『今日から俺はロリのヒモ!(MF文庫J)』(暁雪/KADOKAWA)

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 ヒモとは男のロマンである。自分は働かずに心優しい女性に住むところ、食べもの、着るものを捧げられて暮らす王様のような生活は、選ばれた男だけが得られる特権だ。ただ、男性が働かずに女性に養ってもらっているというのは世間体が悪い。しかし、そうした後ろめたさや、負い目を感じないクズな男にとっては、理想の“職業”といえる。

 たとえば、平凡なサラリーマンが突然、異世界へ召喚され仕事もせず爆乳美女と楽しく暮らす『理想のヒモ生活』(渡辺 恒彦:著、文倉十:イラスト/主婦の友社)や、売れない小説家が5人の女たちと一緒に暮らし、毎月彼女たちから100万円の援助があり世話をしてもらうというとんでもない生活を描いた『100万円の女たち』(青野春秋/小学館)などがあるが、男がこの夢のような世界をマンガやラノベに求めてしまうのはいたって自然なことだ。

 今回紹介するのは、そんな憧れのヒモ生活を疑似体験できるラノベ、『今日から俺はロリのヒモ!(MF文庫J)』(暁雪/KADOKAWA)だ。大富豪の女子小学生のヒモとなった青年の明るく楽しいヒモ生活の日常を描いたラブコメディである。

 主人公の天堂ハルは、一言でいえば人間のクズだ。面倒くさがり屋でだらしなく、不真面目でウソつき、イタズラ好きなお調子者だ。年上好きで巨乳に対して並々ならぬこだわりを持ち、漫画家志望で出版社に原稿を持ち込みんでは担当編集にダメ出しされてばかりいる男子高校生。唯一の取り柄は画力だけは非凡なものがあるというくらいだが、お世辞にも誠実な好青年とはいいがたい。

 そんなダメ人間のハルが、小学五年生にして投資の天才、超大金持ちのスーパー美少女・二条藤花と偶然に出会う。天堂ハルの漫画の大ファンという藤花は、漫画を描くハルを援助するパトロンになると言い出し、ハルもその提案を受け入れてしまう。かくしてハルはロリのヒモとなる。

 豪邸で藤花と、彼女の秘書兼メイドの巨乳美女・園原麻耶と三人での同居生活が始まり、最新機材の揃った仕事部屋を貰うが、なまけ者のハルは1週間たっても、3週間たっても漫画を1ページも描かず、漫画の資料として藤花のお金で同人誌やフィギュア、DVDを買い漁っては、ソシャゲにも課金して毎日のように遊び呆けてしまう。ロリを騙して衣食住世話してもらって遊ぶ金をせびる、とことんまでクズ野郎である。

 しかもハルの元には、藤花だけでなくロリが集まってくる。藤花の同級生である生意気系ツンデレ少女・丹沢千鶴、癒し系天然少女・小森紗奈という、藤花に勝るとも劣らない大金持ちの美少女小学生に囲まれて、まさにロリハーレムだ。そんないたいけな女の子たちを侍らせて、チアガールにバニーガール、メイド服、チャイナ服、巫女服など、さまざまなコスプレ衣装を着せ替えたり、えっちなポーズを取らせたりして喜んでいるのだから、どうみてもロリコンの変態である。まったくもってうらやましい! 代われるなら自分が代わりたい!

 しかし、そんなクズでもクズなりの矜持はある。ヒモとして藤花に悲しい思いをさせず、いつも笑顔で楽しませるということだ。破天荒な作風から読者を選ぶハルの漫画が藤花という理解者を得て救われ、また、ハルの漫画が飛び抜けた才能から孤独になりがちな藤花の心を救っていく。やがてハルは、たくさんのファンに読まれる売れっ子漫画家ではなく、藤花ひとりのための漫画家を目指しはじめる。クズだとわかっていてもペンをとって原稿に打ち込む姿は、なかなかどうしてカッコいい。

 同じ時間を共有するうちにハルと藤花が互いにかけがえのない存在になっていく姿がなんとも微笑ましい。悩みも不安もなく、無邪気な女の子との自由なヒモ生活に癒される。どこかに自分を養ってくれるお金持ちのロリはいないものだろうか。ついついそんなクズなことを考えてしまうハートフルラブコメディだ。

文=愛咲優詩