10月6日と11日にイラク(ホーム)、豪州(アウェー)と、アジア最終予選をそれぞれ戦う日本代表。これまで2戦を終えた成績は、1勝1分(勝ち点4)で第3位。プレイオフ回りの位置にいる。さらに、好ましくないのは、ホームで豪州に0−1で敗れたUAEが、得失点差ながら日本より後ろ(4位)にいることだ。

 UAEが最大のライバルなら分かる。そのアウェー戦でも勝ち目は薄い。引き分けがいいところーーとは、ホーム戦後の印象だが、マッチレースなら、敗れても2番手だ。W杯本大会出場圏内に踏みとどまることができる。しかし、そのUAEが、日本より後ろにいると言うことは、グループ最強の敵ではないことを意味する。

 敵はさらに2人いる。2戦2勝(勝ち点6)の豪州とサウジだ。特に豪州はアウェーでUAEに勝っているので、この組、最強と目される相手。10月11日のアウェー戦は、大一番と言っていい。

 だが、あえてコンディションの話をすれば、豪州はその直前(6日)にサウジとアウェーで対戦する。時差5時間の移動を含む中4日で試合を行う。しかも移動は西から東。東から西より時差ボケが解消しにくいきつい移動だ。

 日本も同様に、中4日での移動になるが、時差はなし。しかもその直前に戦うイラクは、東から西へ、厳しい移動を強いられる相手だ。さらに言えば、サウジほど強くない。

 豪州戦。日本は相手より、よい条件の中で試合をする。コンディションの問題を何かにつけ口にするハリルホジッチだが、この試合こそは、言い訳の出来そうもない試合になる。ハリルジャパンにとっては正念場だ。もしそこで、敗れることになれば、危ういムードは倍増する。

 監督交代には絶好のタイミングだ。W杯最終予選は、翌11月15日にサウジ戦(ホーム)を終えると、来年3月23日まで中休みを迎える。3ヶ月以上、試合がないので、監督探しをする時間的な余裕は十分ある。

 新監督の就任期間が2018年ロシアW杯までだとすれば、最大約1年半。これは2002年日韓共催W杯を目指す韓国代表監督に、フース・ヒディンクが就いたタイミングと同じだ。大物監督は、本場欧州を長々と離れ、日本までやってくることを躊躇うものだ。4年間と言えば、候補者の数は限られてくる。しかし、1年半となれば、話は変わる。その時、休職中の身の上にある人物ならなおさらだ。話に乗ろうとする人の絶対数は、4年間の何倍にも増える。

 そして僕の知る限り、優秀な監督ほど、時間の不足を言い訳にしない。1年半という短期契約を承知で、仕事を受けているからだ。

 ヒディンクがそうであったように、ならばどうする、と、逆算してチーム作りを計画する。彼が、2006年W杯本大会を目指す豪州監督の座に就いたのは、南米大陸の5番手チーム、ウルグアイとの決戦を直前に控えたタイミングだった。

 もっとも、こうした話をすると、必ずやこう言い出す人がいる。「では、誰がいいんだ。対案を出せ」と。だが、監督選びは恋人探しのようなモノだ。その時、誰が「空き家」であるかは、その時になってみないと分からない。いまと1ヶ月後では、状況は異なる。

 しかし、世界は広い。候補者は絶対にいる。

 いまで言えば、ヒディンクだ。チェルシーのクラブ・アドバイザーという立場には就いているが、可能性はある。誘ってみる価値は十分ある。

 候補者はいま現在、まだまだいる。有名どころでは、マルセル・ビエルサ。今季初頭、ラツィオと契約したが、僅か2日後に退任。その後はフリーでいるはずだ。イタリアで攻撃サッカーの旗手として、長年にわたって采配を振るってきたベテラン監督、ズデネク・ゼーマン。ライカールトの参謀として、バルサを黄金期へと導いたヘンク・テン・カーテも、UAEのアル・ジャジーラを今年、退任しているので、現在フリーでいるはず。