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●体臭を予防する食べ物と悪化させる食べ物
日常生活で、自分のニオイより他人のニオイが気になったことはないだろうか。例えば電車の中で汗臭さを感じても、汗を大量にかいていない限り、すぐに「自分のニオイかも!? 」と自覚するのは難しいはずだ。

一方、女性を中心に"自分のニオイを気にしすぎてしまう"という人もいる。その場合、実際には臭っていないケースも多いようだ。では、自分の発するニオイに自分で気づき、客観的に評価するためにはどうすればいいのだろうか。

そこで今回は、皮膚科・美容皮膚科の中村仁美医師に、体臭に関するさまざまな疑問についてお聞きした。

――皮膚科には、どのようなニオイに関して相談に来る患者さんが多いですか?

足やワキが汗臭く感じると心配されて受診する方が多いです。ご自身で気になって来院される方もいますが、家族やパートナーからの指摘がきっかけでいらっしゃる方も多い印象ですね。

――ニオイの原因について教えてください。

汗は本来無臭ですが、足・ワキの皮膚表面で皮脂・細菌が繁殖し、それが汗と混ざってニオイの原因になります。ワキの場合、ワキ毛があるとそこに汗がたまり、より細菌が繁殖しやすくなります。足やワキに関わらず、汗をかいたらそのままにしないでタオルで優しく拭き取り、そのあと市販の汗拭きシートなどを併用すると、より快適に過ごせるでしょう。

――ニオイに男女差はありますか?

女性に比べて男性は、男性ホルモンの影響で皮脂腺が発達しています。皮脂がより分泌されているので、脂っぽいニオイがするのが特徴です。また、皮脂腺は体の部位によりその数に違いがあり、多い順から「頭・顔>胸背部>四肢」となります。

男性の頭皮や顔が脂っぽいニオイ・脂っぽいイメージで揶揄(やゆ)されることがあるのは、こういったことに起因するのですね。

――ニオイを予防する食品や悪化させる食品はありますか?

ワキ汗などの体臭とワキガ(腋臭症: ワキのアポクリン汗腺から分泌されるアポクリン汗のニオイが特に強いもの)を防ぐためには、穀物や野菜、魚に多く含まれている、ビタミンA・C・Eやポリフェノール、ベータカロチン・カテキンなどの成分を摂(と)るようにすると良いでしょう。

ビタミンAは、皮膚の新陳代謝を促進し、抵抗力を高め、ワキなどに存在する細菌の繁殖を防ぎます。ビタミンC・E、ポリフェノール、ベータカロチン・カテキンには、抗酸化作用があり、ニオイの原因である過酸化脂質を防ぐ効果があります。整腸作用がある乳酸菌や食物繊維を多く摂ることもおすすめします。

逆にニオイを悪化させる可能性があるものとして、肉類や乳製品、油を多く使う食事、ニンニク・玉ねぎなどのニオイの強いものなどがあげられます。肉類や乳製品、油を多く使う食事は、皮脂腺や汗腺に変化(皮脂分泌量の増加、アポクリン汗腺の活動の活発化)を起こすためです。

●自分の体臭に気づくセルフチェック法
――「自分のニオイは自分では気づけない」といいますが、本当でしょうか?

自分のニオイや自分の家のニオイなど、体臭を含めた自分の生活環境下にあるニオイに慣れてしまうと、自分のニオイに関してはなかなか気がつきにくいといえます。要するに、嗅覚が慣れてしまうんですね。

なかなか気が付きにくい自分の体臭に対し、セルフチェックできる方法があります。まず、シャワーを浴びます(もし洗浄料を使用するのであれば、無臭の石けんを用いてください)。そのあと、シャワーの前に脱いだ衣類のニオイを嗅いでみてください。シャワーを浴びると体のニオイも落とされ、嗅覚もリセットされた状態に近づくので、普段の生活の中で自分の衣類を嗅いだときより、より客観的に自分自身の体臭をチェックすることができます。また、枕やパジャマなどでセルフチェックを行うと、自分の体臭がよりよくわかるでしょう。

ただし、あまり気にしすぎるのもストレスになってよくありません。体臭のセルフチェックはご自身が快適に日常生活を送る知恵の一つとして、上手に生かしてくださいね。

――「自分が臭っている気がする」という思い込みもありますか?

思い込みの方もいらっしゃいますね。実際には臭くないのに"自分は臭い"と心配したり思い込んだりと、心の病気である「自臭症」を引き起こしてしまう方もいらっしゃいます。

自臭症とは「自分は臭い(幻臭)、あるいは自分は人から臭いと思われているのではないか」と妄想する、強迫観念・恐怖症に似た心の病気の一種です。自臭症の人は、口臭やワキや足のニオイなど自分の体から発するニオイが強いのではないか、他人に不快に思われているのではないか、と気になって強いストレスを感じてしまいます。

皮膚科にもそれほど多くはありませんが、そういった方が受診されることがあります。しかし、自臭症の患者さんご本人は、ご自分のニオイが幻臭ではないと思っているので、「心療内科や精神科の受診は必要ない」とおっしゃるケースがほとんどです。

口臭に関しては、最近では口臭外来を開設している歯科もありますので、そういったところの受診もおすすめしています。

――ワキガ・チチガ・スソガの場合、どのような治療が行われるのでしょうか? おすすめのセルフケアがあったら教えてください。

ワキガ・チチガ・スソガは、アポクリン汗腺が存在する腋か(ワキ)・乳輪部・外陰部からのアポクリン汗のニオイが特に強いものをいいます。アポクリン汗腺は思春期に発育し、性活動が盛んに行われている間は働いていますが、更年期になると次第に萎縮してきます。

アポクリン汗腺が存在する部位(耳・外耳道、腋か、乳輪、へそ、外陰部)はくすぐったく感じる場所で、いわゆる性感帯と呼ばれるところに一致しています。アポクリン汗腺が性活動に関連しているといわれているのはそのためです。

ワキガの治療では、手術が選択されることもありますが、高周波や電磁波などの機器で汗腺を壊し、治療するという機械による方法もあります。また、年齢を重ねると症状も軽くなっていく傾向にありますので、無理に治療せず、食生活などを意識・改善し、上手に付き合っていくのも方法のひとつです。

※写真と本文は関係ありません

○取材協力: 中村仁美(ナカムラ・ヒトミ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。En女医会所属。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。

(須藤妙子)