ネット、雑誌、テレビ、そして高級スーパーなどでよく見かける「スーパーフード」の文字。欧米から始まり日本でも大注目されています。よく見ると様々な食品の形容詞になっているようですが、ホントのところどうなんでしょうか。

『スーパーフード』ってそもそも何?

そもそも「スーパーフード」とは何を定義しているのでしょうか?

Wikipedia(英語版)によると、実はこれ完全なるマーケティングのための言葉であり、科学的根拠はほとんどないとされています。

オックスフォード辞典には「健康上とくに栄養価が高いとされる成分を含んだ食品」という表現がされています。

2007年時点ではEU内においては、説得力のある科学的研究に基づいた説明のない場合以外、スーパーフードとして販売することが禁止されていますし、製造向けのマーケティングガイドも発行されているとのことです。

一方日本語のWikipediaは見当たらず、日本スーパーフード協会の定義が多く引用されています。

これによると、

 栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること 一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつ

とされており、また基準も示されています。

具体的な食品の定義はないため、愛好者が独自目線で選んだスーパーフードリストやレシピが見つかります。

この「スーパー」という言葉が示す意味とは、私達が食べているものには、「健康にいいもの」、「良くないもの」、そして「めちゃめくちゃ健康にいいもの」があるということになります。

どうしてあなたの習慣を変えたり、“クコの実”を急に食べ始めたりするのでしょうか?

どうして今まで健康にいいとされてきたことに飽きたらず“チアシード”をシリアルにふりかけて、めちゃくちゃ健康になりたいのでしょうか?

イギリスの2014年の私的医療保険(Bupa)の世論調査(YouGov)では、こういった“話題のスーパーフード”を含んだ食品を買った人が61%にのぼったという結果がでています。

2011年当時、欧州食品安全機関(EFSA)は、健康への実際の効果があるという証拠は見つかっていないという見解を出していました。

真実は、説得力にかけるのですが、“栄養”というものは驚くほど複雑なものであり、個人差があり、そのほとんどが解明されていないのです。

たくさんの果物、野菜を取ってバランスの取れた食事をして日常的に運動するということが、究極の“スーパーフード”です。

それをしないということは、スーパーフードの恩恵を受けられないということです。

英ガーディアンが、7つのスーパーフードを検証しているので見ていきましょう。

 1. ケール(アブラナ科の青菜)

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ケールは昔からヨーロッパ北部など多くの場所で育てられてきました。

戦時中でも人々は庭先で育てるように言われた実用的な作物の1つだったそうです。

カーボロネロ(黒キャベツ)と赤いロシアンケールに加えて、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、コールラビ、芽キャベツ、カブ、チンゲン菜、白菜なども同じ系統の品種だそうです。

野菜がたくさん入った食事をとることが健康にいいことは周知の程ですが、ではケールが本当に“飛び抜けていいのか?”というと答えはNoです。

スーパーフードをリストにまでして選んでいる愛好者にとっては、ケールは鉄、ビタミン、繊維、抗酸化物を多く含み、それらが赤血球を造り、お通じも助けてくれ、フリーラジカルを取り去ってくれる点に注目しています。

しかしすでに他の食物からそれを摂取できているとしたら、必要以上に食べたとしてもあなたの体が”スーパーパワー”を得ることにはなりません。

それは車をもっと早く走らせたいと、よりたくさんガソリンを補給するようなもの。

野菜には全て様々なビタミンやミネラルが含まれています。

どんな土壌で育ったかによって違いは生じますが、どの野菜が一番なのかという栄養素の比較に大きな意味はないでしょう。

果物や野菜をたくさん食べる際、そこにケールがあるほうがより良いかどうかを証明するものはありません。

2. アボカド

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アメリカで今や一番人気のフルーツといえるでしょう。(分類的には野菜というよりは果物であり、もっというと大きなベリー類という分類です。)

アボカド需要が高いため、メキシコでは盗難が頻発しているとのこと。

アボカドには脂肪分が多く含まれます。

これは不飽和脂肪であり、循環器系を保護してくれるものなのですが、この種類の脂肪は魚、ナッツ類、生のオリーブオイルやひまわりオイルなど他に様々なものに含まれます。

これは摂取すべきものですが、アボカドはとてもカロリーが高いことを忘れてはなりません。

まるまる一個で240キロカロリーあります。

2013年にハスアボカド(日本に輸入されている種類のもの)が循環器系に効果があるという予備研究の結果が発表されました。

しかしながら結論は確立しないばかりか、この調査に“Hass Avocado Board”という供給サイドの団体からお金が支払われていたという事実も発覚したそうです。

現時点ではアボカドの健康上の効能についての中立的で上質な研究がありません。

白血病治療に効果があったという報告がされたことがありますが、このアボカド由来成分“avocation B”は中心にある種に含まれる物質のため我々はそれを食べることができないのです。

3. ざくろ

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ピンクの甘くて美味しくてちょっとエキゾチックなざくろは、好きな人が多いのではないでしょうか。

特にジュースにして飲む場合、種が取り除かれていますから抵抗は少ないでしょう。(種に繊維質がすべて含まれているんですけどね)

グレナディン・シロップ(ざくろの果汁と砂糖から作られるカクテル用シロップ)が有名です。

2012年にアメリカは、ざくろジュースの大手POM Wonderful社に対して製品への行き過ぎた健康強調表示をやめるように勧告しました。

ざくろジュースをたくさん飲むとコレステロールによってダメージを受けた血管が復活し心臓への血流がふえるという謳い文句でしたが、決定的な証拠はなく理解も十分にされませんでした。

ざくろにはたくさんの抗酸化物質が含まれますが(特に皮に多いのですが食べられません)、これは裏を返すとこれらの抗酸化物質自体の効果が人間の健康に寄与しているとは言えないということでしょう。

 

4. クコの実(ゴジベリー)

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ウルフベリーとも呼ばれ、枸杞子と呼ばれる果実、クコの実は大変高価です。

みずみずしい時は実はピンクで引き伸ばしたぶどうのようで、乾燥させるとピンクのレーズンのようになります。

そのままで気軽に食べられ、何かに混ぜたりもします。

中国の漢方医だったLi Ching-Yuen(李青曇)はクコの実をたくさん食べたことで197歳まで生きた(256歳という説もあり)とされますが、本当のところはどうでしょうか。

クコの実は中国では漢方薬として長年にわたり重用されてきましたが、効能が証明されているというわけではありません。

ヨーロッパの伝統薬と同様に中国の漢方薬が昔も今もたいていは時間の無駄か有害なものであるという証拠が提示されているということです。

クコの実を食べたり、ジュースにして飲むことはほとんどの場合悪いことではありません。

しかし他の果物に比べて効果が高いという証拠はどこにもないということなのです。

研究ではクコの実がガン、心疾患その他様々なものに効果があるとされていますが、これらは大量のクコエキスを元にしたものであるとされ、普通に食べている量ではとうてい及ばないと言われています。

5. チアシード

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チアシードは古代から存在するチアという植物の種で、水分を含むとかさが増してジェルのようになるため、飲み物をドロっとさせたり変わったジェリーを作ることもできます。

他には、何にでもまぶしたり、小麦粉に混ぜて焼いたりもできます。

味はあまりしません。

スーパーフードの代表格とされるチアシードはオメガ3脂肪酸を豊富に含むからだと言われています。

オメガ3脂肪酸は脂分の多い魚に含まれるもので、このような魚を含んだ地中海地方の食習慣が世界中で大変健康的とされている理由です。

100gのチアシードに17gのオメガ3脂肪酸が含まれているというのはすごいことで、これは鮭の約8倍に相当する量です。

しかしながらチアシードのオメガ3は魚に含まれるものとは違う種類のもので、体内でチアシードの種類が魚のそれに変わるには大変非効率となってしまうそうです。

つまり100gにつき1.8gとなってしまい鮭の2.3gと比べて実際には減ってしまうということになります。

さらには、100g分のチアシードを摂取するのは大変で、この分量のカロリーは486キロカロリーとなりほぼビックマックと同じになってしまいます。

このオメガ3脂肪酸を摂取したいなら、魚を食べるべきです。

魚は心血管系の病気になりにくくするのに、文句なしで体に良い食べ物です。

政府も一週間に2切れ(そのうち1切れは脂分の多いもの)を食べるよう推奨していますから。

魚由来以外のオメガ3の効果についてははっきりせず、特にチアシードの効用についてはほとんど証拠がないというのが現状です。

6. テーブルビート(ビーツ)

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お年寄りの中には、ビーツの味はミルクや牛や羊などのタンに似ていると思っている人がいるかもしれませが、今では忘れ去られたものが再び注目される存在になっているようです。

生をローストする、そのまま火であぶる、ピクルスにする、ジュースにするなど優れた野菜の1つです。

葉の部分をたべるのはチャード(フダンソウ)という種類で、クラシックな紫色をしたビーツの汁はあなたもお皿もキッチンも、そして後日あなたの排泄物も見事にそめてしまうというとんだ副作用に注意です。

野菜全般がそうであるように、ビーツもビタミンやミネラルについては諸説あります。

そのために他の硝酸塩を多く含む野菜同様、“スーパーフード”、スポーツサプリメントなどにどうにかして位置づけたいという思惑操作と同時に、それによって健康を害する懸念も同時に発生してしまうのです。

ビーツはジュースにすると若干ではありますが血圧を下げる効果があるようです。

おそらく硝酸塩が体内で一酸化窒素に変わることで血管に良い効果があるからだとされています。

実際には血圧を下げる必要がある場合は一酸化窒素の効果よりも、塩分を控えた食事と医師が処方する薬を飲みながら運動をするほうがいいでしょう。

他にはビーツジュースを運動する前に飲むと普段の運動において酸素がより多く体内に取り込まれるために持久力があがるという研究結果もあります。

赤肉を食べた場合、硝酸塩はニトロソアミンを作り出してしまうため、大腸がんのリスクが増えるともいわれます。(食べない人のリスクが5.6%に対して、たくさん食べた人のリスクは約6.6%ということです)

ビーツに含まれる硝酸塩はニトリソアミンに変わる可能性も否定出来ないため、欧州食品安全機関(EFSA)はビーツは1日2個までと推奨しています。

7. 海藻

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海藻は日本をはじめとする東アジアで主に食べられてきました。

意外かもしれませんが、英国ウエールズでは「レイバーブレッド」というのりの一種が炭鉱労働者の朝食の中でよく食べられるそうです。

海藻はビタミンB12 が豊富な、動物性でないまれな食べ物です。

サプリメントで補いたくないベジタリアンの人にとっては重要な食品です。

このように、栄養不足になりがちな、でも錠剤を嫌う少数派の人にとっては、海藻はスーパーフードの類に入ります。

それどころか誰にとってもこれらは美味しくて健康によいものなのです。

ただしこのスーパーフードには大きな問題点があります。

それは体に必要な分量以上にミネラルを摂り過ぎると、その他のものが吸収されなくなってしまうということです。

海藻に含まれるヨウ素、繊維、アルギン酸は、体重減少に効果があるとされてきましたが、この効果のほどは証明されていません。

さらに、ヨウ素を摂り過ぎてはいけない別の理由もあります。

ヨウ素の毒性は甲状腺の働きを弱めてしまったり体重を増加させたりします。

その生息地域によっては、海藻には重金属が含まれていたりすることもあるため、大量に取り入れた場合には健康障害が生ずることもあるようです。

フィリピンやタンザニアのような特定の場所では、海藻を養殖するためにマングローブが切り倒されています。

一方で海藻の養殖場は他の生物にとってよい環境になっている場合もあります。

 

グローバル化により情報が世界規模で共有され、欧米人にとって見慣れない海藻、逆に日本にとって見慣れないチアシードも広く知れ渡るようになり、食の世界もボーダレスになりつつあります。

世界中どこでも、健康でいたい、健康にいいものを食べたいという欲望は同じですが、情報に踊らされずぎないことも重要といえそうですね。

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Source by: 英ガーディアン, Wikipedia, 日本スーパーフード協会, スーパーフードリスト, スーパーフードの魅力, 愛好家のレシピ, ビーツの健康作用

文/桜井 彩香

出典元:まぐまぐニュース!