犬の出血を侮るなかれ!

人間であれば、少しの切り傷や、擦り傷で出血する事が普通と考えます。
ですが、犬の場合は違います。たかが出血と言っても、「外傷による出血」はもちろん、もし「出血性の病気」であった場合、緊急を要することがあるのです。

どこから出血しているか、どれくらい出血しているか、どのような色の血か、犬の状態はどうか、など、状況別に判断が必要です。素早く観察し、すぐに動物病院にかかれるようにしましょう。

出血の場所と原因

犬が出血する場所は、大きく分けて体の外部(皮膚)か、体の内部かに分かれます。

体の外部の出血の場合、ケガや事故による外傷、皮膚病の炎症による出血、重度のガン等も考えられますが、基本的には、皮膚に傷が入り、血管が破れ、出血に至るケースと考えて下さい。

体の内部の出血の場合、原因は様々ありますが、粘膜の炎症、多臓器不全による出血、寄生虫や病原菌による障害、がんやポリープ等の腫瘍など、緊急性の高い物が多くみられるようです。

もちろん、体の外部の出血でも、緊急性の高い物はありますが、出血箇所が見られない事もあり、自己判断が難しいため、早急に獣医の判断を仰ぐ必要があるでしょう。

また、細かい状況別に原因や対処方法が違うため、先ずは「外部からの出血なのか?」「内部からの出血なのか?」この2つの判断から始めましょう。

体の外部からの出血

皮膚から出血している場合、小さなかすり傷程度でしたら消毒して終わりですが、事故などで傷からの出血量が多いと止血の処置が必要になります。

また、傷ではなく、皮膚病によって皮膚が炎症を起こしたり化膿したりすることで二次的に出血が起こることがあります。この場合は薬の治療やしっかりとした消毒処置が必要になってきますから、動物病院にかかりましょう。

皮膚病による出血

皮膚型リンパ腫や肥満細胞腫などの皮膚のがんでも、病変が重度になると出血を起こします。これらのがんは初めは皮膚の炎症のように見えますから、皮膚病は侮れません。

乳腺からの出血

雌では乳腺から出血する場合があります。乳腺炎の場合は炎症が強ければ薬の服用が必要です。また、乳腺腫瘍の可能性もあります。犬の乳腺腫瘍は5割が悪性と言われていますから、外科手術で取り除くことが多いです。

肛門の出血

肛門からの出血は肛門嚢炎や、去勢していない雄犬では肛門周囲腺腫のような腫瘍が肛門付近にできることで起こります。肛門嚢とはいわゆる匂い袋で、肛門の横に存在します。炎症により肛門嚢が破裂して、肛門横に穴ができ、そこから臭腺の分泌液が血と混じって廃液してくる場合があります。この場合は、動物病院でしっかりと洗浄して消毒を行うべきです。肛門周囲腺腫は、性ホルモンに影響を受け、大きくなる腫瘍ですから、去勢手術と腫瘍の切除手術を同時に行うのが一般的です。

その他の出血

その他に、皮下に内出血を起こしていると、事故以外の原因にも先天性の病気や、他の病気の影響で、血液の凝固系の異常を抱えている可能性があります。凝固系とは出血した際に止血するように働く血液中に存在する血小板や凝固因子のことですが、これらが欠乏する病気によって、出血しやすくなり、あざなどができてしまうのです。

止血方法(外傷性の場合)

外傷性で体外(皮膚)から出血している場合は、圧迫止血が有効です。清潔なガーゼやタオルを患部に押し当て、止血するまで圧迫します。
軽度のものですとすぐ止血できますが、大量出血している場合は圧迫しながらすぐ病院に行きましょう。

出血している血の色が鮮やかな赤色で、脈の拍動とともに出血するならば動脈からの出血ですから、傷口よりなるべく心臓に近い位置で止血しましょう。

体の内部からの出血

内部からの出血は、危険な病気や感染症等が潜んでいる可能性があります。また、状況によって原因が大きく異なるため、体の各場所毎に見て行きましょう。

口からの出血

口腔粘膜や歯肉が傷ついていたり、炎症をおこしていたりすると口から出血することがあります。歯周病には気をつけましょう。また、消化管の病気や中毒、熱中症などによる多臓器不全で吐血する場合や、喀血のように気管から肺、心臓疾患によるものは緊急性が高くなります。

鼻からの出血

鼻炎などの鼻粘膜の炎症により出血する他、犬では高齢になると鼻腔内に腫瘍ができることがまれにあります。鼻の腫瘍の症状として、出血以外にも、膿性の鼻汁が出たり鼻のラインが変形してきたりしますので、注意が必要です。腫瘍であれば外科手術や放射線治療、抗がん剤治療が選択されます。

肛門からの出血

便に血が混ざると、消化管内寄生虫や、腸炎、消化管腫瘍、ポリープなどが考えられます。糞便検査で寄生虫がいなければ、消化管の精密検査が必要になります。

陰部からの出血

血尿がでる場合、腎臓、尿管、尿道、膀胱、前立腺などの生殖腺の病気が疑われます。泌尿器系では原因として炎症や結石、腫瘍が多いです。

メスでは子宮由来の出血を認めます。生理的な発情期であれば問題ないですが、子宮蓄膿症のように緊急的に外科手術が必要な疾患もあります。

子宮蓄膿症は陰部から血の混じった膿が出てきます。その他、多飲多尿や食欲不振、元気消失、発熱などが症状として出てきます。時間が経つにつれて病態は悪化しますので雌の陰部からの出血は要注意です。

わんちゃんから血が出た!愛犬体験談

皆さんから寄せられた愛犬が出血した時のエピソードをご紹介します!

女性 40代
ある日のお散歩時。いつもの様に愛犬のキラ君はウンチをしようとかがみこんでいました。
体の割に大きいなぁっと眺めていると、なんとウンチに血が混じっていました!

慌ててウンチを握りしめて病院へ駆け込むと「腸が少し炎症している為です」という事で整腸剤をいただきその後は血が出る事もなく元気に過ごしています。

毎日ウンチをほぐして見ている私を家族は白い目で見ていますが、大事なのは早期発見!せめて仔犬の間はこまめに見守っていこうと改めて思いました。

女性 30代
私の愛犬は肌が弱く、毛が抜けたり、掻きむしって出血したりということが日常的にあり、何度も病院に通い薬をもらったり、注射で痒みを抑えたりしていました。どんなに病院に通っても原因がわかりませんでした。
血液検査でアレルギー検査も行いましたが、アレルギーも特にありませんでした。

はじめのうちは毎週病院に通っていましたが、毎週、毎週小さな体に注射を打たなければならない愛犬を可哀想で見ていられないし、原因もわからないと言われ続けて通う意味も無いように思えて、病院に通うのをやめました。

そこからは試行錯誤で週1回必ずシャンプーして肌を清潔にしたり、泡のお風呂や泥パックを試してみたり、つめは短く切ってやすりをかけて、掻いても肌を傷つけないようにしたり、アレルギーは無いと言われましたが、フードもおやつもオーガニックのものにかえたりと考えつくことは全部試してみました。

その間にも出かけていて帰って来たら愛犬が血だらけになっていてすぐに病院に連れて行ったこともありました。

それでも根気強く続けて、良くなってきてはまた出血してを繰り返して2年経った頃からすっかり良くなりました。良くなったのはもう5年ほど前の話で今では全く心配無いほどです。出血を繰り返していたのが嘘のようです。

これからも、愛犬の為にできることは何でもしていってあげたいと思います。

女性 50代
我が家の愛犬、3歳のパグ、男の子です。
ある日、いつものようにごはんを食べ、トイレでおしっこのポーズをするのですが、なかなかしようとしません。「あれ?なんか変?」と思って見ていると、やっと出たおしっこが大量の血尿!!
びっくりして、その場で病院に電話しました。

診断結果は、尿路結石による膀胱炎でした。
抗生剤と消炎剤、注射を打ってもらい、その後は療法食でよくなりました。

前日まで元気で、食欲もありおしっこも出ていました。痛みもあったのでしょうが、痛がる様子もなかったので気づけず本当に可哀想なことをしました。

それ以来、以前よりももっと体調管理と水分摂取を心がけています。
やはり、大切な愛犬の突然の出血はびっくりしますね。日頃からわんちゃんの様子を注意深く観察し、病気だけでなくけがや事故も未然に防げるようにしておきたいですね。

女性 20代
我が家の愛犬、爪が黒いのでとても切りにくいのです。
しかも「狼爪」という地面を歩いてもすり減らない位置にある爪がすぐ伸びるんです。

ある日、愛犬を抱っこしたらその爪ですごい引っ掻きキズができてしまい、初めての爪切りに挑戦したのです。
初めての爪切りで、黒い爪は本当に切りにくくて大変でした。爪切りを見ると怖がってしまい、動くので切れません。ほんの少しずつのつもりが、急に動かれて深爪してしまい、血が出てきてしまいました。

びっくりした私は、とにかく安静にと思い、ゲージに入れました。以前買っておいた止血剤があったので、すぐ処置して事なきを得ましたが、本当に可哀想なことをしてしまいました。

それ以来、無理せず電動式爪やすりを使っています。
痛くないのが分かれば暴れないし、うちにはこの方がいいみたいです。

女性 40代

うちの愛犬はお散歩中も直ぐに抱っこのおねだりをし、歩きたくないときはテコでも動かないとても頑固な一面のある犬。そこがしつけの悩みでした。

犬を飼っていない親戚と外出時、途中で歩かなくなった愛犬を抱っこした時に「甘やかしすぎ」、「犬の言うこと聞いちゃダメ」、「少しくらい引っ張ってでも」等と言われてしまい少し厳しくしないといけないのかしら?と思ってしまい、次のお散歩中案の定愛犬が歩かなかったとき「今日はダメだよ!もうちょっと歩こうね。」と少し引っ張ったのですがやはりテコでもうごかず結局抱っこする羽目に…。帰って来て足を犬用のウエットティッシュで拭いたらティッシュが「ん?少し赤い…。」と気付き直ぐに足を見たら右後ろ足がほんの少し擦りむいて出血してました。

幸い、出血は少なくすでに血も止まっていたので、応急措置として消毒し、傷薬を塗ったのですが心配で獣医さんに電話をし治療に伺った方が良いか相談したら「それくらいなら大丈夫」とのことでしたが、無理に引っ張ってしまったことはしっかりとお叱りを受けました。
めちゃめちゃ反省です…。

対策

後日、ドッグトレーナーの資格のある友人にこの出来事を話したところ以下のアドバイスを頂きました。

無理に引っ張らない。歩いてくれないときはしゃがんで犬と同じ目線になり「おいで」をする。たまには散歩コースを変えてみるのもひとつ。小型犬なら立ち止まってしまったとき、少しだけリードを上に引っ張って上体を気持ち持ち上げて合図し、犬にもう一度集中力を持たせる。

現在は相変わらず抱っこしてが多いですが、少し改善され「おいで」して来てくれたらおやつをあげてを繰り返し「歩くと楽しいよ!」って思えるようにしています。

まとめ

このように、犬が出血する病気は緊急性が高いものが多いです。そして体の内部・外部によって出血の原因やパターンは大きく変わっくるのです。

切り傷や擦り傷など、比較的判断が簡単な場合は、愛犬のためにも軽い手当方法を知っておくのも良いかもしれません。また、判断が難しい場合は、どんな病気が潜んでいるかわかりませんので、症状を軽視しないようにしましょう。

犬たちは、言葉が話せません。ましてや痛い無場所を伝える事は出来ません。
愛犬の命を守れるのは飼い主さんだけです。少しでも不安な点があったら動物病院に相談するようにしましょう。