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毎日のように顔を合わせるお客様が気になっている。自分からフェイスブックで友達申請をしていいのか...。受付の仕事をしている女性から、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに相談が寄せられました。

女性によると、「受付ですので毎日来館される方もおり、お名前と顔が一致しているお客様が多く」いるとのこと。その中で「気になる方」ができ、フェイスブックで名前を検索したところ、その人のアカウントを見つけたそうです。

しかし女性は、「業務上知り得たお名前ですのでフェイスブックで友達申請をすると個人情報漏洩など、何か問題になりますでしょうか」と、友達申請をしていいのか悩んでいます。

仕事を通じて知った顧客の情報を、フェイスブックの友達申請といったプライベートな目的で使うことには、どのような問題があるのでしょうか。石井邦尚弁護士に聞きました。

● 友達申請程度であれば、顧客と従業員との間では法的な問題はないが...

今回のケースでは、(1)フェイスブックの友達申請などを行った従業員とその対象となった顧客との関係と(2)従業員を雇用している会社と従業員との関係を分けて考える必要があります。 まず、(1)従業員と顧客との関係について考えてみましょう。

顧客の情報をツイッターなどで公開したりすれば、プライバシー侵害などとして不法行為に基づく損害賠償請求などが問題となる可能性があります。従業員の行為がエスカレートして、ストーカー規制法違反に抵触することもあるかもしれません。

しかし、フェイスブックの友達申請は、第三者に公開されるわけではないのでプライバシー侵害にはなりません。脅迫的なメッセージといっしょに申請するなどの特異な例を除けば、不法行為などに該当することなどもないでしょう。

ただ、法的な問題にはならなくても、顧客が従業員からの友達申請について、会社にクレームを入れるようなことも考えられます。従業員が業務上知った個人情報を使ってフェイスブックの友達申請をしたような場合、会社にとっては、個人情報の管理や従業員の監督、教育等が不適切であったとして、個人情報保護法違反等の問題ともなりかねないのです。

友達申請を会社が知った場合、(2)の、従業員と雇用されている会社との関係において、大きな問題となるリスクがあります。

● 懲戒処分や人事評価がマイナスになる可能性あり

多くの会社では、個人情報の取扱いなどに関する社内規定や就業規則などの中で、従業員が業務上知り得た個人情報やその他の機密情報などを業務の目的外で利用することを禁止しています。そして通常は、このような行為を行った場合には、懲戒処分の対象とするとされています。

フェイスブックの友達申請などは、業務の目的外での利用行為であるとして、懲戒処分を受けるリスクがあります。懲戒処分までは受けなくても、人事評価などでマイナスとなる可能性は否定できません。

顧客が友達申請に同意しているような場合はともかく、受付を担当していて顔と名前が一致しているという程度でフェイスブックの友達申請を行うことは、上記のような懲戒処分のリスクなどを考えると、おすすめできません。



【取材協力弁護士】
石井 邦尚(いしい・くにひさ)弁護士
1972年生まれ。専門は企業法務。小5ではじめてコンピュータを知ったときの驚きと興奮が忘れられず、IT好きがこうじて、IT関連の法務を特に専門としている。著書に「ビジネスマンと法律実務家のためのIT法入門」(民事法研究会)など。東京大学法学部卒、コロンビア大学ロースクール(LL.M.)卒。ブログ「企業法務の基本形! IT法務の未来形!!」
事務所名:カクイ法律事務所
事務所URL:http://www.kakuilaw.jp