日本サッカー界の近未来に、大きな影響をもたらす勝利だった。9月25日に行なわれたAFC(アジアサッカー連盟)のU−16選手権で、U−16日本代表がベスト4入りを勝ち取ったのだ。これにより、来夏のインドを舞台とするU−17W杯の出場権を獲得したのである。17歳以下の世代では、2大会ぶりの世界との遭遇だ。

 現在のU−16日本代表は、4年後の東京五輪を19歳や20歳で迎える。コアメンバーのひとつ下の世代にあたるが、彼らもまたチームに絡んでいかなければならない。五輪の前に世界大会を経験しておくことは、2020年への大切な通過点のひとつだ。

 五輪でメダルを獲得するには、グループリーグ3試合と決勝トーナメント3試合を、戦い抜かなければならない。そして、五輪の前に同じような試合間隔で行われる大会は、AFCのU−16とU−19の選手権だけである。

 世界大会の決勝トーナメントでは、試合ごとに対戦相手のレベルが上がっていく。その一方で、疲労感は増していく。個人としても、チームとしても。フィジカルとメンタルがギリギリまで追い詰められていくなかで、それでも相手を凌駕することのできるチームが、表彰台に登ることができる。

 リオ五輪でチームを率いた手倉森誠監督の言葉が思い出される。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の日本代表でコーチを務める彼は、グループリーグ敗退の結果を「この世代だけの問題ではない」と総括した。

 コロンビアとのグループリーグ第2戦が分かりやすい。

 0対1とリードされた日本は、サイドバックも前線へ飛び出して挽回しようとした。その背後を突かれて、2点目を失うことになった。藤春廣輝のオウンゴールは、チーム全体がバランスを崩したことにそもそもの原因があったのである。

「ここは我慢をするところ、パワーを出すところ、という見極めは、世界大会を経験することで教えられたところだった。逆に言えば、五輪前に世界大会を経験することができていれば、違う対応ができていたと思う」と、現日本代表コーチは振り返る。U−17とU−20のW杯を経験することで、U−23世代が主体となる五輪で勝負する準備が整うのだ。
 
 森山佳郎監督のU−16日本代表は、ベスト4入りを果たしたことでひとつの目標を達成した。ただ、ここで解放感に浸ってはいけない。準決勝、決勝と勝ち進んでいくことが、来夏のU−17W杯はもちろんU−20W杯や東京五輪にもつながっていく。