起きます。ここ10年くらい、それを続けてきて、今ではすっかり慣れてしまいました。『いつ寝ているんですか?』とよく尋ねられるのは、そういうワケだからです」(森川さん)
 
だからこそ森川さんの睡眠時間は貴重。短いからこそ少しも無駄にはしません。
 
「夜、布団に入ると、早く眠らなくちゃと思う暇もなく熟睡しています。寝起きもよくて、不眠で悩んだことは全くないですね」(森川さん)
 
目覚めたら、すぐに仕事を開始。その日の収録分の台本や資料映像のチェックと、リハーサルを、毎朝の日課にしているそうです。
 
「睡眠時間が足りないなと思ったら、移動中のクルマの中で補完しています。次の現場まで20分眠れるなと思うと、車を止めて、タイマーをかけて眠るんです。僕にとっての睡眠は、それだけで十分なので、みなさんの参考にはならないかもしれませんね(笑)」(森川さん)
 
ナポレオンやエジソンのようにショートスリーパーである森川さん。ただし、首の怪我の後遺症治療のため、鍼灸院に通う日だけは、6時間睡眠を心がけているそうです。
 
「鍼は打った後、身体を修復させることで効果が現れるものなので、睡眠が必須なんです。8時間くらい眠ってほしいと先生からは言われているんですが、翌日も仕事があるので6時間。その日だけは仕方がなく眠るという感じですね」(森川さん)
 

BL界の帝王は風邪を引いてはいられない! 声優ならではの徹底した快眠法とは?

BL界の帝王は風邪を引いてはいられない! 声優ならではの徹底した快眠法とは?
 
森川さんには、ある異名があります。それは「BLの帝王」。いわゆるボーイズラブのオーディオドラマに、ブームの黎明期から出演を続けてきました。
 
「男性同士の恋愛を描くものは、かなり以前から存在していたんですけど、声優が演じるCDが出回ることで、ファンの裾野が広がったんです。その時に、BLはやりたくないと言ったり、名前を隠して出演する声優さんもいましたけど、僕は逆に、声優が活躍できる場が増えたのはいいことだと思って、積極的に出演していました。おそらく出演数は、日本で一番だと思います」
 
BLの仕事に積極的に関わったもう一つの理由に、「オーディオドラマというジャンルは、声優の原点」だという思いがあったと語ります。
 
「アニメや映画のような絵がなくて、セリフだけで全てのニュアンスを伝えなければいけないオーディオドラマは、声優冥利に尽きる仕事だと思います。役者としての技量がないと、声だけで世界は作れないんです。アニメには慣れている若い声優さんが、オーディオドラマの現場に来ると、途端にあたふたするようなこともあるんです」
 
女性ファンをうっとりとさせる色気たっぷりの美声。その演技の秘訣は何なのでしょうか?
 
「色気を感じさせるには、色気を出そうとしないことが大事だと思っています。セリフを自然に演じれば、色気が出るように台本が練られているのだから、役者がわざとそういう演技をすると、むしろイヤな感じになってしまうんです。映画『ズートピア』でニックを演じた時も、同じようなことがありました。ニックは詐欺師として登場するのですが、監督さんに、『詐欺師らしい芝居はしないでください。詐欺師は普通の人になりすまして、詐欺師らしさを消しますから』と言われて、なるほどなと思いました」
 
美声を保つには、もちろん喉をいたわることが肝要です。
 
「いろいろな人から、『声優は風邪を引けませんね』と言われることがあって、その度に身が引き締まります。気をつけているのは、睡眠時に喉を守ることですね。眠っている時が一番無防備ですから。僕の場合は、マスクをして、首にタオルを巻き、さらにスウェットのフードを頭に被って布団に入ります。見た目はかなり怪しい人ですね(笑)。そして、夏場でもなるべくエアコンは我慢して、身体を冷やさないようにしています」
 

社長になり、声優業界に恩返し。新人に求める自己管理とは?

社長になり、声優業界に恩返し。新人に求める自己管理とは?
 
森川さんは2011年に、それまで所属していた事務所を辞め、声優プロダクション「アクセルワン」を立ち上げます。発足当時の所属声優は、ご本人と後輩の福山潤さんの2人でした。
 
「以前からずっと忙しかったので、社長になったことで、生活が変わったということはありません。ただ、人の心配をするようになって、精神的に少しは大人になったのかなとは思います。自分がスポットライトを浴びることだけを考えていればいい役者と、他の役者の魅力を引き出すために、どんな仕事を取ってくるかを考えるプロダクションの社長というのは、正反対の仕事ですから」
 
さらに声優養成所アクセルゼロも設立し、新人発掘にも精力的に取り組んでいます。
 
「今まで僕にすばらしい経験をさせてくれた業界に対して、これからは恩返ししていきたいなと思ったのが独立のきっかけです。技術がどんどん進歩している中で、息の長い活躍ができる新人を育てていくのが目標です。僕が声優志望者に求めるのは飛び抜けた個性ではなく、“普通の感覚”。さまざまな役を演じるには、常識が必要です。喜怒哀楽がしっかりとある、感受性豊かな人が声優に向いていると思います」
 
プロとして成功するには、体調管理は必須です。
 
「プロになって、いきなり意識を変えるのは無理。研究生のころから、風邪を引かないようにケアしたり、しっかり睡眠をとって、体調管理しなければいけません。いつオーディションに呼ばれたり、仕事が入ってきたりしても対応できるように、緊張感を持って生活してほしいですね。寝不足で授業中にウトウトしまう子は、スタジオには行かせられないなという判断を、プロダクションの社長としてはしてしまいます。どんな仕事であれ、24時間365日、プロであるという意識を持つことが大事なんです」
 
第一線で活躍する声優として、ショートスリープを体得した森川さん。一朝一夕でその領域にたどり着くことはできませんが、自己管理を徹底して第一線で活躍し続ける姿勢はお手本にできそう。「仕事で最高のパフォーマンスを発揮したい」と思っている人は、森川さんのように睡眠にもプロ意識を反映させてみてはいかがでしょう。
 

【眠りの黄金法則】

台本・資料映像のチェック、リハーサルは毎朝の日課身体を冷やさないようフード、タオル、マスクで完全防備し、喉を守りながら眠る足りない睡眠時間は、移動中の車内で補完

【ウィークデーの平均睡眠時間】

約3時間+20分の仮眠(鍼灸院に通う前日だけは6時間)

【睡眠タイプ】

風邪を引かないよう冷え対策万全の睡眠を心がけ、自己管理徹底型のショートスリーパータイプ
森川智之さんのフミナー度は『25%』、今はフミナー度は低いレベルです。bnr_list_check

 

森川智之さん
森川智之さん1月26日生まれ。神奈川県出身。勝田声優学院を経て、1987年に声優デビュー。アニメ、ゲーム、外国映画、ドラマの吹き替え、ナレーションなどで、幅広く活躍。2016年春には、ディズニー作品の『ズートピア』で、準主役のニック・ワイルドの吹き替えを担当し、話題に。この秋からは、パーソナリティを務めるバラエティ番組「森川さんのはっぴーぼーらっきー 第四幕」(tvk)をスタートさせる。2011年に所属事務所から独立し、声優プロダクション「アクセルワン」を設立。声優として、社長として、多忙な日々を送る。

【パジャマ&アザーカットギャラリー】

パジャマ&アザーカットギャラリー
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●睡眠時間のベストは性格や年齢など人により違う(著書参考)
●睡眠時間を短縮・ショートスリーパーになる方法(医師監修)
●不眠症の定義とは?意外と知らない不眠症のこと