第54味 インドネシア

国内外の環境改善で経済復調のインドネシア。その背景を探る

ネガティブリストの 一部改正で外資参入の ハードルが下げられた

インドネシア経済が復調を見せています。8月5日に発表された4〜6月期の実質GDP(国民総生産)は、前年同期比5・2%増と市場予想の5・0%を上回ったほか、ジャカルタ総合指数も高水準で推移しています。

その背景には、長きにわたってインドネシア経済の足を引っ張っていた、資源価格の低迷がようやく落ち着いてきたことが挙げられます。

インドネシアの輸出全体のうち、天然ガスなどの資源が占める割合は約2割です。また、通貨ルピアは、かつて「フラジャイル・ファイブ(脆弱な5通貨)」と呼ばれ、インドネシアは継続的な高インフレと経常赤字によるファンダメンタルズの弱さが指摘されていました。

経済成長の資金を海外に頼らざるをえない構図です。そのため、資金の流出懸念につながってきた米国の利上げ観測が、後ろ倒しになっていることは追い風です。

このように書いてしまうと、外部環境の好転だけが復調の理由に聞こえてしまいますが、実はインドネシアの国内環境も改善しつつあります。主なものとしては、「ネガティブリストの改正」「SEZ(経済特区)の推進」「内閣改造」が挙げられます。

インドネシア政府は、国内産業を外国企業の進出から守るために、業種ごとに規制をかけており、ネガティブリストにはその規制対象と出資制限比率が掲載されています。出資比率の割合は業種などによってまちまちですが、たとえば小売業は大規模店舗などの例外を除き、外資の参入は原則できません。

日本のセブン―イレブンやファミリーマートはインドネシアでも人気ですが、小売業のコンビニは規制対象なので、飲食業として登録されているのです。そのため、ほとんどの店舗内には、飲食が可能なイートインスペースが設けてあります。

このように、外国企業がインドネシアでビジネスを行なう際、ネガティブリストの存在が厄介なのですが、今年の5月12 日付で一部改正が行なわれ、多くの産業分野で外資参入のハードルが下げられました。

さらに、首都ジャカルタへの一極集中を分散させるために、地方にSEZ創設を認可して発展を促す取り組みや、7月27 日のジョコ・ウィドド大統領による第2次内閣改造において、前政権で実績のあるスリ・ムルヤニ氏が財務相に復帰したことも、市場からの信認を得ています。

インドネシア経済成長の持続材料は、比較的そろっているといえそうです。

楽天証券経済研究所
シニアマーケットアナリスト
土信田雅之
新光証券などを経て、2011年10月より現職。ネット証券随一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。