『「運」を育てる 麻雀界の異端児 土田浩翔の流儀』(土田浩翔著、KADOKAWA)の著者は、プロデビュー30周年を迎えるというプロ雀士。

本書では長い実績に基づいて、「運」を引き寄せるためのメソッドを公開しているわけです。

つまり、ここに書かれていることを実践すれば麻雀が強くなるということ。ただし、必ずしも麻雀だけに限った話ではなく、人生における「運」の重要性と、その活用の仕方を学べる内容でもあります。

■時刻表を買ってもらうほど数字の虜だった

著者は幼少時代、数字の虜だったのだそうです。

たとえば5歳のころは電車が大好きだったといいますが、そこで母親に頼んで買ってもらったのは電車のおもちゃ……ではなく時刻表だったというのです。

当然、母親には不思議がられたそうですが、「電車を乗り継いだらどこに行けるんだろう?」ということに興味を持っていたということ。

最初のページをめくると地図があり、さらにめくると時刻表には数字の羅列。吸い込まれるような感覚のなか、夢中になって数字を辿っていったのだといいます。

そんな姿を見ていた両親は、「数字が好きな子なんだな」と思い、家でやっていた麻雀を見せてくれるようになったのだそうです。

その結果、今度は短期間のうちにキレイな図柄の牌(パイ)の世界に引き込まれていったのだとか。

いうまでもなく牌も数字なので、両親に教わるまでもなく、自然に数牌を覚えていったのだといいます。

■麻雀は数字至上主義では太刀打ちできない

そして7歳の冬休みに父親から麻雀を教えてもらい、以後、小中高を通じてメキメキと実力をつけていき、大学2年の春方麻雀業界入り。

大学卒業間近に『第3回日刊スポーツアマ最高位戦』に出場して優勝し、1986年には『日本プロ麻雀連盟』のプロテストにも合格し、27歳でプロ入りしたのだそうです。

しかしプロの世界へ足を踏み入れてみると、“数字至上主義”では太刀打ちできないものがあることを知らされたのだといいます。それは「運」。

麻雀は運がすべてで、運をつかんだ者が勝つ世界。そこで、その運について知りたいと強く思雨ようになり、そこから大きく可能性を伸ばしたというのです。

では、運とはなんなのでしょうか?

■そもそも運は大きく分けて3つの形がある

大辞林によると、運とは「1.人知でははかり知れない身の上の成り行き。

めぐり合わせ。幸運」。そして著者は「運気」「運勢」をバイオリズムに置き換え、強く意識するようになったといいます。

そのバイオリズムをつかみ、自分に向けるためには、「運を肌で感じられる=気づける」かどうかが肝。

そう考え、運を次の3つに大別したのだそうです。

(1)そもそも備わっている運

(2)日によって変わっていく運

(3)自分で育てていく運

“天運”ともいわれる<そもそも備わっている運>は、生まれながらにして天から与えられた運命。自分の力ではどうにもならないわけです。

しかし残りふたつの運は、意識の持ち方次第で、「感じられる=気づける」ようになっていくといいます。

<日によって変わっていく運>は、朝、起きたときからはじまるもの。

運の高低に気づかなければ、わからないままその日を過ごし、結果として「きょうは運が悪かった」と嘆いてしまうわけです。しかしそれでは反省にもならず、ただの感想で終わるだけ。

■運気を自覚しながら行動するとうまくいく

運気の高低に早く気づくためには、基準となる判断材料が必要になるとか。

しかも、少しでも早く、より多いほうが根拠が強まるので、著者は起床直後の行動を大切にしていったそうです。

起きてすぐ、まわりの風景に対して、人の動きに対して、どう感じるのか。その感じ方が、日常生活における運気の高低の判断基準になるというのです。

いうまでもなく、風景や人の動気を違和感なく自然に受け入れられたら運気が高い日。リズムが崩れるような違和感がある場合は、運気が低い日だというわけです。

起きてからの行動を習慣にしていくと、運気の高低を測るための情報を、早く多く感じられるようになっていくそうです。そうなれば予測を立てられるので、あらゆる行動に備えていけるということ

また、とくに運気が低いと感じる日は、やりたいこともあえてやらないのが得策だとか。

麻雀ならリーチをかけたいと思ってもかけない。日常生活なら、新たなチャレンジをしたくてもしない。

そのように、運気が低いことを自覚しながら自制していくということです。

何事も、予測できるに越したことはないもの。朝、起きた時点で<日によって変わっていく運>の高低に気づくことができれば、いろいろな事態に備えていけるというわけです。

このように、麻雀が好きな人も、まったく興味がない人も、ともに納得できる内容になっています。運をさらに育てたいという方は、読んでみてはいかがでしょうか?

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※土田浩翔(2016)『「運」を育てる 麻雀界の異端児 土田浩翔の流儀』KADOKAWA