(写真提供=SPORTS KOREA)

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2016年、韓国にはふたつの新球場が誕生した。

ひとつはネクセン・ヒーローズのホーム球場となる高尺(コチョク)スカイドームだ。同球場は、韓国最初のドーム球場になる。

問題多き韓国初のドーム球場

ソウル市西部に昨年完成したこの球場は、もともとは2007年に壊された高校野球のメッカであった東大門野球場の代替球場として計画され、やがて、屋根の部分を多くする半ドーム球場、その後、完全にドーム球場となるといった経緯があるため、球場としては、いろいろ問題もあった。

2015年の秋に開場した時は、座席の列が長すぎてトイレにも行けない、と指摘されていた問題は、列の中間の座席を外して、通路を作るなど、ある程度改善された。しかしオープン戦は始まると、天井が白くてボールが見にくいとか、骨組みの部分が多くて、試合に支障が出るなどの問題が指摘されたのだ。

そもそも収容人数が2万2000人程度だと、球場運営を黒字にするのは、かなり厳しそうだ。

もう1つの新球場は、サムスンの本拠地である、サムスンライオンズパークだ。フィールドはメジャーリーグの球場に近い八角形で、外野のファールエリアはほとんどない。

知られざる韓国の野球場の実態

それまでサムスンがホームにしていた、大邱駅の近くにある大邱市民運動場は、収容が1万数千人で、建物自体は、崩壊の危険が指摘されているほど、傷んでいた。

同じように、収容者数が少なく、傷みが激しかったKIAの本拠地は、2年前にもともとの本拠地のすぐ隣にできた2万7000人の球場に移った。昨年、光州で開催されたユニバーシアードの野球競技は、新球場と旧球場の両方で試合が行われたが、1970年代の遺物と、現代の球場の差を感じることができた。

韓国のプロ野球は、1982年に始まったが、その年に建てられたソウルの蚕室野球場と、1985年に建てられた釜山の社禝野球場を除けば、韓国の国体に合わせ、1970年代頃に建てられた1万人程度収容の球場がほとんどであった。

1993、94年に韓国に留学していた私にとって、強く印象に残っているのが、仁川市桃園にあった野球場だ。かつては福士明夫が所属した三美の本拠地であったこの球場は、私が留学していた頃は、その後身である太平洋の本拠地であった。

両翼91メートル、中央110メートルと、プロが使用する球場とは思えない狭さで、箱庭のようだった。その分野球を近くで見ることができた。この球場、今は撤去され、サッカー場になっている。

続々と新しい球場が誕生したワケ

韓国の球場が変わるきっかけになったのは、2002年のサッカー・ワールドカップであった。この大会のおかげで、Kリーグのスタジアムは、国際規格の最新のものに変わり、野球場のみすぼらしさが一層目立つようになっていた。

とはいえ、ワールドカップの影響などで、プロ野球の観客は激減。新球場を建てたり、大幅に改築できるような状況ではなかった。

ただし、仁川の野球場だけは、ワールドカップのためにサッカー場を作ると同時に、そのすぐ隣に、野球場も作られた。この球場、2年前のアジア大会でも使用されたが、10数年間、韓国で最も現代的な球場であった。

球場を新しくしたいという要望があっても、なかなか実現できなかったが、2008年の北京五輪の野球競技での優勝、翌年の第2回ワールド・ベースボール・クラシックでの準優勝によって、空前のプロ野球ブームが起き、ようやく、球場の改築や新球場の建設が本格化してきた。

入場料も変わってきた

新球場の完成や球場の増改築により、観客が増え、一層の盛り上がりをみせている。しかし、球場が変わることにより、入場料の料金体系も細分化された。

かつては、大半の席を1000円程度でみることができたが、今日では日本のプロ野球とさほど変わらない料金の座席も増えてきた。野球の中身の方も、球場や入場料に見合う試合ができるかが問われる。

(参考記事:日本とは似て異なる韓国プロ野球の“美しくて大胆な“美女たちの始球式事情)

(文=大島 裕史)