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うつ病の予防や治療に関する啓発活動に携わる日本メンタルヘルス研究センターはこのほど、受験生専門の心療内科である本郷赤門前クリニックと共同で「大学入試に挑む受験生のメンタル調査」の結果を公表した。調査期間は2015年4月から2016年3月までで、受験生のメンタル面が推移する要因を分析した。

受験生の抑うつ症状の程度を表す「受験うつ評価尺度」(HAM-Dハミルトンうつ病評価尺度を受験生の実情に合わせて改訂したもの)を調べたところ、水準が高かったのは入学試験が行われる1月と2月だった。だが、「前月からの増加量」に着目すると9月が年間を通して最大であることがわかった。

9月に悪化する特異的な要因を分析したところ、最多は「夏休みの生活リズムの乱れ」(59%)となり、次いで「新学期への不適応」(53%)、「成績不振のストレス」(35%)と続いた。

夏休みに夜更かしや朝寝坊などの生活スタイルに陥った受験生は、9月に新学期に入ると元の生活リズムに戻すのが困難になり、ストレス耐性を低下させて「受験うつ」(受験期のうつ症状)に陥るケースが多いことが確認できる結果となった。

特に2016年は、夏休みと期間を同じくして8月にリオデジャネイロ五輪が開催されたため、受験生は例年以上に夜更かし・朝寝坊のパターンに陥りやすかったと推測される。そのため、例年以上に9月に「受験うつ」の発症が多発すると考えられ、同センターと同クリニックは、「受験うつ」には以下のような症状があるとしたうえで、受験生やその家族に注意を促している。

■親が声をかけると「うるさい! 」などと声を荒らげる

■英語や国語の記述式の問題、数学の図形問題の成績が極端に低下する

■朝の登校前に頭痛・吐き気・過呼吸が起こるが、学校を休むと症状が消える

■勉強は病的にやる気が消失するが、ゲームやアニメなどの好きなことには取り組める

■成績が悪いのに志望校を偏差値の低い大学に変えようとしない

■成績が悪化したのは親のせいだと言って怒る

9月もすでに月末に差し掛かっているが、同センターの「受験うつ評価尺度」によると9月に引き続き、10月も比較的高い数字(7.2)が確認されている。そのため、10月以降も引き続き「受験うつ」に注意が必要となってくるが、本郷赤門前クリニックの吉田たかよし院長によると、「受験うつ」の効果的な治療法には「認知行動療法」と「磁気刺激療法」があるとのこと。

認知行動療法は、勉強の方法や取り組み方を通して心理療法を行い、認知のゆがみを正すことを目的とする。受験生にとっては勉強が最大のストレス源になっているため、勉強と真正面から向き合う認知行動療法が大きな効果をもたらすと考えられている。

磁気刺激療法は、脳の活動が低下している部位に磁気刺激を与え、脳の活動を回復させるアメリカ発の最新の治療法。うつ症状の早期の回復が期待できるという。