米ツアー2015−2016シーズンの最終戦となるツアー選手権(9月22日〜25日)が、ジョージア州アトランタ(イーストレイクGC、パー70)で開催された。見事優勝したのは、通算12アンダーで並んだライアン・ムーア(33歳/アメリカ)、ケビン・チャペル(30歳/アメリカ)とのプレーオフを制したロリー・マキロイ(27歳/北アイルランド)。初の年間チャンピオンにも輝いて、1000万ドル(約10億円)のビッグボーナスを手にした。

 日本期待の松山英樹(24歳)は、初日首位に立ったものの、最終的には通算6アンダー、5位に終わった。「ラッキーも多かったし、よく4日間戦えたな、と思う」と、決して本調子ではない中で奮闘。フェデックスカップ・ランキングは自己最高となる13位まで上げて、今季を締めくくった。

 大会前は、かなりの苦戦が予想された。練習ラウンドではショットが乱れ、ティーショットは何度も打ち直していた。ショットのあと、クラブから手を離すシーンも再三見られ、松山から漏れる言葉はネガティブなものばかりだったのだ。

「(1週間の)オフの間は楽しく過ごして、練習もしていましたよ。でも、絶不調です......。ティーショットも、アイアンも、全部です。パターはちょっとマシになってきた感じはしますけど、光がまったく見えないです。真っ暗闇というか、池の底にいるというか......。

 不調の原因はわからない。(ショットは)曲がるし、(ボールは)芯に当たらない。自分の状態がよくてスコアが出ないんだったら、まだ明るい気分でいられるんですけど、これだけ状態が悪いと気分も上がらない。どうしたらいいんでしょう? まあでも、最後なんで、粘りのゴルフをしてがんばります」

 不安を抱えたまま臨んだ初日。いざふたを開けてみると、松山は「66」をマークして、ダスティン・ジョンソン(32歳/アメリカ)、ケビン・チャペルと並んで首位に立った。思わぬ好発進には、松山も驚きを隠せなかった。

「ショットはぜんぜんダメだったんですけどね......。パットとショートゲームに助けられました。ほんと、バンカーばっかりでしたが、そのバンカーショットとパッティングがいいと、スコアもここまで伸びるんだな、と。明日以降も、今日のようなプレーができればいいな、と思います」

 2日目は、難しいピン位置と風が吹くコンディションの中、2バーディー、3ボギーの「71」。ひとつスコアを落として、トップと4打差の3位タイに後退した。しかし3日目は、14番でトリプルボギーを叩きながら、終盤に粘りを見せて「68」をマーク。順位は5位に下がったものの、トップとの差はひとつ縮めて、優勝を十分に狙える圏内に踏みとどまった。

「(2日目は)パッティングのフィーリングが初日とは違って、しっかり打てていなかった。まあ、そんなに続けて入るものではないし、仕方がないですね。(3日目は)初日と同じく、パットに助けられました。特に(14番でトリプルボギーを叩いたあと)15番のバーディーパットが入ったのは大きかった。それで、そのあともバーディーが取れた。

(トリプルボギーを叩いた14番の)セカンドショットは、右のギャラリースタンドの屋根の上に行ったんですけど、屋根の上でよかった。さらに右だとOBなんで。今の状態であれば、出ても仕方がない(ミス)ショットなので、ダメージはあまり残らなかったですね。それよりも、寄せられると思った3打目がトップしちゃって。そのショックのほうが大きかった」

 迎えた最終日。ショットの不調は続いたものの、この日も小技とパットが冴えて、後半途中までは上位に食らいついていた。結局、14番でボギーを叩いて優勝争いから脱落。18番でもダブルボギーを喫してしまったが、「69」で回って、5位という好成績でフィニッシュした。

「今日も疲れました......。フェアウェーにいかなくて、バンカーショットをいっぱい打ちました(笑)。よくボギー1個、ダブルボギー1個で収まったな、という感じ。バーディーもよく4個もとれたと思います」

 ショットの状態が悪い分、松山の口からは反省の弁ばかりが漏れた。それは、賞金ランキング9位、フェデックスカップ・ランキング13位という、キャリアハイの結果だったこの1年を振り返っても同様だった。

「今シーズンは、ショットがずっとバラバラだった。ドライバーも含めて。だから、いい1年だったという感触なんてないです。1勝できたのもたまたまですし。7月の全米プロ(4位タイ)のときのようなショットと、今週のパットがあれば、もう少し勝てるとは思うんですけど。とにかく、今年はショットが悪かったので、それを早く立て直せるようにしたい。すぐに次のシーズンも始まりますしね。

(自己最高の年間成績について)その点は、何も思わないですね。結果や成績より、自分が思ったプレーができるようにしたい。ショットも、パットも。それができれば、結果的に池に入ったり、3パットしたりしても納得できますから。ボールは止まっているので、自分のプレーを(自分で)コントロールできるようにしたい」

 ともあれ、米ツアーに本格参戦を果たして3年。松山は着実に実績を積み重ねてきて、今や世界のトッププレーヤーとして誰もが認める存在だ。それだけに、日本を代表して戦っているという意識は一段と高まっているという。

「それは間違いありません。自分ががんばった結果、人にいい影響を与えられたらいいな、と思っていますから。ジュニアたちにも、将来の夢や希望を与えられたらうれしいですし。ただ、それだけが自分の目的ではなく、自分のゴルフをもっとうまくしたいし、メジャーでも勝ちたい」

 今季は終わったばかりだが、米ツアーの新たなシーズンはすぐに始まる。松山はその前に、日本に帰国して日本オープン(10月13日〜16日/埼玉県)に挑む。日本ゴルフ界最高峰の舞台で、世界トップレベルのプレーを堪能できることを楽しみにしたい。

武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko
text by Sportiva